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少ない支出で静かに楽しく暮らすー大原扁理さん「年収90万円でハッピーライフ」を読みながら思うこと


昨日友人が3人奈良に遊びに来てくれて、夜に東大寺の二月堂まで夜景を見に散策したりして、皆で楽しい時間を過ごしていた。本当はもう少し足を伸ばして若草山に登れば木々にさえぎられることなく奈良市の夜景を一望できたのだけど、夜の二月堂は提灯で照らされた建物もとても綺麗で、他に人もほとんどいないとても贅沢な空間だった。

梅雨が明けて、奈良はすっかり夏らしい爽やかな色の空で、今朝はひとりミスドへ行って、ドーナツとカフェオレを頼んでのんびり本や漫画を読んだりしたあと、自転車で書店を3件回った。

蔦屋書店で何度も読んだけれど、まだ買っていなかった本を買おうと思ったのだ。できれば地元企業を応援する意味合いで、奈良に本社のある書店で買いたかったのだけど、2店回ってどちらにも置いていなかったから、蔦屋書店で購入した。

その間、もう7年近く愛用しているクロスバイクで奈良の街を移動した。サングラスをして帽子をかぶってクロスバイクで走れば、気温が高くても少し涼しく感じて快適だ。大通りを通っている間たくさんの車を見たけれど、車がなくても便利な場所に暮らしている限り、まだ車はいらないなと思う。

noteで初めてサポートしていただいたときから、サポートが1000円溜まったらそのお金を使って何かをして、そのことについてnoteに書こうと決めていた。ありがたいことに先日友人がサポートしてくれて合計1000円に届いたので、蔦屋書店に行くたびに読んでいたのにまだ買っていなかった本、「年収90万円でハッピーライフ」を買って、その本について書くことにした。

この本はもともと5年前に出た本の文庫版なのだけど、最近、中田敦彦のYouTube大学で紹介されたりして人気が出たのか、amazonのちくま文庫の売れ筋ランキングで、「向田邦子ベスト・エッセイ」や「思考の整理学」を抜いて1位になっている。

僕はこの本がとても好きなのだけど、野草を摘んで食べたりと、結構極端な節約生活を紹介している本なので、この本がここまで売れていることに正直驚きもあった。コロナ不況で節約を強いられる人が増えたからか、自粛期間に人と会わずにできる静かな趣味を多くの人が経験したために、ひっそりと静かに生活していた大原さんの暮らしが共感されたからなのか、理由はわからない。


週2日だけ働いてお金のかからない趣味を楽しみ、自分に合ったペースで暮らす


この本の著者の大原扁理さんは2016年から台湾に移住して暮らしているのだけど、その前は東京郊外で月2万円台のアパートに住み、週2日障害のある方の介護の仕事をして、年収90万円ほど稼いでそのなかでやりくりして暮らしていた。

大原さんは本を読むことが好きで、図書館の本を借りて読むのはお金がかからないから、家賃や食費、光熱費など、生活にかかるお金と趣味の読書や時々の旅行を合わせても年間90万円で足りていたらしい。

食事も質素だけど健康に気を配っているし、何よりいいなと思ったのが、収入が少なくても他の人に対してけちけちせずに、お客さんが来たら冷暖房もつけるし、ときどき会った人には宝くじを配ったり、手作りのスコーンをお裾分けしたりと、人を喜ばせることを楽しんでいるところだ。

また、たまたま当時の大原さんにとって、「隠居」とも呼べるような、働く時間や人とのかかわりの少ない静かな生活が理想であっただけで、大原さん自身それを正しい生き方だとも思っていないし、気が変われば変えるつもりと言っている。

働いても働いても生活が苦しかった時代から、無理のない形を求めて生活を変えていった結果がたまたま、家賃の安いアパートでの年収90万円で週休5日のライフスタイルだったらしい。


収入にかかわらず、日々の支出を減らす方が快適なこともある


大学時代の友人と比べて収入や貯蓄が少ないことを不安に感じたときに、この本を読んで安心することが僕は何度かあった。就職に強い大学を出てしまったせいで、福祉の仕事をしている僕は、同い年の友人と月の手取りにして10万以上違うなんてことが珍しくないから、「国立大学を出たのに収入の良い仕事につかなくてもったいない」なんてことを、誰に言われたわけでもないのに思ってしまうことがある。

自分がしたくて選んだ仕事で、給料も最初からわかっていたし、仕事も楽しくやれているのに、そんな風に思って揺れてしまうことが時々あるのだけれど、この本を読むと、収入が多いか少ないかよりも、自分にあった生き方をすることが大事だよなと思える。

幸い僕は今の仕事を楽しんでやれていて、いまは資格取得のために週4勤務にしてもらっているけれど、それまでは週5で有休を時々使うくらいでもあまりストレスなく働けていたし、今後週5に戻すつもりでもいる。

だから大原さんよりたくさん働いて年収90万円と比べたらずっとたくさんお金をもらっているし、大原さんのような暮らしを目指すつもりもないのだけど、本に書かれているように、日々の生活費を自分が快適でいられるだけの最低限に抑える考え方は、読んでいてすっきりとして気持ちがいい。

僕はミニマリストではないし、食べることがとても好きで、確実に必要最低限以上のものを食べているから食費は結構かかっているし、旅や移動が好きなので交通費などには結構お金を使う。映画やコーヒーやお酒にお金を使ったりもする。

そうやって自分を満たすためにお金を使うことも大事だけど、なるべくは不要にお金を使わない生き方の方が、地球を汚さずにいられる気がする。(実践したいと思いながらあんまりできていないけど。)


自然の中を散策したり、本を読んだり、サイクリングしてみたり、夜外でお酒を飲みながらぼーっと空を眺めたり、こうして文章を書いたり、人と話したり、やってもやらなくても、外の環境がほとんど変わらないような小さなことで、普段はなるべく静かに楽しんでいけたらいいなと思う。


オチも何もないのだけど、ただ好きな本を読んで思ったことを書いてみました。皆さんがやっている、あまりお金かけずにできる楽しみも、コメントで教えてもらえたら嬉しいです。



たまには遠くを眺めてぼーっとしようね。