ここに私は過去の完全犯罪を告白する。

既に時効はとうに過ぎており、司法も私を裁く事はもう出来ない。
何喰わぬ顔で生きている隣人にも、秘密はあるものなのですよ。
知られぬよう、悟られぬよう、ずっと沈黙を貫いて。

たまたまその辺りにいたワル達が、名前も顔も知らないまま手を組みその犯罪は始まった。
舞台は隣の大規模なマンションだ。
木を隠すなら森に、人がたくさんいれば見知らぬ者がいても、気にする者は少ない。
セキュリティは甘く、金網を乗り越えれば容易に敷地に侵入出来た。
表玄関には管理人の姿がある為、我々は裏側から侵入を開始したのだ。
ここからなら安全だと、事前に調査済みだ。既に侵入だけなら何度も成功している。
その日も誰にも悟られず、建物内部に侵入成功した。
外廊下タイプのマンションは12階建て340戸。狙うのは1部屋だけではない。
複数、それも出来るだけたくさんだ。
もうこれだけで、この犯罪が大事件になるのがお分かりだろう。

ここで盗みを働く算段なのだ。
効率を考え、上層階から順に狙って行く。エレベーターや廊下にはカメラはない。乗り込んでしまえばこちらの物だ。
平日昼間は、ほぼ出歩く人も居らず、最上階への移動も簡単だった。

さあ、到着だ。
野郎ども、仕事を始めるぜ！！
号令の下、一気呵成に我々は盗みの仕事を始めた。

1軒、また1軒ととんでもない速度で盗んで行く。取りこぼしには目もくれず、速度重視だ。
時には好みの獲物、時には好みで無い物もあったが、取り敢えず盗む。
先行した者が、、次のターゲットを指示する。次はあそこだ！と。
こんなにスリリングな事が今まであっただろうか？
白昼堂々と、次から次へと開けて盗んで行く。

だが、少しはしゃぎ過ぎたかも知れない。
異変に気付いたのか、ドアを開けて出て来た主婦に犯行現場を見られた。
「あんた達！何やってるの！！」

ヤバい。バレた。
しかし、どうやら顔は割れていないみたいだ。
一斉に解散し、非常階段を脱兎の如きスピードで走り降り、
また金網を越えて逃走した。

結果は成功だ。
その後、注意喚起の手配書に我々の事が書かれていたが、犯人特定には至っていなかった。
そして、町内でも大きな噂となり、私も事情聴取を受けたが当然ゲロすることなく、乗り切った。

戦利品は全て腹に入れていたので、全て持ち帰った。

これが、私の完全犯罪だ。
どうだ？驚くべき犯罪だろう？

↓

追加詳細説明

これは、私が4歳くらいの話である。尚、完全実話で張本人。

マンションに配達され、玄関脇にある配達箱に入ったままのヤクルトや牛乳やらを、片っ端から悪ガキ共が飲み散らかしたのだ。
一口飲んでは、捨て、一口飲んでは捨てを繰り返し。
1本拝借ではなく、あるだけ口を付けて捨てていた。
多分、被害は数十件はあると思う。

廊下にはまだ中身の残っているパックが多数散乱。
ヤクルトは好きなので結構飲んだが、ヨーグル？乳酸菌飲料は慣れなくて不味いわ！と速攻投げ捨てた記憶がある。
牛乳に至っては撒いただけ。
マンション内は、阿鼻叫喚の地獄絵図と化していた。見つけたおばちゃんは半狂乱で騒いでたし。走って追いかけてきたし（当たり前）

ついでに我々が通った後は、どこの家の前もベッタベタになってたはずだ。

たまたま公園にいたクソガキどもが思いつき、その場のノリと勢いだけで犯行を実施。
私も、どこの子か全く知らん。
その後、町内でもその悪ガキ達の噂で持ち切りになり、当然私も親から疑いの目で尋問されたが、「やっていない、知らない」で押し通した。
その後、回覧板で注意書きが回ってきてた。

でも多分、バレてる。

令和にやったらこんなもんじゃ済まないだろうなぁ・・・