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君は魔法少女?

2年1組 花ノ咲 このみさんへ
今から書くことは、少し気持ち悪いかと思われるかもしれませんが最後まで読んでもらえないでしょうか。気分が悪いと思ったら、捨ててもらっても構わないです。
 僕は、ずっとあなたを見てきました。ずっとあなたのことを思ってきました。よければ、今日の放課後旧校舎の裏に来てはいただけないでしょうか?僕の気持ちを伝えたいのです。ずっと待っています、よろしくおねがいします。


 今朝、私の靴箱に入っていたのは一枚の白い封筒だった。なぜか、封にはかわいいキャラクターのシールが貼られていた。最初は、ラブレターかラブレターかとはじゃいでいたが、中を見るとなんか微妙に気持ち悪い。なんだよ、ずっとあなたを見ていました思っていましたって。自分でもちょっと気持ち悪いって思ってんならこんな文書いてくんなよ。
「で、見事にスルーしようとしてるけど。このみんは気持ち聞いてあげないの?」
「いや、そうでしょ。なんかキモいし、変なやつぽいし」
「えー、こういうのがラブレターの基本じゃん。普通じゃん」
「そ、そうなの?私もらったことないから」
「それに、もしかしたら夏樹くんかもよ?」
「いやいや、それこそないって。絶対彼女いるって、というかあんなイケメンなら直接言いに来るって」
「案外、うぶかもよ~。みんなも放課後ついていくよね?いいよね?」
「・・・わかった。なんかあったら助けてよ。後、今度カラオケ奢ってね」
と言うわけで、私はこの謎のイベントに挑戦することになった。今日一日、同じクラスの男子やすれ違う男子の様子をチラチラと観察してみたが、特に不審な男子はいなかったように思った。まぁ、今までずっと見られてたの知らなかった私が、今さら気付けるかと言えばそれはどうかなとも思った。
「このみ、そういえば告白イベかもしんないのにそのままの格好でいいの?」
昼休み。お弁当を食べてくだくだしていると、冬子がまた楽しそうに聞いてきた。他人事だと、人間ってのはここまで楽しめるのだろうか?
「いや、別に告白って決まったわけじゃないし、私はまだ君らの可能性を捨てたわけじゃないからね」
「ひどい、親友が心配しているのにそんなこと言うなんて。ほら、今流行りのおしゃれヘヤーにしてあげるから、頭貸しな」
「なにその、面貸せみたいなの。ちょっと、勝手にやんないでよ。あぁ、ちょ」
「そして、はしゃいで違うけどってなって。ショックを受けるこのみであった。」
「いやぁ、わかんないよ。秋穂、甘酸っぱいムネキュンが味わえるかもよ~」
「自分で味わえよ」

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