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魔法少女、現る

 夢を見た。そこには、上着は白のブラウスでスカートはこれでもかってくらいピンクのスカートを着ている女の子がビルの屋上で佇んでいた。靴は、私がこの前買った赤いパンプスに似ていた気がする。時間は夜。下の方では、キラキラと町の光が輝いている。自分より幼い女の子の姿。本来ならかわいいと思うべきなのだろうが、そんなことではなく、彼女が闇の仕置き人に見えてかっこいいと言うことだった。


 転校生がやってきた。中学2年生の6月。なんとも中途半端な時期だった。
「▽▽県から転校してきました。光 鏡子です」
はきはきとした声と、ちょっと大人びた見た目にクラスの全員が釘付けになった。
「光さん、モデルやってたの?」「光さん、趣味は?」「光さん、部活って入る予定ある?」
「光さん、今日の放課後暇?」「光さん、髪きれいだよね。憧れちゃうな」などなど。担任が教室を出てから放課後まで、彼女はどこへ行っても質問攻めにあっていた。食事をしている時はちょっと困った顔をしていたが、これ以外は慣れているのかすらすらと答えていた。そんな彼女が、学校イチの噂になることは、もはや決められてきたも当然だ。さっそく、新聞部でインタビューをするように指示された。部長は、ミーハーが過ぎると言うか流行りに敏感すぎるというかなんというか。
「いいか、とにかくインタビューの約束さえこぎつければこっちのもんだ。同じクラスメイトとしてさりげなーく、そして警戒されないように。頼んだぞ!」
部長ほどの熱意はないにしても、彼女に関しては気になることはたくさんある。クラスや学校中の人気者だけど、深く関わろうとはしないし、努力があるからなのか本当に天才なのか勉強も運動も完璧にこなしている。運動部からもたくさんスカウトが来ているようだが、すべて「放課後は忙しいから」と断っている。ただ、彼女の放課後については誰も知らないし、聞こうともしない。みんななんとなく、納得してしまってそこで終わってしまう。まぁ、あんなに美人なのだからモデルか、なにか芸能的な活動でもしているのだろう。それにしても、毎日人間に囲まれまくっている彼女にさりげなーく、警戒されないように忍びなーくインタビューの約束にこぎつけるなんて難しいことできるだろうか。もしかしたら、個人的に調査している『学校七不思議・突然止まる時計の件』より難しいことではないだろうか。

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