見出し画像

『周易』3

1ヶ月ぶりになりますが、『周易』を読んでいきたいと思います。
「乾」の卦は今回でおしまいです。それでは、
「文言傳」のつづきを読んでいきましょう。


「ひそめる龍、うごいてはいけない。」
というのは「下」ということを以ってまだことを行うべきでないことを言う。

北宋の学者、程伊川は、「これは「下」と言うことでもって「乾」の時宜を言っている、「ことを行ってはならない」とは下にあるのでまだ行うときでないのである」との旨の注釈をしています。(「此以下言乾之時勿用以在下未可用也」『伊川易傳』-宋-程頤 より)

「あらわれた龍」
とは時に止めるのである。

同じく程伊川は、「時節に随ってやめるのである。」と注釈します。(「隨時而止也」『伊川易傳』-宋-程頤 より)また南宋の朱熹は「まだ時宜にかなった途を得ないのだ」と注釈します。(「言未為/時用也」『原本周易本義』-宋-朱熹 より)

「終日つとめはげむ」のは事を行うのである。

「飛びあがろうとして淵にある」とは自分で自分を試すのだ。

「とんでいる龍が天にいる」のは上のものの政治である。

程伊川は、「位を得てそうして上の者の政をおこなうのである」と注釈します。(「得位而行上之治也」『伊川易傳』-宋-程頤 より)

「のぼりつめた龍、悔いがある」
窮まることの災いである。

乾元が陽を用いて天下は治まるのだ。

程伊川は、「用九の道というものは、天が聖人と同じくする。その用の時宜を得た時に天下が治るのだ」と注釈します。(「用九之道天與聖人同得其用則天下治也」『伊川易傳』-宋-程頤 より)朱熹は「…君主の道は剛健であっても陰柔にしたしむ。天下がおさまらぬはずはない。…」と述べます。(「…君/道剛而能柔天下无不治矣…」『原本周易本義』-宋-朱熹 より)遡って魏の王弼という学者は
「ここまでの一章はすべて人の世のことをもって経典を解釈するものだ…」と注釈しています。(「此一章全以人事明之也」『周易註』-魏-王弼 より)


「ひそめる龍、うごいてはいけない。」
というのは陽の気がひそみかくれているからだ。
「あらわれた龍」
というのは天下が「文明」なのである
「終日つとめはげむ」
というのは時と共に行うのである。
「飛びあがろうとして淵にある」
というのは乾のみちが変化するのである。
「とんでいる龍が天にいる」
というのはそれこそ天の徳に居るべきようにいるのである。
「のぼりつめた龍、悔いがある」
というのは時とともに全てがきわまってしまうのだ。
「用九」は天の法則をみるのである。

王弼は
「ここまでの一章はすべて天の気をもって経典を解釈するものだ…」と注釈しています。(「此一章全說天氣以明之也…」『周易註』-魏-王弼 より)

「乾元」ははじめであって、とおるものである。利貞は性情である。

「乾始」はよき利益を以って天下を利益することができる。
しかも利益した手柄を言わない。偉大なことよ!
偉大だなあ!乾は。剛健中正で純粋の精である。

朱熹はこの「剛」「健」「中」「正」の「…四者は乾の徳である…」とします。(「…四者乾之德也…」『原本周易本義』-宋-朱熹 より)

六爻を発揮して情にあまねく通ずるのである。
時に応じて六龍をつかって、天を統御する。「雲がながれ雨がふって」
天下は平らかである。君子は完成した徳を以って行いをする。
日に日に見るべき行いである。

「潜」のことばは隠れてあらわれてこない、
おこなって完成しないの意である。だから、君子は「用い」ないのである。

君子は学んであつめ、問うて辨じ、寛大で居り、仁で行う。
『易』にいう、「あらわれた龍、有徳者に謁見するのがよい」とは、
君主の徳である。

九三は剛をかさねて中でなく、上は天になく、下は田になく、
ゆえにつとめはげみその時宜をみておそれ慎む。
危ういが咎がないといえる。

九四は剛をかさねて、中ではなく、上は天になく、下は田にない。
中に人がいない。故に「或す」「或す」とは
「疑う」のである。だから咎がない。

いったい大人は天地と徳を同じくし、日月とその輝きを同じくし、
四時とその順序始末を同じくし、鬼神とその吉凶を同じくする。
(聖人は)天に先立って天と違わず、天におくれて、天の時宜に
したがう。天は違えないものであり、それにしたがう。人はましてやであり、
鬼神もましてやである。

「亢」の言葉の意味は進むを知って退くを知らず、存するを知って、
亡びるを知らない。得を知って喪うを知らない、ということだ。
いったい聖人だけだろうか。進退存亡を知ってその正を失わないのは、
いったい聖人だけなのだろう。

(原文)

(c) Kanseki Repository. 作成されたコンテンツは CC BY SA のライセンスで提供する。(※原文を日本語訳)

(以下参考)

(c) Kanseki Repository. 作成されたコンテンツは CC BY SA のライセンスで提供する。(※原文を日本語訳)

参考URL


この記事が参加している募集

国語がすき

古典がすき

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?