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伝えない事で伝わる想い

今日は、久々に映画の話


今まで観た映画の中で
私が過去一、良かったと思える映画
何度でも観たい、と思う映画

それは

冷静と情熱のあいだ


人に勧められて、なんとなく観たけど
観た瞬間に
映画の中の風景とセリフ
そして、役者の演技に吸い込まれた

それから、事あるごとに観る

原作は、江國香織と辻仁成の恋愛小説


物語は、とても静かに流れるんだけど
その中の人物の心の中はとても熱く
それが、ものすごく伝わってくる

若かりし頃の竹野内豊と
香港のケリー・チャンが演じてる

舞台は、イタリアのフィレンツェ

また、このフィレンツェの街並みが
雰囲気が良すぎて、哀愁漂う感じで
映画を盛り上げてるところもある


あらすじなどは、あえて書かないけど
私はこの映画で
あえて、伝えない事で伝わる事もある
という事を学んだ

それはどういう事かというと

言葉はやっぱりすべては伝えきれない

って事

前も記事に書いたけど
人の言葉を額面通りに受け取って
その言葉(単語)の意味が分かっても
裏側にある気持ちまでは
分かってあげられない
もしくは
分かってあげる事は容易ではない
って事

そして、もう一つは

大切な人の事を想い、あえて

大事な事を言わない
本心を伝えない事を選択する

って事


この映画の中では、後者の方で

なんでソレ、言わへんの?
そんな大事な事言わなかったら
誤解されるやん!

って事が、ある

結果、二人はすれ違ってしまう


私なら、まず無理

思った事は常にその時に言うし
なんなら超感情的に、吠えまくるし笑
そうじゃないと伝わらないし
すべては伝わらないにしろ
伝わるまで話し合おう、と思ってるし

今でもその部分は変わらない

けど、この映画の中では

あえて伝えなかった事が
二人をまた引き合わせる事になる

それを観ると思う

縁とは、そういう事なのだなぁ


これも、前、記事に書いたけど

やっぱり人って
聞かなければいけない言葉は
その人にとって
必ず体に沁み込ませなければいけない言葉は
どれだけ時が経とうとも入ってくる

その人が聞かなければいけないタイミングで
必ず誰かを、何かを通して伝わる

その時にようやく気付くことがある

なんであの時言ってくれなかったのか
という事を
そして、あえて言ってくれなかった想いを

どれだけの深い想いがあり
どれだけその人の先を願って傷を背負い
その傷と共に生きていく覚悟で
言葉を吞み込んだのか、を

その傷を背負ってることさえも隠し
何年もの間
冷静を保って生きてきてくれた事、を


思えば、生きてく中で人って
言いたい事、言えなかった事
コレを比較すると
言えなかった事の方が圧倒的に多い

これだけ感情的に言う私でも
友達だった人、仕事仲間だった人
そして、夫婦、親子、でも
きっと、言えなかった事の方がたぶん多い


その呑み込んできた言葉を、想いを
きっと、こうやって形で表したりするのが

SNSであり、音楽であり
絵であり、小説であり

なんだと思う

そして
そこに気づいてくれる人がいる事で
その想いが浄化されたりするのだろう



私は、この映画を観るたびに
グッと刺さるセリフがある

人の居場所なんてね
誰かの胸の中にしかないのよ


居場所って、今いる場所だ、って
思ってしまいがちだけど
でも、このセリフの意味は
物理的な場所、では決してない

今、自分がいる場所で
誰も自分を必要としてくれなかったら
きっと、その場所は
ただ、住んでるトコとしか思えない

でも、誰かが自分を必要としてくれるなら
たとえ一緒に住んでなくても
どれだけ離れてても
そこが、その人の居場所だと思える

“心の拠り所”

という意味合いなのだと思う


映画の中での二人は
すれ違いから離れ離れになって
もう顔を見る事も、もちろん話す事も
かなり長い間なかったけど
きっと、お互いの胸の中に忘れる事なく
お互いが住み続けていたのだと思う

それは、伝えなくても伝わる想い

むしろ、言葉にすると陳腐になる想い

言葉にしないからこそ
伝わる想い、感じる想い


言葉は
時に人の想いの値打ちを下げてしまう
大切な事を言えば言うほど
嘘っぽく感じてしまったりする

けど、肝心な事は言わず
ただ、冷静に時を待つ事で
長い年月がかかっても伝わる事がある

その時、その想いは
何倍にもなって相手の心に届き
離れてた時間があったからこそ
伝えてくれなかったからこそ
今の二人がいるのだ、と
心から思える事ができる



きっと、夫婦も友達も同じなのだと思う

ぶつかり合う事も大事だけど
言われたくない事を
あえて言わないでいてくれる相手は
きっと、大切にしなくちゃいけないし
大切にする価値がある人なのだ

私は、まだまだだけど
もう結婚27年目なのに、まだまだだけど
変わるかわからないけど
でも、ホントに心の底から、思える


伝えない事で伝わる想いがある


これだけは、断言できる


『過去を甦らせるのではなく
未来に期待するだけではなく
現在を響かせなければならない』


コレは映画の中の、もう一つの名言



奇跡なんかそうそう起こるもんじゃない
たんたんと冷静に、ただ待ってくれていた
そんな相手がいたからこそ
この奇跡は起こったけど
それも、お互いに居場所を感じていたから

その居場所がある事を
相手を信じるんじゃなく
自分がそうあればいい
それだけでいい、と
相手の気持ちはどうであれ
自分の気持ちだけを信じてきたから

だから、過去を蘇らせたって仕方ないし
未来に期待したって仕方ないし
今、ココで起こってるすべてを
ココにあるすべてを響かせなくちゃいけない


私は、どれだけこれからの人生
今を、響かせることができるだろう
もう人生半分きてしまったけどね


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