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邂逅。

昨日、西荻窪をフラフラしていて
松庵のあるカフェが目に止まった。

そのまま歩き続け
ある地点で駅に折り返し

そのカフェのところで
どうする?
入る?
と相談し

中に入った。

あまりにも自分の好み過ぎるカフェだった。

外観も
インテリアも
置いてある本も
器も

何よりカフェに流れる時間も空気も

私は、静謐で温かい空気が流れている
カフェが好きだ。

秋田市の大町にあった頃の石田珈琲店や
(移転した札幌のお店にも訪問した事がある)

仙台の
Cafe haven't we met

神楽坂の
u-ma kagurazaka

谷中の
谷中ボッサ

伊勢市の
ダンデライオンのカフェスペース

敬称略で大変恐縮だが
これらのお店の空気と時間と珈琲の美味しさが
本当に好きで気に入っている。

そんなお店にまた一つ
西荻で出逢えた。

カフェの玄関が引き戸であること。
松庵という街と住宅街への溶け込み方と
お店の佇まい
夜に溶ける照明の加減
ファニチャー
と全てが丁度良い塩梅で
こんなお店にまだ出会えるなんて
嬉しいな

と純粋に思った。

珈琲も本当に美味しかった。
飲みたかったストレートが品切れだったので
ブレンドを頂いたが
ちょっと今まで経験したことのない香りだった。
それなりに珈琲は飲んできたと思うのだが・・。

静謐な空気の温かいお店で
非常にやわらかな時間を過ごさせて頂いた。


こちらのお店では
今度ライブも開催されるようだった。

実は
お店を一目見た時の瞬時の印象が

あぁ、こちらでライブをしたい

というものだった。

何と傲岸不遜な
と、自分を戒める。

その後で、ライブの告知のチラシに気付いた。

あ、実際にライブ開催しているのか
と。


ライブをしたいという場所に出逢ったの
一体いつ振りだろう。

今まで自分から売り込んで企画して
日本中沢山のカフェでライブさせて頂いた。

勿論、断られたり相手にされなかった事も沢山ある。
けど、やりたいことにとにかく真っ直ぐ
ブルドーザーみたいに突っ込んでいってたなぁ

と、忘れていた記憶の蓋が空いた。

あの頃の熱量は一体なんだったのだろう。

ショウステージ的なライブハウスや舞台も
勿論大好きだったけど
カフェで、客席と同じ場で歌うのは
自分にとってはまた特別な事だった。

歌い始めた時から、カフェでのライブにはこだわってきたし

いつかライブしたいと思っていたカフェが
いくつもあった事を思い出した
代官山蔦屋書店とか、
仙台のカフェモーツァルトアトリエとか
懐かしいな。


日常生活に根ざした音楽
誰かの日常生活に寄り添う音楽

それが私の音楽であり、歌だと思っている。
オリジナルでも
カヴァー曲でも

だから、カフェなのだと思う。
カフェは私にとっては
絶対になくてはならない日常だから。

そんな昔の事を今の自分と繋げるように
記憶や思い出を辿る。


リリースした2nd Albumの
『Better Life』が
予想以上に色々な方々が聴いて下さっていて
本当に驚いている。

同時に
「ちゃんと、聴いた人に届いている」
と何度も実感できて
嬉しくて、有難くて、泣きそうになる。

自分の音楽や歌は、届く

本当に久しぶりに
そう素直に感じられた事が
大分自分自身への救済となった。


さて、冒頭で述べたカフェと
ライブだが

今の私はあの頃よりも
熱量の放ち方が
大分冷静になって、したたかになった。

今は
直ぐのアプローチよりも
今自分の内側に鳴り響いている音楽を
ゆっくりと豊かに育てていきたい。

そして
機が熟したと思った時に
問い合わせてみようと思う。
その時には、ミュージシャンとして説得力のある自分であるよう
これから精進していきたいと思っている。

先ずは
告知されていたライブ
もしまだ予約できるのであれば
拝見しに伺おうかな。
私でもお名前を存じ上げている
素晴らしいミュージシャンの方のライブだったので。

そして
またお店に珈琲を頂きに伺いたい。
今度こそあのストレートの珈琲を頂きたいし
大好きなチーズケーキも美味しそうだった。
幾度も通って
烏滸がましいが
私の大切な場所にさせて頂けたら嬉しい。


カフェとの偶然の出逢いにより
自分の内側に
ライブに対する熱をまた感じられた事に
一介の歌唄いとして
じんわりと嬉しさが心の淵に滲んだ。

そして
自分自身がまだ自分らしさを覚えていた事に
少し安心する事ができた。

西荻での夜の事だった。

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