見出し画像

リズム・デトックスというストレス解消法

人と会ったり、本を読んだりしたあとで。
なんかザワザワする。なぜだかストレスが溜まっている。

そういう時に、即席でストレスを解消するマイ・ウルトラ・ストレス解消法を書きます。

生きていると、自分とリズムが合わない人がいる。

性格もいい。言ってることもおもしろい。なんなら顔も好きだ。でもどうも一緒にいて疲れる人というのは「自分とリズムが合わない人」だと思っている。

文章にもリズムがある。

内容はおもしろい。論理的だし、上から目線でも自己顕示欲ダダ漏れでもない。でもなぜだかスッと入ってこない文章は、自分とリズムが合わない文章だと思っている。

リズムは抽象的な概念だから、リズム問題を言葉にするのは難しい。

でも編集者としてこの問題を放っておくわけにはいかない。まず、大量の本を読みたいのだ。読みたいのに読みにくいのはツラい。そして編集者と著者は少なくとも半年、通常は何年も1対1の関係を続ける。リズムが合わない人と一緒にい続けるのはけっこうツラい。リズムの合わない文章を読み続けるのは想像以上に苦しい。自分とリズムの合わない文章を世に出すことにも大きな抵抗がある。

小難しいリズム論を展開するつもりはない。

書きたいのは自分で勝手に編み出した「即席で自分のリズムを変える方法」。自分の中にないリズムを一時的に自分の中に取り込んでマイリズムを変化させ、フィジカルにインスタントに「違うリズムを持つもの」に対応する方法。そしてこれは即時的なストレス解消法にもなる、というのがn=1の実感。

場所は、カラオケボックス。リズムは音楽的な概念だから、解決策は音楽にあるだろ、というアホみたいな仮説からスタートした方法。

「なんか気になる曲」をメモっておく

街中で、カフェで、テレビで、ネットで、知らない曲に出会うことがある。その時、「なんか気になる」「妙な違和感があるけどちょっと惹かれる」と思ったら、soundhoundspotifyなどの音楽アプリを開いて曲を特定し、iphoneに取り込んでおく。

「なんか気になる曲」は、だいたい、自分の中にはないリズムを持っている曲だ。「嫌いな曲」「耳障りな曲」をメモる必要はない。嫌いなものを無理に好きになる必要はない。そんなことしないほうがいい。というか不可能だ。

「リズムを完コピして歌い切る自分」を妄想する

まず、その気になった曲を聴きながら、それを完璧に歌い切る自分を妄想する。歩きながら聴くのがいい。歩くことはリズムを刻むことでもあるから、グルーヴする可能性が高い。歌い手のリズムに完全憑依した自分を想像するだけで、目の前の現実から飛べる。

この段階では、歌詞付きの曲でなくても、ジャズやクラシックでもいい。聴いている間中、プロドライバーの助手席に乗るようにして、借り物のリズムに身を預けることができる。これはもうみんなやってるかもしれない。

カラオケで妄想を「実現」する

本当に自分のリズムを変えたいときは、実際に歌うといい。積極的に再現することで初めて他人のリズムが自分の中に入ってくる感覚が得られる。そして私は妄想を「実現」すべく、1人カラオケに足を踏み入れる。

ここで歌うのは1000回聴いたような大好きな曲ではいけない。好きな曲のリズムは、もう自分の中にあるからだ。「リズムの違和感が強い曲」の完コピを目指し、何度も歌う。

目的はあくまで「自分にないリズム」をインストールすること。うまいかヘタかは関係ない。 だって誰も聴いてないんだから。むしろ自分の目すら気にする弱々しい自意識を蹴散らすいい機会になる。鬱屈して行き詰まった自分のリズムを追い出して、別世界のリズムに全身を委ねる超デトックス。

ちなみに、ある日のラインナップはこうだった。

- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -
阿部真央、ビョーク、 クリープハイプ、クリーデンスクリアウォーターリバイバル、グリムスパンキー、オーケーゴー、きのこ帝国、シガーロス、森高千里、ゲスの極み乙女、ザチェインスモーカーズ、宇多田ヒカル、米津玄師、DADARAY、aiko、ギルバートオサリバン、コールドプレイ、スピッツ

※aikoへの愛についてはこちらの記事をご参照ください
- - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - - -

曲は全部歌わなくていい。聴いたときはよかったけど、歌ったら合わなかった、ということもよくある。「あ、求めてるのはこのリズムじゃない」と思ったら即「演奏中止」をポチって次の曲に移行する。

そして、その時の自分がいちばん乗っかりたいリズムの曲を見つける。このときは米津玄師だった。

最後にもう一度その曲を歌って締めて、帰り道も聴き続けるのがマイルール。スピーチ原稿を何度も音読して脳に擦り込ませたときのように、自分の中に新しいリズムが浸み込んでいく。

わたしは、この方法で、他のどの方法でも解消できなかったストレスを何度も解消しながら生きています。

もし、新しいストレス解消法を探している方は、お気軽にどうぞ。

※この記事は、グレン・グールドの『Bach (CPE): Keyboard Sonata #1 In A Minor, WQ 49/1 - 3. Allegro Assai』と、グリムスパンキーの『夜風の街』をリピートしながら書きました。グールド、スパンキー、ありがとう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?