うちの４歳の鉄道熱は加熱の一途をたどっている。朝起きては線路、食事の時間を惜しんでは線路、もちろん夜寝る間も惜しんで線路である。その結果がこのリビングを占領する線路なんである。

かの棋士の藤井聡太三冠は、モンテッソーリ教育を受けていたそうだ。モンテッソーリと言えば、「おもちゃをひとつ出したら、遊び、片付け。片付けたら、次のひとつを出す」という流れを大事にしていたはず…

だが、うちのチビにはそれが不可能！

「線路、片付けないでね」とおっしゃる。

わかるよ、これだけ一生懸命につなげた線路だもんね。「いやいや、そうは言ってもお片付け大事でしょう！」とは言い難い。だから最近は、脳科学の先生が言っていた「子どもの空間認知能力を育てるには、『広げっぱなしの空間』が必要！」説を採用することにした。

広げっぱなしにしておいたものを、毎日少しづつ改良を加えていていく。そうすることで、全体像を把握し、それをふくらませる能力が育つという。

これって、かなり大切な力じゃないだろうか。地図が読めるようになるという小さなことじゃない。

世界がどんなふうに広がっているのか、どんなふうに変化させることができるのかを知ることになる。そして何より、自分は世界を組み替えられるのだと理解していく。

これってすごく大事。大人の言うことに従う素直さだけでは、誰かに追随する大人になってしまいかねない。

それよりも『変えたいと思ったら、自分の力で変えられる』ことを知る。それこそが人生の空間認知能力を得るということじゃないかな、なんて思う。

この『空間認知能力を育てるために、広げっぱなし』は、子どもにだけじゃなく、親の精神衛生にもとてもよろしい。

（あ〜片付いてないよイライラ、掃除もできないよイライラ）がなくなるからだ。

「だって子どものためだもの！」と思いきれば、片付かない空間も素晴らしい教育的な世界に変化して視える（はず！）。

もっと成長したら「秘密基地作り」なんかも、何日もかけて作り込んだりするだろうし、そこで忍耐力や構成力が養われていく（はず！）。

うちの子は線路だけど、どんな子にも世界を作り上げるツールが有る。絵を描く、積み木を重ねる、庭に石を積む…何だっていい。

自分で世界を作り、さらにはそれを破壊することができる。そのことを知っていくには、「おもちゃを出したら片付けて」じゃない、広げっぱなしの場所も必要なんだ思うんである。（確実に家が狭くなるわけですが、まあ仕方なし！今だけ！）

皆様、すてきな秋をお過ごしください。