見出し画像

子と断絶させられた父親が「子の連れ去り」相手に3点セットで成功した話

子どもが母親に連れ去られた2020年、私は何も知らない一般の会社員の普通の父親でした。

妻との関係を再構築中しようとしていた私は、妻が1人で別居したいというので何も考えず別居し、子どもを私が面倒をみていました。

しかし、この別居によって人生最悪の子の連れ去り事件の当事者となり、後に限りなく低い可能性の中、いわゆる3点セット(子の監護者の指定,
子の引渡し,審判前の保全処分)にて子どもを取り戻すことに成功しました。

本記事では,自らの経験をもとに,子どもを自分の家に戻すために何を行い,何をしたことが良かったのかを連れ去り被害者の視点でお伝えいたします。

以上の方を対象にしています。

当時は,まさか自分が子の連れ去りの被害者になるとは思っていませんでした。

「子の連れ去り」とは,一方の配偶者が黙って,または騙して子どもを連れて行くことです。
場合によっては,連れ去り後すぐに相手方の弁護士受任通知が届き,離婚などの調停を突然進められることもあります。

いきなり当事者になる恐ろしさは経験者しかわかりません。
当事者になってから調べると,連れ去られた父親の悲劇ばかりが目に付きました。
母親の方でも連れ去りの被害者になっていました。

絶望。。。

絶望とはこういうことかと感じる日々でした。
毎日,涙が止まらない。
ご飯を食べても味がまったくしない。
砂を食べている感じがする。
眠れなくなり,布団に入っても汗や震えが止まらない。
明日,目が永遠に覚めないといいのに。。。
子どもの声が聞こえた気がする。。。などなど

人間,本当にひどい状況になると体も心もおかしくなるんだなと実感してしまいました。

そんな中でしたが,子どもに会えなくなるかもしれないが,父親としてやるべきことをやるしかないと決心。
どうなるかわからないが,絶対に後悔したくないと思い弁護士に依頼し闘うことにしました。
基本的にいわゆる3点セット(子の監護者の指定,子の引渡し,審判前の保全処分)で申し立てをしました。

最終的には,高裁まで行き父親が監護者となりましたが,個人的なポイントは以下の4点と思っています。

  1. 弁護士を理解する

  2. 裁判の流れを理解する

  3. 監護者としてふさわしい実績・証拠

  4. 裁判での振る舞い


個人的な情報が含まれる可能性があることや個人を特定されないために一部変更してありますが,行ったこと,やってよかったことに関して記述してあります。

多くの方に読んでいただくことは必要ではないと考えています。
前半部分を読んでいただき,さらに読みたい方はご購入ください。



I 1 I 弁護士を理解する

1−1 弁護士を依頼した経緯

弁護士がいらないという方もいらっしゃいますが,私は依頼しました。
依頼した理由は,当時は弁護士なら子の連れ去りから助けてくれると考えていたからです。

相手方が,相手方の実家に子どもを連れて行ったことはわかっていました。

当初は,飛行機で子どもが連れ去られた相手の実家に行こうとしました。
連れ去り後すぐに動こうと思ったのですが,すぐに行ける飛行機がありませんでした。
そこで,相手の実家に行って子どもを連れ帰る前に弁護士に法的な相談をしようと思い弁護士事務所に行きました。

相談ということで対応してくださったのは,女性の弁護士さんでした。
インターネットを見ると,時系列に事情を紙に簡単にまとめて相談したほうがいいと書いてありました。
そこで事前に連れ去りの事情をまとめて相談に行きました。

相談すると第一声が

でした。

私は,何のことかわかりませんでした。
なんで連れ戻しにいかないほうがいいのかなと。

こっちは父親だし,子どもとの関係も問題ないし警察呼ばれることなどないでしょうと思っていました。
しかし,呼ぶ人たちがいるんですね~。

あとから知ったことですが,子どもの連れ戻しで逮捕されることがあるんですね。
同じ親権者なのにありえないです。
しかも,そのことで後々不利に裁判で判断されるかもしれないなんて言われました。

おいおい,日本の司法はどうなってんだと。
またまた絶望することになりました。

しかし,当時は他に手がないと考えていましたので,弁護士に依頼するしかないと考えました。

地元で一番大手の弁護士事務所でした。
そこで会った弁護士のおかげで闘えたと今でも思っています。

その自弁に最初に言われたことは,

私は,正直言って,「無理でしょう」と言われると思っていました。
しかし,この弁護士先生は,戦う余地があるとおっしゃってくれました。

どうして戦う余地があったのか。

それが最終的に子どもを連れ戻すことに成功し,わずかな可能性を広げた端緒だったのです。

1−2 弁護士を依頼してよかった点

1−2−1 裁判実務の専門家である
弁護士は,専門分野がそれぞれ違います。
しかし,多くの場合,離婚や親権の事件を扱った方が多いです。
そのため,事例を多く知ってらっしゃるので,裁判の流れやポイントがよくわかっています。
その経験を使わない手はありません。
書籍や判例だけでは知り得ない情報をお持ちです。

1−2−2 書類作成をすべてお願いできる
裁判をするまで知りませんでしたが,書類が多いです。
主張書面や相手への反論,裁判所への提出書類,相手方とのやり取り等々,こんなに書類作成するの?
というくらい多いです。

しかも,裁判で主張する書面は,独特の表現があります。
素人が書けるかもしれないけど,保全をするために時間がありません。
時間をかけてしまうと相手が監護実績を作ってしまいます。

正直言って,精神状態も不安定だし,仕事もしています。
この状態で文章を書く時間をかけられないと思います。

書面の形式や表現などに時間をかけるより,子どもを養育していた証拠をそろえたり,裁判の流れの勉強に使ったほうが間違いなく良いです。

結局,私は弁護士に証拠を提示し,取捨選択してもらい効果的な書面を書いてもらいました。
これは,依頼費用とのトレードオフです。

1−2−3 大手事務所か個人事務所か
これも人によりけりかもしれません。
しかし,私の場合は,大手の弁護士事務所で間違いなく良かったです。

セカンドオピニオンとしていくつかの弁護士事務所にも連絡しました。

しかし,
3件中1件はメールも電話もつながらない。

もう1件は,個人事務所で2週間後しか相談できない。
至急動きたいのに。。。

さらにもう1件の個人事務所は,電話の3日後に相談できました。
でも,正直あまり具体的な解決内容が相談できず,

としか言われないし,事務所は一人で忙しそうでした。

地方においては,一人の弁護士でやっている個人事務所よりも多くの弁護士を抱え,地域で長く経営されている事務所。

つまり,信頼がある弁護士事務所のほうが,知見も運営も良いと判断しました。

裁判の過程で知るのですが,弁護士は,書類を連名で出したり,結局,事務所で相談するみたいですね。
それなら,なおさらそういう弁護士集団を抱えている事務所の方がいいのではないかなと私は考えます。

結果的にはそれが正解でした。

1−3  弁護士像を改める

私はたまたますぐに良い弁護士に出会えましたが,探す中で,それまで私の抱いていた弁護士のイメージはまったくくずれました。

テレビや映画の人情,正義感にあふれる人を弁護士として考えていました。
それはまったくの間違いでした。

弁護士とは代理人である。
弁護士は,決してあなたの分身,なんでも屋ではありません。
依頼者のあなたの言うとおりに全てを行い,法律を駆使してくれる完璧な人ではありません。

よく考えてください。
あなたは,クライアントの一人に過ぎません。
弁護士は多くの顧客を抱えています。

どうしてあなたのためだけに仕事をするのでしょうか?
あなたの案件は,その弁護士先生を独り占めするくらいの報酬なのでしょうか?
そうでないなら普通に考えたら,ほどほどに対応してくださるのが当たり前ですよね?

また,とてもドライな対応をする弁護士もいます。
ですが,ここで弁護士に怒ってはいけません。

毎度毎度,家事裁判のような家庭の事情をかかえたクライアントに感情移入すると想像してください。
弁護士みんなは鬱になりますよね?

いちいち感情移入しても仕方ないですよね。
それで勝てるわけではないですし。

つまり,ドライなくらいが丁度いいんです。
法律と基本的な裁判での実務,さらにそれ以外の知識や技術,事務所の規模によるサポート体制があればいいのです。

このマンガのようなマインドの弁護士がいちばんしっくりきますし,自弁も少し似ていました。

このマンガの作中にこうあります。

余計なことやお世辞を言わない。
必要なことだけを本音で言ってくれたので信頼できる。

我々は,弁護士に身の上を共感してもらいに相談に行くのでしょうか?
違いますよね?
子どもを戻すために,理不尽な子の連れ去りと闘う武器を手ににいれるために相談にいくんですよね?

われわれのための裁判なんです。
われわれが弁護士をうまく使うのです。

では,そのために何が必要ですか?


I 2 I 裁判の流れを理解する

裁判なんてやったことがなかったので,ネットで調べたり,書籍をいくつか購入しました。
しかし,流れはなんとなくわかるのですが,まず言葉が自分の知っている意味と違いました。

期日?審判?決定?

なんか同じことをいっている単語があるけど,微妙に異なったりするし,なんだろう。。。

また,裁判中に行われる調査官調査が重要ですが,監護権を手に入れるためのポイントが具体的にどのように調査され,調査官や裁判官に決められるのかのイメージが全然湧きませんでした。

少なからず弁護士と話ができるように,裁判がどのように行われていくのかを勉強しようと思いました。

実際の裁判の流れは,おおまかに以下になります。
ちなみに子の連れ去りのケースは,保全処分をつけますので,調停ではなく審判事件になります。
調停にすると時間ばかりかかり,相手が監護実績を作ってしまいます。

1 家庭裁判所へ申し立て,主張書面
2 相手方の反論
3 家庭裁判所で期日
4 家庭裁判所,または申立人宅,相手方宅で調査官調査
5 裁判所でマジックミラーによる試行面会交流,調査官調査
6 審判
7 高等裁判所へ抗告
8 棄却など

これがわかってからが始まりです。

そんなの弁護士が教えてくれると思うかもしれませんが,もう1度考えてください。

弁護士によっては最小限しか教えませんよ。
だって,私やあなたは,クライアントの一人に過ぎないのですから。
我々は多くの報酬を支払うクライアントですか?


少なからず家事裁判については自分で勉強する必要があります。
今後何が起こるのか。
どのような流れで,どのポイントが大切なのか。
私のオススメは,この書籍一点です。

色々と購入する中で一番役に立ちました。

というかタイトルがそのままですし,

「監護権を争う人で読まん人いるの?いないでしょ!」

というくらいの素晴らしい内容です。

例えば,子の監護者指定の判断基準が書いてあります。

第2章 監護者指定の基準 (子の利益)とその判断過程 
① 子の従前の監護状況 (別居前の監護状況)
② 子の現在の監護状況 (別居後の監護状況)
③ 父母の監護能力・監護態勢
④ 子の事情

(p.42~)

ウ 子の奪取と監護環境の継続性
「監護者との継続性」と「監護環境の継続性」の区別を前提としても、子の奪取があったと判断されるような場合には, 実務上、監護環境の継続性を重視することには慎重な立場が取られることが多い。 例えば,子の監護の継続性については,子の出生以来の生育歴全体の中で考慮したり,監護開始の態様の悪質性が強い場合には, それ自体が監護者としての適格性を疑わせる事情であるとすることもある。

とあり,相手の子の連れ去りがいかに違法性,悪質性が強いかをきちんと訴えることが重要と書いてあります。
こちらに関して,弁護士が主張書面に記述するでしょうし,そうでないならきちんと弁護士にお願いしましょう。


そして,私のケースはこの書籍の通りになりました。
何よりためになったのは,家庭裁判所で何が行われ,何を裁判官や調査官が見ているのかがわかります。
これを事前に読まずに家庭裁判所に行くなんて今から考えてもありえないです。

準備不足もはなはだしいです。
読まずに行くなんて,すでに負けています。

I 3 I 監護者としてふさわしい実績・証拠

私の場合はいわゆる,母親が子どもを連れ去り,父親が3点セットで家庭裁判所に申し立てるケースです。

弁護士事務所に行く前や,行ってからもTwitter,webサイト,判例を見ると父親にとっては不利な事例が多く散見されました。

しかし,自弁は,

と言ってくれました。

これを弁護士が言うに至った私の事情が,可能性が少ないが監護者となった大きな要因なのだと思います。

ここから先は,有料となります。
個人の話であり,必ずしも購入者の方の案件に合致するわけではありません。
また,大変申し訳ありませんが,購入者の方に個別にコメントや助言などはいたしません。

私の監護状況は以下のようでした。

ここから先は

9,636字 / 20画像

¥ 6,800

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?