無理してまでレジ袋を断った

 2020年7月1日から始まったプラスチック製買い物袋の有料化から早くも2年が過ぎて、もうすっかりビニール袋を見なくなった。
 空高く、風に揺られて道路に舞うビニール袋。街路樹の植え込みに捨てられた、雨晒しのビニール袋。そんな姿が、今はもう懐かしい。
 スーパーやコンビニで「レジ袋は要りますか」と言われると、買い物の量的に本当は欲しいのだが、世間体を気にして断ってしまう。エコバックを所持している事は常識である。世間はそんなスタンスである。残念ながら私はエコバッグを持ち歩かない、世間から逸脱した人間である。
 レジ袋を貰うという行為は、今や環境問題に配慮をしないクズ人間であり、社会から逸脱しているという烙印を押される域まで到達している。社会の目は冷たい。店員の反応、街の人の視線を気にしながらレジ袋を持って帰るという試練。レジ袋を貰うという行為には相当な罪悪感が生じる。
 そんな困難な試練を乗り越えられるはずはなく、レジ袋は諦める。商品は両手を使い、器用に持って帰る。その姿は世間から見てさぞ滑稽に写っているだろう。


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