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好きな作家 ジョー・R・ランズディールとの出会い

 「罪深き誘惑のマンボ」
 偶然本屋で手に取って買ったのが、「罪深き誘惑のマンボ」 1998年 角川文庫。
 その時私は42才だった。半導体プラントの事業部で工場の電気設計をしていたが、半導体の景気が行き詰まっていた頃だった。そこにCCOM違反も重なり、おそらく組織としては潰れると思った。
私は潰れる前に社内起業に手を挙げて、サービースプロバイダー(新組織)に転籍していた。仕事の内容も情報システム屋に鞍替えした。

初の半導体不況
 1985年からPCが急激に普及しDRAMなどに大きな需要があった。
しかし、市場が一回りして1996年からマイナス、在庫の増大、加えてその後の64DEAMの開発において、アジア(韓国、台湾)のシェア競争に日本は負けた。
この不況はその後、日系メーカ各社、富士通(1999年撤退)、日立、NEC(1999年エルピーダ設立別会社化)、東芝(2001年撤退)、等のDRAM撤退の契機ともなった。
バブル崩壊から半導体が唯一の儲け頭だったが、それにもつまずく。
この頃から、日本の大手電気メーカは迷走を繰り返していく。

メモリ需要が極端に減る

 当時は設備設計から頭の中をIT化するため、PCを使ってホームページを個人で開設したり、他のサイトをバイトで作成したり、設備設計などCAD化をしていた。勉強の毎日。だから専門書を読む事が多くストレスだらけだった。
そんな時、悪態つきながら悪党を退治、ストレス発散出来る小説を発見した!
それが「罪深き誘惑のマンボ」であった。

設定が最高のドタバタミステリー
 これは代表作の『ハップとレナード』シリーズの2作目だった。1作目はまだ翻訳さいてなかった。
まず、その設定に驚く、なんせ主役のハップは40代の貧乏白人、その友達のレナードはゲイの黒人だ。彼らは頭のおかしい悪党達の面倒ごとに巻き込まれる。
舞台はテキサス東部、汚い言葉とスラング連発、暴力と性描写、人種差別、無知、正義もなく、公僕は汚職だらけだ。それでも楽しいテキサス暮らしだ。
 作家のウイットに富む文章もいい。本来あるアメリカの姿を描写している。シティー以外のアメリカ人は、ほとんどがマッチョ思考、また行動が直情的で単純だ。
加えて悪態だらけの会話は目から鱗が落ちるくらいの衝撃だった。
今のLGBT時代では「決して進められない小説」だ。
当然ながら現在『ハップとレナード』シリーズは廃刊。

ジョー・R・ランズディール(1951年10月28日生まれ )
アメリカ合衆国の作家、マーシャルアーツのエキスパート。西部劇、ホラー、SF、ミステリ、サスペンスなど幅広いジャンルで作品を執筆している。

本屋時代
 当時日本では街中、そこいら中に本屋があった。私は暇があれば立ち寄っていた。そして『ハップとレナード』シリーズを見つければ直ちに買った。
翻訳が待ち遠しい気持ちだった。そんな楽しい本屋時代だった。 

今はもっと酷い状況

「ムーチョ・モージョ」 1998年10月
そんな本屋で『ハップとレナード』シリーズを見つける。ようやっと1作目が出た。

「凍てついた七月」 1999年9月
あれ?『ハップとレナード』シリーズではなかった。
作風の流れは同じで、暴力、狂気、背徳。強烈な父親、これは面白かった。

「バッド・チリ」 2000年9月
『ハップとレナード』シリーズ

「人にはススメられない仕事」 2002年1月
『ハップとレナード』シリーズ

「テキサス・ナイトランナーズ」 2002年3月
これは狂気迫る暴力小説だ。この辺からジョー・R・ランズディールは大好きな作家となっていた。
テキサスの鬼才とコピーがつくようになっていた。

「モンスター・ドライヴイン」 2003年2月
ドタバタSFとなる。急に流れが違うので、読んでいて、
「あれ、どうした? 違う作家? 鬼才だ」

「テキサスの懲りない面々」 2003年5月
ようやく『ハップとレナード』シリーズが出たとおもったら、これがシリーズの最後だった。

この時、私は既に会社を早期退社して、新しい会社の設立準備をしていた。

ハップとレナードシリーズ

忘れた頃に
「短編集 ババ・ホ・テップ」 2009年9月25日 
久しぶりのジョー・R・ランズディールと思ったが、短編集だった。短編も面白い。

短編集とモンスター・ドライブイン

読書する時間と場所
 当時の私、本は電車の中で読んでいた。だから片手に持てる文庫本しか読まない。単行本は文庫化を待っていたが、結局ならなかったものは読んでいない。

 以下は月日が経って2011年以降に読んだものだ。
全てブックオフで購入した。この辺りから本屋も少ないが、本も見つからなくなってきた。

「アイスマン」 2002年2月
「ボトムズ」 2001年11月 
「ダークライン」 2003年3月
「サンセット・ヒート」 2004年5月
「ロスト・エコー」 2008年5月

文庫化されなかった単行本 2冊

 この中では「サンセット・ヒート」が好きだ。ほぼ西部劇。
のっけから強引に体を求めてくる糞野郎の旦那を、撃ち殺す赤毛のサンセット・ジョーンズ。
彼女はその後、治安官となり、腹部を切り裂かれた妊娠していた女性と子供の死体を相次いで発見する。
そして陰謀が渦巻く1930年代のテキサス東部の町で、サンセットが燃える。
久しぶりのジョー・R・ランズディール節。面白い。

死人街道 

「死人街道」 2021年6月
 最新刊が出た。本屋も減りに減っていたので、本屋で本を偶然見つけることは出来ない相談となる。
久しぶりに思い出して、新刊を検索したら出てきた。全く面倒くさい時代だ。原作は2010年の作品。
魔界西部劇  未読だ。

 ネットだと新旧交えて、つい沢山本を買ってしまう。
それが積読となっている。
私が死ぬ前には読むつもりだ。


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