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金融・投資レポート ’22.3.13

今週は引き続きウクライナ情勢主導、ロシアがウクライナ国内核施設へ追撃したことで核脅威がさらに高まり、DAX指数は一時20年9月ぶりの安値を記録するもその後反発となりました。

一方 中国市場は大幅安、米証券取引委員会が中国企業5社に対し会計規則の遵守が守れない場合は上場廃止の可能性を示唆したことで、アリババやバイドゥなどのADR(米国預託証券)の上場廃止懸念が再燃、ハイテク銘柄が特に売られました。香港ハンセン市場はコロナショックの安値を更新、中国H株指数も2008年リーマンショック直後の最安値水準まで弱含みました。米主要指数は来週FOMCを控え頭の重い展開となりました。

株0313

為替はドル高、有事のドル買いに加え利上げも意識されドルインデックスは一時99.4と、コロナショック後の20年5月水準まで上昇しました。この影響でクロス円が強含み、長期金利が5日連騰したこともありドル円は117円を強く上抜け、2017年1月以来の高値を記録しました。ユーロドルは1.1の節目を挟みもみあうも、一時はコロナショック直後水準を記録しました。

為替0313

商品はニッケルが78%高、主要産出国であるロシアへの制裁を受け供給懸念が強まる中、ニッケル生産大手による多額の追証回避の動きから取引所が停止するといった異常事態となりました。その他商品はFOMCも控え利益確定売りに押される展開、原油は要人発言により右往左往し荒い値動きとなりました。

商品0313

ロシア・ウクライナ外相会談は物別れに終わり、今回の戦争が長期化する可能性が強まりました。バイデン大統領がロシア産原油輸入禁止を発表し、主要企業がロシア市場からの撤退を表明するなど、経済制裁は手を緩めることなく進められる見通しです。

一方で金利においては、2年債利回りは強く上昇し1.75%を超える水準、長期金利も2%まであとわずかの水準まで上昇しました。今週発表された米CPIも7.9%という高い水準、5年BEIも3.52%まで上昇し、利上げの必然性も高まっています。

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戦争の長期化と継続的な利上げ、という一見するとマーケットへの悪材料が重なってはいるものの、今週はこれらが顕在化したことで不透明感が払しょくされたとも言えます。DAXも底打ちしたようにも受け取られ、徐々に買いの動きも見られています。最悪の状況が織り込まれてきた場合、今の価格水準は長期投資的にはチャンスである可能性があると考えます。

これらを勘案して、自身のポートフォリオを強気に変更しています。特にグロースは今回大きく値を下げており、ここでしっかり買うために三菱地所を手放し、ナスダック100へ振り替えました。

新しいポートフォリオは、MSCIコクサイ30%、ナスダック100 30%、日本国債40%です。

今回は比較的リスクを取っていると考えます。予想以上に投資家心理が悪化し、ここから10%下げる可能性もあるかもしれません。わたしの株式の比率は60%ですから、ポートフォリオ全体に置き換えれば6%の下げです。しかしS&P500は22年初から12%以上下げている中、長期的には株式は上昇傾向にあるわけなので、この水準に戻るだけでポートフォリオは7.2%のパフォーマンスが期待されます。年間最低パフォーマンスが3%と考えれば、約2年分に相当します。2年の間にインフレ抑制やサプライチェーン問題、戦争の解決に全く手当てできない可能性は低いのではないでしょうか。

悲しいことに10%下がったとしても、債券分がまだ40%残っています。超強気にしてあと10%で底が買えれば、ポートフォリオ全体にはさらに2.2%寄与することも期待できます。債券でヘッジしつつ、機会を逃さない戦略だと思います。

来週ですが、注目はFOMC一択でしょう。0.25%の利上げが宣言されると思いますが、注目はドットチャートとQTの開始時期をどう語るかだと考えています。2年債の1.75%という数字は、0.25%の利上げ7回分、つまり年内は毎度FOMC毎に利上げが行われることになります。FEDウォッチにおける12月の政策金利の中央値は1.75~2%が33%、1.5%~1.75%が28.6%という予想ですから、ドットチャートも中央値が1.5~1.75が市場予想だと思っています。

<前回のドットチャート>

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<12月時点の予想政策金利>

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逆にこの水準よりも下回るようであればFRBは非常に緩やかな利上げを進めると市場は受け取り、株は上昇が見込まれると思います。また前回の議会証言で0.25%という数字を公にした直後に株価が上昇したことを考えると、マーケットは徐々にFRBに対して信頼を寄せて来ており、予想通りだとしても不透明感の払しょくにより投資家心理が改善するかもと考えます。

さらに23年以降の金利水準が現在のドットチャートからどのぐらい上振れるかによっては、FRBが考える景気の見通しや、金融政策への自信のほども考察できるかもしれませんからここもポイントにしたいと思います。


<来週の注目指標など>
3/14(月) NYサマータイム期間開始(NY 22:30~5:00) 

3/15(火)
11:00 中 鉱工業生産
16:00 英 失業率
19:00 欧 ZEW景況感調査
21:30 米 ニューヨーク連銀製造業景況指数
    米 卸売物価指数(PPI)
    米 FOMC1日目  

3/16(水)
21:30 米 小売売上高、加 消費者物価指数(CPI)
27:00 米 FOMC政策金利発表・パウエル議長定例記者会見

3/17(木)
8:50  国内 機械受注
9:30  豪 雇用統計
21:00 英 BOE政策金利発表
21:30 米 週の新規失業保険申請件数

3/18(金)
15:30 国内 黒田総裁 定例記者会見
21:30 加 小売売上高

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