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対象との距離感で気持ちは変わる

私が運転する車の横を、救急車が追い抜いていきました。これ自体はよくあることです。しかし、特別だったのは、その救急車で母が搬送されていたということです。

先日、母が軽い脳梗塞になりました(幸い軽いものでした)。#7119(救急相談電話)がずっと繋がらず、救急対応ができる病院へ車で運び、診察してもらい、脳梗塞で入院が必要と判明。救急車で他の病院へ搬送されることになりました。私は搬送先の病院を確認し、救急車より先にそちらへ向かいました。救急隊員に「気をつけて」と声をかけられて。

私が搬送先の病院に向かう途中、後ろから救急車のサイレンが聞こえました。私は、ハザードを点灯して減速し、車線の左側に車を寄せました。救急車に追い抜かれるのは、いつものことかも知れません。しかし、いつもと同じ気持ちではありませんでした。
私の横を通過する救急車に視線が行き過ぎないようにしました。前後の車との車間距離にいつも以上に気をつけました。「気をつけて」という救急隊員の言葉を思い出しながら。

幸い事故は起こさず、無事に私も病院に着きました。しかし、動揺があったのか、病院の駐車場入り口を間違えて、ブロックをもう一周してから、到着しました。
同じ救急車でも、家族が搬送されているのとそうでないのとでは違って見えます。それは心理的な距離が影響します。

もう10年以上前ですが、以下の防犯情報の配信メールを受信したことがあります。
「本日4:30頃、○○町△丁目のコンビニエンスストアで現金を奪う強盗事件が発生しました。ご注意ください。
犯人の特徴:20~30歳代,身長170㎝位,中肉,黒ニット帽・ベージュ色フード付きダウンジャケット・白っぽいズボン・黒靴・サングラス・マスク着用………」

注意喚起でよく見かけるような配信メールかもしれません。しかし、これを見て私はとても驚きました。それはこの配信メールを受信したとき、私はちょうど○○町△丁目にいたからです。そして受信したのは、午後5時過ぎでした。約30分前に強盗事件があり、犯人はまだこの近辺にいるかもしれないという緊張が走ったのです。
しかし、「本日4:30頃」というのは、夕方ではなく早朝でした。約30分前というのは、12時間以上前の私の勘違いでした。私の勘違いではありましたが、物理的・時間的な距離感が、情報を受け取るときの気持ちに大きく影響することを学ぶ機会となりました。

さて、母を搬送する救急車に追い抜かれた体験の後、救急車のサイレンを聞くと反応力が上がりました。サイレンの音に少し敏感になってすぐ気づくようになった気がします。体験を通じて距離感が変わったのでしょう。私は鈍いので反応力が上がってちょうど良いくらいです。でも人によっては、過剰反応となる場合もあるでしょう。

対象となるモノや情報との心理的・物理的・時間的な距離によって、受け止め方は大きく変わります。自分と同じように他の人たちが物事を受け止めているわけではありません。もしかしたら、これらの距離感は、私らしさの1つなのかもしれません。

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