そもそも「若者の恋愛離れを食い止める」というお題はどうなのか。そして「17歳の恋は、17歳にしか出来ない」について思うこと

こんにちは、阿部広太郎です。

コピーライターの仕事をしていると、コピーにふれる機会がとても多い。何千何万もの一行に触れてきた中でもふっとそのひと言を思い出すことがある。ゴールデンウィーク中に思い出してしたこのツイート。

想像以上の反響。いいね!というコメントもあれば、そもそもそのお題がどうなんだ、や、でも相手がいないと恋愛できないしさ、しないといけないの?という声も。そう伝わるんだなあ、と思いつつ、その時に僕が書き残していた考えを記したくなりました。

★★★

何かを考える時は、「そもそも」からスタートしたい。

恋愛離れを考える前に、恋愛について考えてみます。

ものすごく哲学的なテーマにもなってしまうのですが、恋愛とはなんでしょうか?

恋すること。愛すること。
だれかを好きになること。
そんな自分を好きになること。
これまで知らなかった自分に出会うこと。
ちいさなことで傷つくこと。
ささいなことで嬉しくなること。
強くなったり弱くなったりせわしないこと。
気づいたら口角が上がっていること。
なんだかごはんが美味しくなること。
好きな音楽や好きな映画が増えること。
嘘みたいに世界があたらしく見えること。

恋愛とはなにか?の答えは、それこそ人の数だけあると思います。それでも“時間”という面では、みんな同じなのかもしれません。

自分の時間を費やして、相手と向き合う。関係をはぐくんでいく。気持ちが揺れ動くのは大変なことだけど、ひとりの時間とはまるでちがう時間が生まれていく。そこから僕らはたくさんのことに気づいて、人として少しずつ成長していく。

自分の時間をどう使うのか?「若者の恋愛離れ」には、そんなテーマが潜んでいると思います。

恋愛以外にも楽しいことはたくさんあります。インターネットや、スマートフォンが当たり前にあることで、ゲームに、SNSに、趣味や遊びの世界に、恋するように夢中になる選択肢がすごい勢いで増えている。

自分の時間を何に、誰に、割きたいのか。今を生きる若者にとって、恋愛という相手と向き合う時間、その優先順位が下がってきている可能性がある。

ここでコピーライターとして考えるべきこと。恋愛そのものに含まれる良さについて、レトリックや詩的な表現にとどまるのではなく。時間を奪い合うライバルがたくさんある中で、なんとかして恋愛に振り向いてもらう表現にする。目的をさだめて考え抜くことが大切です。

「あ、そうだよな、恋愛したいな、できたらいいな」そう感じてもらえる恋愛離れを食い止めるひとことでありたい。そんな指針を持ちながら選んでいきました。その時に選出した3本を紹介させてください。

17歳の恋は、17歳にしか出来ない。

時間は進んでいきます。過去に戻ることはできない。恋愛はいくつになってもできるものでもあるけれど、その時の、その歳の、自分にしかできない恋愛がある。そんな大きな真実を、提示されてはっとしました。17歳という、若者を代表すると感じる、年齢の選び方の見事さも然ることながら、それ以外の年齢の方でも、思わず自分の年齢をあてはめて、読んでしまう。「今しかできない恋愛があるんだよ」と、強く伝わるコピーです。

後輩の恋愛相談にのれない先輩って悲しい。

ほかのコピーにはなかった切り口。恋愛をする時間は、自分の内面に経験として蓄積される。そしてそれは、いつか悩める後輩に相談された時に、その経験談が、心強い支えになれたりもする。先輩、後輩という人間関係を提示されたことで、「ちゃんと恋愛して、相談にのれる先輩でいたいな」と、心をぐぐっと動かされるひとことでした。

こんなとき、彼がいたらホッとするかも。

生きていれば、哀しいことは起きてしまう。そんな時でも、たったひとりの存在で踏ん張れたりする。恋愛をしながら分かり合える相手との関係を築くこと、それは、ほかの何事にも代えがたい拠り所になる。「こんなとき」を具体的に提示されていないからこそ、その余白から読み手のなかでイメージがふくらんで、「恋愛をしたい、彼(彼女)が欲しい」という気持ちが強くなります。この情景を切り取るやさしいまなざしがとても好きです。

最後に、すこしだけ僕の感想を。

『若者の恋愛離れを食い止めるコピー』というお題を受け取り、講評する上で…僕自身そもそも恋愛とはなにか?について考えました。その上で先輩や後輩など、たくさんの人に恋愛について聞きました。

うそのない、本音の声に、少しでも多く触れること。そして、どうすれば相手が動いてくれるかを考え抜くこと。なによりも自分がそのひとことの力を信じられるかどうか。

反応してくれる人、コメントを寄せてくれる人、すごくありがたいです。でも、そのコピーで、まずあなた自身が動かされましたか?コピーの役割は、言葉で遊ぶことではありません。言葉に企てを加えることこそがコピーだと、僕は信じています。

こうして考えつづけることはしんどいです。でも、伝わった瞬間にとてつもない歓びがあります。僕たちの仕事が、広告表現のみに限定されなくなってきた今、言葉をあつかうコピーライターという仕事は、これからもっとおもしろくなっていくと思います。

どうか言葉を大切にする人でいてください。それは誰かをあたたかい気持ちにさせますから。

★★★

このお題について考えたのは4年ほど前。

今、改めて思うのは、「恋愛=人とするもの」という前提すら変わってきているのだと思います。対象は、その人が時間をかけて恋するものなら何でも。そう思って改めて「17歳の恋は、17歳にしか出来ない」を見ると、より解釈の範囲は広がる気がする。

僕のコピーについての考えはこちらの記事でも。

ひとつのことについて考え掘り進めると、想像もつかないところにいける。読んでいただきありがとうございました。

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阿部広太郎

コピーライター&作詞家。世の中に一体感をつくる。「企画でメシを食っていく」主宰 作詞→さくらしめじ「先に言うね」「お返しの約束」 向井太一「FLY」共作詞 プロデュース→映画「アイスと雨音」「君が君で君だ」舞台「みみばしる」著書『待っていてもはじまらない』をnoteで全文公開中!

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5つ のマガジンに含まれています

コメント4件

こんにちは。コピーは全くの素人ですが、ふと疑問を感じてコメントしました。
『17歳の恋は、17歳にしか出来ない』というのは、果たして優れたコピーなんでしょうか?『13歳の恋は、13歳にしか出来ない』『20歳の恋は、20歳にしか出来ない』『40歳の恋は、40歳にしか出来ない』『70歳の恋は、70歳にしか出来ない』・・・と、何歳でもいけちゃいますが? なぜ『17歳の恋は、17歳にしか出来ない』だけが優れているのでしょうか? 教えていただければ、うれしいです。
お題は「若者の恋愛離れを食い止めるコピー」

でした。

『時間は進んでいきます。過去に戻ることはできない。恋愛はいくつになってもできるものでもあるけれど、その時の、その歳の、自分にしかできない恋愛がある。そんな大きな真実を、提示されてはっとしました。17歳という、若者を代表すると感じる、年齢の選び方の見事さも然ることながら、それ以外の年齢の方でも、思わず自分の年齢をあてはめて、読んでしまう。「今しかできない恋愛があるんだよ」と、強く伝わるコピーです。』

あなたの仰るとおり、自分の年齢に当てはめたり、何歳でもいけることも、言葉が働いているなと感じています。
ご回答ありがとうございます。私には、言い古された「セブンティーン」と、単に「事実を述べただけの文章」の組み合わせとしか思えません。
人の感動ポイントは様々なようです。コピーの世界は面白いですね。勉強になりました。
いえいえこちらこそ!お読みいただきありがとうございました!
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