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DIYでアーティストとして生きるために必要な思想を、実体験を基に話したい。


leiftとしてのエッセイ寄稿を、少しお休みさせてもらってる。アルバムをリリースして、ライブをして、ワンマンに向けて準備を進める日々。今日は少し別の話をさせてもらえたら嬉しい。

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プロデューサー視点で、ここ1年の活動を総括

ステマっぽい書き方をしたくないため先に言うと、今回の主な話題は僕が主宰するDIYアーティスト向けのオンラインサロン『artists』の第3期告知も兼ねている。このnoteだけを読んで自身のアーティスト活動に活かせる方もいるだろうし、そもそも僕のサロンの門を叩いてくれた方が効果が出る方もいるだろう。このnoteだけを読んでも満足いく内容を目指して書いていく。

久しぶりに、
note上で僕が蓄積してきた音楽制作やブランディングについての
ノウハウを紹介しながら、より具体的な話を
オンラインサロン本編で話せたら嬉しい。


最初に

大前提として、僕はアーティストとしてまだまだ発展途上の身であることを重々認識していることを、皆さんには声を大にして伝えておきたい。

「僕の成功体験を共有する」というオンラインサロンではなく、現在進行形で僕が培い続けるDIYアーティストとしての活動内容を共有しながら、音楽制作の技法は勿論、さらに川上の「なぜ、アーティストになりたいか」を可視化し、「アーティストとして全方位、どう形にするか」を学んでもらう。

これまで2期を無事に終え、デビューした方々は現在、それぞれのペースでアーティスト活動を続けている。

受講生の方々のお話は僕の自由で出せないから、僕が去年から今年にかけて、オンラインサロンを主宰しながら自分自身の新名義を育てた話をしたい。その方が、広く濃い情報をお届けできるはず。


無名のシンガー「leift(レフト)」1年間の軌跡

leiftは順調にキャリアを伸展させた

プロデューサーとしてleiftを語る上で、「よかった!」と主観で話しても説得力がないため、今回はある程度データを用いてお話を進めることをお許しいただきたい。

DIYでアーティスト活動をする上で、
ストリーミングである程度成果を求めに行くのなら
「数的分析」はした方が良いというのが僕の持論だ。

プロデューサー視点で語らせてもらっても、僕のシンガーソングライター名義「leift(読み:レフト)」はアルバムリリースまでの1年間、主にストリーミングの市場で確実に存在感を増すことができたと思う。

①ストリーミングパフォーマンス

leiftのストリーミングレポート(Apple, Spotifyなど足し上げ)

図は、僕が配信を依頼しているThe Orchardが提供しているサービス「Workstation」の機能を活用して集計した、過去1年間のストリーミングパフォーマンスだ。1番左の「Jun 1, 2022」のあたりが、デビュー曲『bleach』をリリースした頃。右側が、最新の状態だ。

2022年は、とにかくleiftのデビューから毎月楽曲をリリースした。

7月だけ間が空いているように見えるが、ここではアニメ『ユーレイデコ』とのタイアップで、『leaves』という楽曲をリリースしている。アニメのタイアップが2作目で決まったのは、僕が長らく作曲家として活動してきたからこそのご縁だった。

1作目からApple Musicでは「最新ソング:J-Pop」というプレイリストに入り、以後毎作品順調にプレイリスト入りをして少しずつリスナーが伸びていっている。一方、Spotifyでは2022年7月にリリースした『leaves』が「キラキラポップジャパン」に、8月にリリースした3作目『draw』が「ブルーにこんがらがって」というプレイリストに入り、以後順調に毎作品プレイリスト入りを果たし始めた。

特に10月末にリリースした『Mocktails』がキッカケとなり、Spotifyでは毎週のニューリリース作品を紹介する「New  Music Wednesday」や日本発信のグローバル志向が強いアーティストを紹介する「Tokyo Rising」、Spotifyがニューカマーをプッシュする「RADAR: Early Noise」など多数のプレイリストに入るように。

プレイリストで多くのリスナーの方に出会えたのは勿論のこと、主要プレイリストでのセレクトによる2次効果として、ラジオやサブミッションメディア(Web上で楽曲を紹介してくれるサービス)で取り扱ってもらえる機会も増え、ストリーム数に現れないPR効果も多く感じることができた。

②アクティブエンゲージメント

leiftの2022年〜2023年4月までの「お気に入り」獲得数

正直、ストリーミング数に関してはある程度プレイリストの規模や力に依存する部分も多く、楽曲そのものが本当にリスナーの皆さんと深いつながりを持てたのかどうかは、いい意味で疑ってかからなければいけない。

懐かしいnoteだ。この頃から、時代はだいぶ変わっている。

僕は歌い手として活動する前から、インスト中心の楽曲リリースを数年に渡り続けてきた。チャートで結果を出したことも、ミリオンストリームを達成したことも非常に嬉しく思った。でも実際、歌を始めるまで本当の意味での「リスナーの皆さんとの関係性」を築けている気持ちにはなれず、今の方が初期段階で必要な「つながる場づくり」をしっかりできていると思う。

それを象徴するのが、2022年10月以降の僕の楽曲の「コレクション数」、わかりやすく言うと「お気に入り数」だ。

ストリーム数と比較すると、必ずしも再生されたからお気に入りが比例して増えている訳ではないことが分かる。ストリーム数で見ると10月の山が頭一つ飛び抜けているのに対して、「コレクション数」は毎月安定していて、中でも3月頭に一気にお気に入りされた痕跡がある。

3月に訪れたコレクション数伸展のきっかけは、アメリカのプロデューサーであるポーター・ロビンソンが僕の楽曲『pop』をキュレーションしてくれたことだ。これによってアメリカを中心にリスナー数も伸び、ここでお気に入りしてくれた人たちに以後、僕の新曲リリースの通知が届くようになる。

ポーターの楽曲を普段聴いていた身としてはとても嬉しく、
彼とも今後何かできたらいいなと思う今日この頃。

③スキップレート

ここからは徐々に、いわゆるマーケティング的な側面だけで語りきれなくなってくる。普通、話の順番は「音楽制作→マーケティング」であるべきだと僕は思っているのだけど。

今回は「マーケティングを考えても結局、1番大事なのは楽曲制作でありアーティストらしさ」という論調にしたく、巻き戻す形で書いていく。

leiftのSpotify上でのスキップレート(2022年〜2023年4月)

まず、スキップレートとは何かというと、その名の通り「楽曲がスキップされた率」だ。カウントの仕方がSpotifyの人間ではないため僕にはわからないけど、数字が低ければ低い方がスキップされている率が低く、フルで聴いてもらえているということらしい。

プレイリストに入るようになると、「パッシブディスカバリー」と呼ばれる「曲を受動的に聴くリスナー」が増えると一般的に言われている。アクティブなリスナーほど曲をフルで聴いてくれる、という理屈はなんとなくイメージできるだろう。僕が配信を依頼しているThe Orchardの担当者の方曰く、だいたい30%くらいであれば正常値とのこと。

その点、leiftは平均21.5%と割と低めに安定している。特に1曲が多くのプレイリストに入り出した10月以降、かなり安定してこの数値を保ち続けられている。もしかしたらこの結果が、Spotifyに成果として伝わっているのかもしれない。(あくまで仮説の域を超えないけれど)

スキップレートを意識した曲作りをしているか?

たまに、マーケティングへの造詣が深いプロデューサーの方に訊かれるのだけど、結論から言うと僕はそんな作り方はしていない。完全に結果論だ。ただ、僕のリスナーとしてのこだわりで「イントロや冒頭がイケてない曲が、聴き進めて良くなるわけがない」という持論がある。

4年くらい前にも、似たようなことを書いた気がする。

イントロが長かろうが短かろうが、イントロでグッと引き込めるサウンドやメロディでなければ、僕は曲をしっかり聴かない。

それと僕が楽曲に限らず万事のことに強く意識していることとして、

やりすぎない。
足りないくらいが満足度が高く、また欲しくなる。

という信条がある。楽曲でいうと、もうひと展開してほしいところで曲を止めるという行為がそれにあたる。勇気を持って、クライマックスを作らない。それが今の僕の感覚だったりする。

その結果、必要以上に意識はしないけど、僕がリリースする最近の楽曲はほぼ2分台〜3分前半くらいの楽曲が多い。僕が最近リリースした曲で特に展開的に気に入っているのはこれ。

2分6秒で充分、ドラマティックな構成が作れている自信がある。CM音楽を長く作ってきた僕にとって、2分は展開を作るには充分なすぎる時間だ。


④総括とうまくいったポイント

シンガーleiftは、デビュー1年でストリーミングという「知ってもらう場」「日常に溶け込む場」において、しっかりと居場所を作って次に繋げる体制が作れたと思う。これを達成できたのは、まず配信を依頼しているThe Orchardチームの皆さんによる的確なアドバイスあって。具体的には、

  1. 必ずリリースする「4週前」には楽曲を納品すること

  2. 配信サイト向けに「客観的紹介文・資料」を丁寧に用意すること

  3. アルバムやEPでのリリースに拘らず、シングルで接触頻度を高めること

  4. 楽曲のメタデータを、ミスなく正確かつ綿密に記入すること

という4点。

いやいや、普通じゃん?って思うことも多々あるかもしれないけど、これを確実にやるだけで「納品者として信頼される」のであれば、皆間違いなくちゃんとやった方がいい。DIYアーティストの方々の中には、会社やビジネスの現場にも身を置く兼業アーティストの方も多くいるだろう。

世界を見渡すと、実に数万曲単位で毎週新曲がリリースされているらしい昨今。配信サイトのキュレーターの方々に曲を聴いてもらいたいと願うのならば、その中で「この人はいつも丁寧に納品してくれるな」と思ってもらえる納品にするのが、彼らへのリスペクトを示す意味でも最低限のこと。

要は、社会人として当たり前のことをまずはしっかりやる。
これだけで、チャンスは容易に拡張できる。
アーティスト性や楽曲のクオリティに限らず、努力でできること。
僕のサロン関係なく、是非皆さん真似してみてほしい。


アーティストらしさを形作る「コト」

勿論、僕は「ちゃんと納品したから順調にいった」となんて思っちゃいない。1にも2にも、音楽ひいてはアーティストのキャラクターあってのことだ。「leiftらしさ」を、デビュー前からじっくりと考えてきたことが、アルバム『Beige』の音楽性に色濃く反映できたと自負する。

僕が得意な点

プロデューサー出身の僕が自信を持って臨めることとして、「プロジェクト全体のコンセプトメイキングから実制作までを1人で完結できること」は非常に大きいと思う。具体的には、

  1. leiftのコンセプトづくり

  2. アルバム『Beige』に至るまでの活動プランの策定

  3. アルバムを1人で作りきり、イギリスのスタジオと密に会話できる制作力

  4. 豊富な実機とソフトシンセの役割を掛け算した、現代的な重いサウンド

  5. MVやアートワークなどで力を貸してくれる、強力な仲間がいること

  6. 博報堂仕込みの深いマーケティングへの理解

を、leiftは特に僕主導で行えている。ひとつひとつを深く考えて実行している割に、周囲の承認を得る必要もなく自分の意思決定のみで進めるため、結果的には最短経路で構想からデビュー、アルバムリリースまで運べた。

オンラインサロン「aritsts」では、基本的僕がやっている全ての工程を皆さんに出来るようになってもらうためのプログラムを構成している。4ヶ月で、各分野における大事な思想やテクニックを実践的に学べる場として活用してもらえたら嬉しい。


高級機材を使いまくればいいってもんじゃない

アルバム『Beige』の制作背景 photo by Ayumi Nagami

作曲家として長く活動してきた僕は、
仕事にかこつけて沢山の機材を試してきた。
DIYと名乗ってはいるけど、僕の使っている機材は高級なものが多い。

けど、leiftをやってみてすごくよく分かった。
大事なのは機材の格やクオリティとは必ずしも言えないことを。
「アーティストの思想」が最も表現できる機材は、
そのアーティストによって大きく異なると僕は最近強く思う。

シンセの実機も妥協なく試した結果、必ずしも全てを実機で完結させることが「現代のポップミュージック」シーンに有効ではないことも体験した。プロデューサーKOTARO SAITOの作品では実機の魅力を知ってもらおうとヴィンテージサウンドに傾倒したけれど、leiftは「想いを伝えること」にフォーカスした分、サウンドは「伝えられることが優先」だ。

だからこそ、一人ひとりの目指す音楽によって、必要な機材も変わってくる。サロンメンバーの機材選定は、僕もガッツリ関わらせてもらいベストチョイスをコスパ面含め探っていく。

作詞やアーティストの声明も「肉声を」

アーティストの魅せ方やメッセージの方向性や思想には多様な考え方がある中で、僕は「言葉から人間性が想像できること」がアーティストの魅力だと信じている。顔を表に出そうが出さまいが、

このアーティストがどんな人で
何を大切にしているのか

が伝わってくるかどうかは、歌詞の文体ひとつとっても、SNSの投稿とっても、ライブでのMCの言葉尻や仕草ひとつからも感じ取れるもの。現代はアーティストとして自己表現可能な場が、オンラインにもオフラインにも沢山ある。(沢山ありすぎて、どれを選ぶかも「らしさ」だったり)

そういう意味でも、まだまだ僕自身には課題は沢山あるものの、今できる最大限の自己表現は音楽やnote、SNSを中心に試し試し前に進んでいる。足りていない実感も、勿論ある。トライアンドエラーを繰り返しながら、もっと時代と自分らしさの良い交差点を見つけていきたい。


全方位学べる場所も、教えられる人もいない

これらの試行錯誤を礎にして、僕はオンラインサロンを運営している。

アーティストとしてこれからデビューしたいと思っている方や、既にデビューしている方で楽曲制作能力やブランディングの思考を磨きたい方、リリースで実績を出したいと願う方など、それぞれ色んな課題を持って入会してくれる。4ヶ月で自己分析から楽曲制作、リリースまでのノウハウを学んでもらい、実践に活かしてもらえる場は、あまり他にないと思っている。


特徴

手前味噌だけど、講師である僕自身が現在進行形でDIYアーティストとして、躍進を試みていることじゃないだろうか。

「講師が生徒に”全てを知っているかのように”教えます」ではなく、「僕も分からないことがあるから、それはわかる人に来てもらって一緒に学ぼう」「こういう瞬間に、とても苦しいことがある」というのを、全く嘘なく正直にサロンメンバーに話している。

僕はleiftとしてnoteでも自分の弱さを言葉にしようと試みているけれど、本当に落ち込むことがあったその日には、流石にnoteに書いたりはできていない。何に苦しんでいて、何が今立ちはだかるのか。それらをリアルタイムに話せるのは、オンラインサロンならではの良さだ。

作編曲のこと、ブランディングのこと、リリースに対して準備するものについては知見が深い自信があるため、僕が主導でメンバーの皆に教えている。

一方で、自分も手探りなSNSのプロモーション、特にショート動画の活用策についてなどは、音楽とデジタルマーケティングに詳しいゲストに講義を依頼し、僕も一緒に学んでいる。

さらに、音楽ビジネスをより俯瞰しているゲスト講師の方、著作権に詳しいゲスト講師の方、僕とは違う視点を持ったDIYアーティストの先輩講師の方など、DIYで音楽制作〜産業単位での音楽ビジネスまでを洗いざらい学べるようにプログラムを作った。

音楽制作で言えば、コード進行の種類やBPMとは?機材の使用方法など、YouTubeを見れば自由に学べる基本中の基本みたいなことは「このYouTubeを見ると解りやすいよ」と紹介して終わりなのがこのサロンの特徴。

僕が伝えたいのは用語や情報ではなく、「コードやリズムをどう掛け算すると"踊れる"のか」「心が動く"期待通り"と"裏切り"が生まれるのか」「"音色"と"周波数"で作る音像」などの、具体的な内容が多い。

この辺りはより詳しく、第1期のサロン告知やレビュー時に書いたので、サロン入会に興味ある方はこちらを見てもらえたら嬉しい。(なるべくこのnoteでのステマ感をなくしたいため、そうします)

1番大切なのは、「継続すること」

オンラインサロンを作った目的にもつながるのだけど、僕がアーティスト活動を続けていて1番思うのは、「続けていくうちに出会う人、辞めていく人」が沢山いるということ。

音楽活動そのものを辞めないまでも、アーティストとして自分の想いやメッセージを継続的に発信していくことは、忍耐と苦楽を受け止める根性が必要だったりする。ハイテンションでい続けることはほぼ不可能なんじゃないかと思ったりするほど、側から見た結果の良し悪しに関わらず悩まざるを得ないことも、僕は本当に沢山経験してきた。

それでも、続けることで報われる瞬間が沢山あった。他人にとって些細なことかもしれなくても、見ず知らずの人が僕の曲を聴いて「素敵な曲」「救われた」「leiftに出会えてよかった」と言ってくれる喜びに勝るものはない。

怖いから踏み出せない、という理由なのだとしたら、
是非僕のサロンの門を叩いてほしい。
怖い瞬間を一緒に踏み出せる仲間に出会えるだろうから。


最後に

僕のオンラインサロン「artists」で、音楽制作からリリースに至るまでのノウハウを学んで卒業してくれたメンバーの作品を紹介させてください。メンバーの中で「僕のも、私のも」と言ってくれたら、逐次追加します。

MisiiN(ミシエヌ)

Kanakoe(カナコエ)


このnoteを読んで、より深い部分でご自身の楽曲やアーティスト活動を研磨してみたいと思った方々は是非、オンラインサロン「artists」第3期、お待ちしています。3期は5月中旬〜20日くらいまで募集したいと思っています。


よろしければサポートをお願いいたします。サポートいただけましたら機材投資、音源制作に回させていただき、更に良い音楽を届けられるよう遣わせていただきます。