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「美味しい顔は?」祖母のおしえ

美味しい顔は?

うちは祖父母と同居していて、ご飯は祖母が作ってくれていた。祖母は少し不思議な人で孫が20歳になっても赤ちゃん言葉を使う。

そば・うどんはチュルチュル。
昼寝はネムネム・ネンネコ・ネンネコロン。
孫の名前も外孫含め全員ちゃん付け

我が家で一番動物好きな祖母は、怪我をしたカワセミや鳩を拾ってきたりして治療していた。昔たぬきを育ててた時もあったらしい。

そんな祖母は、孫たちが無表情でご飯を食べているのを見ると「美味しい?」と聞く。「うん」とか「美味しいよ」言うと祖母は「それじゃ美味しい顔は?」と聞いてくる。

すると私達は自分の思う「美味しい顔」を祖母に見せる。変顔でもなんでも、祖母はにっこり笑って。「なら良し!」と言う。
これは今でも実家に帰ると必ずやる。孫たちも祖母のにっこりした笑顔が見たくて、いくつになっても「美味しい顔」を披露する

幸せなら手を叩こう。美味しいなら美味しい顔をしよう。

地元を出て、1人でご飯を食べることが格段に増えた。そして、無表情でいることも増えた。
心の中で美味しいと思っても顔には出さない。
変人だと思われるから出せない。

なんだかスッキリしない。
美味しいって思っても顔が動かないのを感じるたび、祖母の顔が浮かぶ。
そして周りを見て、もう一口。今度はちょっと笑ってみる。

幸せなら態度で示そうよ
それは一人でいるからこそ大切だと思った。



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