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【ことばの指導法】スクリーニング評価について

今回の内容は専門家向けです。検査の話をしていますが、心理検査は原則として内容を公にしてはいけないことになっています。そのため、検査内容の詳細については説明していません。わかりづらいかもしれませんがご了承いただいた上でお読みください。

子どもの指導に入る前に、必ず評価を行いますが、今回は私が使用しているスクリーニング評価について紹介します。これは私の尊敬する上司から教えていただいたものがほとんどです。

私が行っているスクリーニング検査

①質問応答検査(1枚目)

6歳までが対象年齢の検査で、主に表出面の能力を把握するために使用しています。質問応答検査自体は複数の検査項目で成り立っていますが、私が使っているのは1枚目の質問項目のところだけです。

②S-S法(2語連鎖、3語連鎖、語順&助詞、図形模写、10種図形)

S-S法はことばの表出・理解をチェックする検査ですが、この検査は一部だけを取り出して実施してもよいことになっています。それを利用して、2語、3語の理解と表出を確認するほか、図形関連の検査も実施しています。また年中さん以上では語順と助詞をチェックして、助詞の理解の程度を確認するようにしています。

③PVT-R(絵画語い発達検査)

たとえば機能性構音障害など、言語面には問題がとくにないお子さんの場合は①と②を実施し、問題なければそこで言語面精査を終了していますが、少しでもひっかかりを感じたら③のこれを実施するようにしています。語彙の理解の程度を見る検査で、語彙をどれくらい有しているかをざっくり評価します。

なぜスクリーニング検査なのか

幼児向けの検査として有名なのはK式、WISCあたりでしょうが、私はこれらをほとんど使用しません。個人で所有していないからというのもありますが、これらの検査は多くの場合、保健センターや発達支援所で受けているので、それを見せてもらうので事足りるからです。実際、非常勤で働いている総合病院でも、センターなどで受けた検査結果を保護者の方に持参してもらっています。

K式、WISCは優れた検査バッテリーで、教育相談などでも参考にされるものですが、大掛かりな検査で時間もかかってしまいます。その点スクリーニング検査は簡便で、所要時間も短いものばかりです。時短、という意味で優れた確認方法と言えます。

また、私が子どもたちの評価をする場合、その後も個別指導をすることが前提になることがほとんどです。まずはスクリーニングでその子の全体像を大まかに把握し、それを元に指導プログラムをたてます。指導していく中でスクリーニング検査時の内容と違いが見えたら、指導内容をその都度修正していけばいいわけですから、必ずしもK式やWISCのようなものを前提にしなくても成り立つのです。

とはいえ、スクリーニングだけで全体像をはかるのは困難と言えます。スクリーニングはあくまでその子の能力をざっくり確認するための道標のようなもの。その後、やはりK式やWISCが必要と判断すれば、つなげていくことも必要だと思っています。

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