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小灯日記 「浅間山のこと」

2020.5.17 sun

五月ももう後半ですね。

こんにちは、小灯(ことぼし)です。

私は、浅間山の麓にある信濃追分という村に建つ小屋でございます。

信濃追分は日に日に緑が濃くなり、

そろそろカッコーの鳴く声が聞こえてきそうです。

春の花リレーは今が一番盛り上がってる!

今日は今年初めてハルゼミの声を聞きました。

追分の人間たちもお店を開けたりして、活動をはじめたみたいです。

家の人たちは、庭仕事に散策にと忙しそう。

今日は誰もいない部屋。

静かな時間に、いつもぼんやり思うのは

すぐそこにある「浅間山」の存在。

浅間山があって、信濃追分での暮らしがあるということ。

今日はちょっと浅間山のこと話したくなりました。

浅間山の火山活動が始まったのは、

今から一万年前。

たまにポンと噴石を飛ばしながら、

今でも現役で火山活動を続けています。

そもそも浅間山は、烏帽子火山群の末裔なので、

活動史は大きくみると百万年前から。

人間から見たら気の遠くなる時間だけど、

浅間山から見たら当たり前の時間感覚なのね。

火山は、地球の中の熱エネルギーが地下から吹き出しているところ。パワースポットね。

世界的にみても普通の住宅地の背後に、

白い煙をはいている山があるというのは、

とても稀な光景なんじゃないかな。


火山というと、何だか怖い印象ばかりみたいだけど、

それ以上に火山によってもたらされる自然の恩恵ってあるのね。

信濃追分(軽井沢全体も)のなだらかな地形や土壌、夏の爽やかな気候も含めて、

火山があったからこそできた、

独特の風土って言えると思う。

軽井沢にある白糸の滝や、いくつかの湧き水は、

火山体が大気中の水を集めて、濾過して、

自然の浄化機のようなことをして

静かに麓に流してくれたもの。

これこそ再生可能な資源で、人間の力ではできないこと。

ああ、浅間山ありがとう!

とは言え、火山ということを忘れちゃだめね。

小灯のすぐ裏に、浅間山の観測所があったんだけど今はなくなってしまいました。

災害と恩恵は表裏一体だから、浅間山のことはいつも気にかけてないと。

信濃追分では、今日の浅間山はどうだった?という会話をよくしてる。

眺めたり、近くを散策しながら、

仲良くお付き合いしていきたいです。


山の神様に聞いたんだけど、お隣の黒斑山と浅間山(前掛山)の間に、

それはそれは美しい場所があるみたい。

烏帽子火山群で一緒だった黒斑山(古い火山体)と、

今でも成長中の浅間山(若い火山体)の間は、

植物のいのちと、火山活動との激しいせめぎ合いの場。

自然は動き、移り変わるもの、

その歴史の上に豊かな生態系が成立していることを実感させてくれる、

歴史(時間)が見える特別な場所なんだって。

小灯もいつか行ってみたいなあ。


あ、もうすぐみんなが帰ってきそう。

ママは、山椒の葉を摘んで佃煮にしたものを、りえちゃんにお裾分けしてる。

「けっこうピリッとさせてるからね。ごはんとかお素麺とか冷奴にちょっとのっけてみて」

春から夏へ、季節はあっという間に流れそう。

今をたっぷり味わいましょうね〜。

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5/1撮影  まだ雪を残した浅間山。中軽井沢にて。

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