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7月8〜15日の日記


i
ランチでもない、晩御飯でもない。行く必要がない。それなのにどうしても喫茶店に足を運びたがっている。同居人を道連れに、近所の古びた喫茶店に入った。
コーヒーを飲みながら家と変わらない、たわいもない会話をする。

こういう外でお茶したり外食したりするとき、美味しいものを食べるとき、エアコンの効いた涼しい部屋で横たわっているとき、私はなんて贅沢で恵まれているのだろうと思う。
そしてこんなに幸福でいいのかと、甘えているのではないかと、輪郭のない何かに申し訳なく思っていた。
特に学生時代はふとした瞬間にそういう念に駆られることが多かった。働いているときはあまり考えることもなかった。考える暇も余裕もないし、考える暇も余裕もないくらい働いている分、自分で自分の部屋の温度を調節できることなど当たり前だと思えたからだ。しかし、お気楽アルバイターである最近、またあのときの『申し訳なさ』が付き纏っている。

iという小説を図書館で借りた。
主人公は恵まれた環境に養子として迎え入れるられ両親に愛されながら学業に励む、豊かな生活を送っている。一方で、世界で起こる被災や事件に心を痛め、命の不平等さに気後れを感じていた。私は賢くはないし、世界にまで目を向けているわけではない(この気後れの対象は特に定まっていない)し、決して主人公ほどの裕福な家庭ではないけれど、自分の存在に悩んだり苦しく思う気持ちに共感する部分が多くあった。
漠然とした悩みも、蔑ろにしなくてもいいのだとあたたかく寄り添ってくれるようなお話だった。ずいぶん生きやすく生活している今、余計な悩みも必要のない喫茶店も、まるごと好きだ。



やきとりを焼いた日

これは炊き込みごはんとてきとうに鶏肉を焼いた日
シャケ定食
牛肉と大根のやつ
夜までバイトの日、同居人が作ってくれた回鍋肉
やきとりを焼いた日
私も同居人も酒は飲まない。
けれど居酒屋メニューはすきなので楽しかった。

毎晩、ごはんを食べながらNetflixでジョジョを見ている。
決して馬鹿にしているわけではないのだが、癖のある言い回しやポージング、効果音なんかに毎話必ず爆笑してしまう。そしてそれが癖になっている。
今は2部が終わり3部のはじめまで見たところで、花京院典明という男が登場。
花京院典明。花京院。まず名前が良い。今まで『スージーQ』が1番良い名前だと思っていたが、『花京院典明』も捨てがたい。きっとお坊ちゃんだ。多分真面目で頑固で、ツッパリだ。でも意外と家族とは仲が良いし、たこ焼きとかが好きだったりする。はじめはライバルだがそのうちすぐに空条承太郎に懐く。
などと、理想の花京院像を膨らませながら、ジョジョの続きを楽しみに今日も晩御飯を作る。




すごい変倍のドーベルマン
最近雨が多いし、通勤は車だし、スーパーへ行くにもまとめ買いの荷物を運ぶために車で行っていて全く外を歩けていない。休日ひさびさに晴れていて、ひさびさに散歩に出ることにした。

実家に帰ったときは子ども時代ぶりに歩く道が楽しくてしょうがなかった。
今は新しい、しかしだいぶ生活に馴染んできた街で、考える必要のないことを考えながら歩く。さっきまで見ていた映画のことや、前を歩いている中学生のカバンについているキーホルダーの経緯、通りすぎる工場に勤めている人のお弁当の中身はなんだろう、など。
必要のないことを考えているけど、なんでか私にはこの時間が必要に思える。最近白湯を飲んでいるせいで汗が滝のように流れる。汗だくで恥ずかしいので、人とすれ違うときは『ウォーキングなので、汗をかくのは当然ですよ?』と言った顔をしながらテンポを早めて歩く。帰ったら即風呂に入ろう。

米終了のお知らせ
すっごい変倍のドーベルがフンの始末を丁寧にお願いしていたから笑ってしまった。


ANAクマ
朝、バイト先に行くと驚き、そしてほころんだ。
シンプルでおしゃれではあるが飾りっ気のないオフィスにANAのマスコットであろうクマのぬいぐるみがいたのだ。しかもつがい。茶色いクマは整備士のユニフォームを着ていて、白いクマはCAさんのスカーフを巻いている。かなり作りがしっかりしている。
2頭ともにこにこと、ウォーターサーバーからコーヒーメーカーに水を注ぐを見守ってくれる。子どもも来ないこんな場所にぬいぐるみなど必要はない。しかしこんなに気持ちがほころぶのなら必要だと思う。


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