暴走族の怖い先輩と、初めての逮捕

僕に住む場所を提供してくれたおねーさんが覚醒剤で死んでしまった。
そのあとの話です。

僕は住む家が無くなったので、ラブホテルを転々として暫く生活していました。
相変わらずホストをしながら暴走族で遊ぶ日々です。

ずっと欲しかった単車もバイク屋でフレームのみを購入し、中身は窃盗した単車の部品をのせ換えて自分の単車を持つ事ができました。
免許はめんどくさかったのでとりには行きませんでした。
暴走族で一番嫌だったのは、先輩のお願い事が嫌だったくらいで後は特にありません。
嫌なお願いとは「何か盗んでこい」とか、「彼女とのデート代を用意して欲しい」とかです。
僕は基本ケータイの電源を切って無視する事が多かったので、あまり被害はありませんでした。
そういう事は自分でなんとかして欲しいです。

その嫌なお願いをする先輩に僕はよく思われていなかったのか、ある日勝手に他のチームと走っていたら 車で追いかけられました。
そして、先輩に「お前降りてちょっとこっちこい」と言われたので言う通りにバイクを降りました。

先輩は「走るなら一言くらい報告しろよ、舐めてんのか」と言うなり、僕の顔をアンパンマンみたいになるまで一方的に殴ってきました。
本当にボコボコです。殴り返そうと思ったのが、また間違いでした。

そのせいで2日くらいは熱が下がりませんでした。
僕に初めて恐怖を植え付けた人だと思います。

嫌いな先輩ではありましたが、根性は僕が見てきた人の中で相当すわっていたと思います。
別の地区の花火大会にチームで行った時に、僕が他のチームのやつと喧嘩になってボコボコにした後の話です。
僕はボコボコにしたそのチームのケツモチをしているヤクザに捕まってしまいました。

その時、直ぐ駆けつけてきたのがその嫌いだった先輩でした。
そして一言「見とけ」と僕に言い放ち、ヤクザとタイマンを張って助けてくれたのです。
その時は少し見直しました。
喧嘩は僕が生きてきた中で一番強いと思います。

他には別の地区のチームと5対5のタイマンした時も相手に1発ももらわず勝っていました。
僕もその時の5人の中に入ってタイマンしましたが、先手必勝で金玉蹴り上げて、相手がうずくまったところに顔面をおもいっきり蹴りあげて失神させて勝ちました 。
我ながら卑怯だなと思いましたが、勝てばいいのです。

結果は僕らのチームが5人とも勝ち、相手のチームを解散させました。
ちなみに僕は喧嘩は好きじゃないです。
ビビってると思われるのが嫌なのでやっていたのがほとんどです。
痛いから基本やりたくないというのが正直な気持ちです。
それよりも僕は単車に乗るのが好きだったので、ほぼ毎日一人でも走っていました。

一人で自分の運転技術を確かめるために、警察署の前でわざと空ぶかしをしてパトカー出動させて追いかけっこをしたりしてました。
みんなは走る時に覆面をして走るのですが、僕は運転の邪魔になるので覆面もあまりしてませんでした。
現行犯 で捕まらなければ大丈夫だろと僕は思っていたのです。

いつものように朝方まで走って、新しく借りた自分のマンションに帰って寝ようとしたら警察が尋ねてきて、逮捕状を突きつけられすぐに手錠をかけられました。
手錠って意外に痛いな、という記憶があります。
これが初めての逮捕です。

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