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『みる誕生』鴻池朋子展(静岡県立美術館)

昨夏、高松市美術館で観た展示。
リレーしてきた静岡でも観たい!と熱が冷めやらず年明け早々の1月2日に行ってきました。
貴重な正月休み、いきなり高速をぶっ飛ばして美術館へ連行される夫。新年早々感謝しかない…。

鴻池朋子さんはアーティゾン美術館で『ちゅうがえり』を観てからファンです。
自分が地球の中のほんのささやかな存在だと知り、見てる世界がひっくり返るような展示でした。記憶なくしてもう一度体験したい。

こんな年明けいきなり美術館来る人もおらんやろ、くらいの気持ちで辿り着いたら駐車場そこそこ満車!
展示期間が1/9までだったので、私のような駆け込み客が多かったのかも。

高松でも観たとはいえ、作品の展示順など工夫されていて「静岡県立美術館の展示」とはっきり色が出ていた。
それぞれの展示室に合わせた配置、学芸員さんの思いが伝わってくる。
特に金陽会とコレクション展のコラボレーションが最高だった!
静岡県美のコレクションと同じ目線に金陽会メンバーののびのびとした作品が並ぶ。写真が撮れなかったのが残念。このフロアが一番感動した。時やあらゆる壁を越えて、良い作品同士がお互いを高め合うような空気。

高松ぶりに触れる作品たちに「久しぶりだね」と声をかけながら展示室を進む。

そして静岡県美最大の特徴はロダン館から抜け出して向かう、裏山の逃走ルート。

最初こそ舗装された道だったけど、だんだん自然剥き出しの世界へ突入。

スニーカーで行ったものの、落ち葉だらけの足元、急にあらわれる太い木の根、容赦ない坂道。
自然慣れしてない街中育ちにはきつい。

私は新年早々、いったい何処にいるんだろう?
そんな疑問が湧きつつ、先へ進むしかどうしようもない。
夫が前を進んでくれたのでまだよかった。
昨夏の瀬戸内国際芸術祭でひとり駆け巡ったリンデワンデルングを思い出す。あの日は雨でひとりで心細かった。あの時は、ほんとうにこの道から出て帰れるの?と不安になった。

展示室で静かに観るだけがアートじゃないよ。
鴻池さんにそう囁かれているようだった。
木々の向こうから時たま銃声が聞こえてくる。
後で知ったけれど、クレー射撃場が近くにあったせいだった。
自然に囲まれながら聞く銃の音は恐怖をかきたててくる。展示室で観た毛皮になった動物たちが頭をよぎる。もしかしたら、ここまで計算されていたのかもしれない。

土の匂い、手に触れる木のざらついた感触、しっとりした空気、足の裏の不安定さ。
身体ひとつで鴻池さんの世界に飛び込む。
そんな展示でした。
今年のはじめにふさわしいアート体験。
連れてってくれた夫にあらためてありがとう。

次は青森へリレーされるこの展覧会。
青森も観たい、が、遠い笑
小牧空港から飛行機乗れば行けるけど…行くかどうかは、まだ検討中。

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