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ハロウィンのイカスミパスタ

大好きな先輩がいる。
私のタトゥを担当してくれてる彫師の女性Aさん。
仕事はもちろん素晴らしく、センスも1億点。
さらに美味しい料理やお菓子も作れる。
おしゃれでおしゃべりも楽しい。
笑い転げる馬鹿話から時々シリアスな真面目な話まで会うたびに時間を忘れて話し込んでしまう。

タトゥの施術中にあまりにも面白くて笑いを堪えるのに震えてしまう。
『ちょっと〜体動かさないで!笑うの禁止!』
彼女が彫りながら注意してくる。厳しい。
あなたのせいで震えてるんですよ!

大人になって、歳を重ねるごとに爆笑することが少なくなった。
ちょっとお腹痛い…となるまで笑わせてくれる相手が身近にいるというのはとても恵まれている。
彼女以外にも私のツボをついてくる強敵は数名いて、彼らと会ったら笑いすぎの腹筋筋肉痛で苦しむ未来が待ってる。

ハッピーハロウィン!

その彫師のAさんが毎年ハロウィンには特別なディナーの準備をすると教えてくれた。
恋人とゆっくり過ごす10月の夜のおうちごはん。
Aさん自慢のハロウィン定番メニューがあるらしい。
興味深く聞いたのだが数年前のことで詳細は忘れてしまった。
自分の記憶力に毎度がっかりである。

ただひとつ覚えている料理がある。
イカスミのパスタ。
Aさんはイカスミパスタは絶対作ると言っていたはずだ。
他にはかぼちゃのグラタンかシチューかサラダ…ハロウィンらしい色合いの副菜などを用意すると言っていた気がする。

20代の頃、某チェーン店ファミレスで豊富なメニューの中からイカスミパスタを選ぶ友達がいた。
うわ、これ頼む人いたんだなぁ…と少し冷たい視線を送ってしまう。なんとなく生臭そう。

これが私のイカスミパスタデビュー。
友人からひと口もらった食べ物と思えない漆黒のパスタは想像以上に私好みだった。ゲテモノ食いっぽい勝手なイメージが消去された。
こいつ、うまい食べ物だったのか…。

過去外食で何度か食べたことがあるが普段頻繁には食べない真っ黒のパスタ。
私の実家では食卓に並んだことはない。
食事の後にはトイレへ駆け込み、鏡で口の周りと歯を確認しないと心配な食べ物である。

私はAさんの話にびっくりして家でどう作るのかを質問した。優しいAさんは輸入食品屋でイカスミペーストを買って茹でたパスタに和えるだけだよ、と教えてくれた。

イカ買ってきてスミを絞るのじゃないのか!

そもそも数回しか食べたことないイカスミパスタ。便利なペーストが販売されていて和えるだけで出来上がる料理だとは思わなかった。

めちゃくちゃ簡単。
話を聞いてすぐにカルディにペーストを買いに行った。
ハロウィンは普段のお料理にひと工夫してホラーな演出を楽しむ人が多いと思う。
紫やオレンジ、緑の色合い。食材をおばけに見立てたり、ビジュアルもとても楽しい。
ネットには魅力的なハロウィンの食卓の写真が沢山並ぶ。クオリティが高くて恐れ慄く。

だけど自分で作るのは面倒である。
簡単に、時間をかけずハロウィンディナーを楽しみたいと思っている。

暗黒のイカスミパスタに目をつけたゆで卵を添えて、ケチャップの血をたらす。
かぼちゃをレンチン、潰してマヨなどであえて時短パンプキンサラダ。
色んな野菜を鬼の形相で切り刻んでミネストローネ的スープ…ほぅら、さらってきた子供達を煮込んで作ったスープだよぉ…魔女気分。

Aさんのハロウィンのイカスミパスタ。
我が家のおうちごはんにも突然登場する存在になった。お手軽簡単に楽しい真っ黒パスタが出来上がるのでみなさんにおすすめしたい。

よいハロウィンを!
Trick or treat!


365日ハロウィン希望

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