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『文藝春秋』に新作の詩が掲載されました(勝敗のある社会について)

『文藝春秋』2022年8月号に、新作の詩「数値化されない波」が掲載されました。

10行ほどの短い詩ですが、機会があればご一読いただけますと幸いです。

「もう勝ち上がれないと知った日の/しずかな夕陽をおぼえていますか」

という一行からはじまります。
わたしはもともとレコード会社の正社員だったのですが、体調を崩してしばらく専業主婦のち、派遣社員、契約職員を経て、現在はスタートアップ企業の正社員です。

冒頭の一行が浮かんだのは、通院帰りに電車のホームへ急ぐ駅の階段の途中でした。

勝ち負けを定義する社会に問題があるとわかっていながら、職を失い「もう勝ち上がれない」という気持ちになったことをおぼえています。

年収や貯金額といった経済的指標で人をはかることはできないですが、経済的に困窮した者はセーフティネット(そもそもあるのかないのか)からこぼれ落ち、明らかに「負け」となる社会構造であることは確かです。

運よく縁あって正社員には就けましたが、自分が「勝ち上がれた」とは思っていません。
「勝ち上がりたい」とも思いません。
悔しく惨めだった頃に出会った方々の顔を思い浮かべながら、勝敗とは無縁のさざなみのなかでしずかに濡れているような気持ちでいます。

近々、本作を改稿した少し長めの詩を、「Poetic Mica Dropsコミュニティ」の方へ掲載したいと考えています。

★noteメンバーシップ、「Poetic Mica Dropsコミュニティ」は7/15オープンです!(7/13〜プレオープン予定)

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