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【詩】生きていない森

故人の林立する森を
風が吹き抜けてゆく
かわいた思慮の風
からだはもうないのに
一度纏った衣服に宿る物語性が
生きもののように
風にはためいていた

1956年 1984年
とんで 2020年
ここは
重奏する時を可視化した場所
光は無理に屈折をはじめる
生きていないものを
生物へ組み込んでしまう
だから人間はおそろしいと
服を着た犬
「造花のくせに落ちるなよ」

布をくぐる
森がひらける
あとはただ
水がかようばかりの草木だ
いずれわたしたちを殺す

草間小鳥子

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この詩を書いた背景や考えたことなどは、後日、「Poetic Mica Dropsコミュニティ」のほうへ写真つきで発表予定です。
ぜひご参加、ご一読いただけるとうれしいです!


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