ノウハウはなくとも、道はあるはず

「脚本家って、どうやってなるんですか?」
と訊ねられる度に、
「十人脚本家がいるとしたら、なり方も十通りあるって感じなんですよね……」
とぼんやりしたお返事しかできず、困ってしまいます。
「王道のなり方」って、あるのかなぁ。
多分ないんじゃないかなぁ。

自分が今、脚本家を目指している状態だとして、現役脚本家の人たちの「こうやってなりました」という例を集めても、それらが自分にも向いているとは限らないですよね。
「なろう」と思った時点までの経歴も、性格も、得手不得手も、人それぞれなわけで。

例えば私は「脚本家になろう」と思う以前に会社勤めをしていた経験があり、”脚本家予備軍”になってからも、会社員時代に教え込まれた細かい仕事のノウハウ(「メールは即レスが基本」とか、「やり取りを迅速に進めるために、話の結論を最初に言う」とか)を守るようにしていました。
そういうことがプラスになった面もあるとは思いますが、「今、脚本家を目指しています」という人に、
「メールは即レスした方がいいよ」
とアドバイスするのは、本質的ではないと思うんです。
(返信が遅いより早い方がいいのは当然のこととして。)

私の場合は、たまたまビジネスマナー的なことがプラスに働いたと思うけれど、まったく別の面がプラスに評価される人だって、いくらでもいるはずです。
だから、今「脚本家になりたい」と思っている人は、「どうやったら脚本家になれますか?」と人に尋ねて回ることより、
「自分という人間が脚本家になるには、どうすればいいのだろう?」
と自問自答することにこそ、意味があるように思います。

何か新しいことを始めようとするときに人にアドバイスを求めて、「決まったノウハウはない」と言われると、
「じゃあ一体どうすれば……」
と不満に思いがちですが、そういうときは「自分用のノウハウ」を構築していくしかない。
そして、「自分のできること・できないこと」を一番よく分かっているのは自分自身なので、「最良の相談相手は自分」ということになるんじゃないかと思います。

……ってなことを考えているのは、私が今「ノウハウのないこと」に挑戦したいと思っているからです。
もちろん人からのアドバイスも参考にはしますが、自分自身とじっくり相談しながら、道を探っていきたいです。

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