【追悼】大井冷光―井上江花のルポ5編『高岡新報』1921年
大井冷光の恩師である井上江花は、形式的な文章をことのほか嫌う記者だった。かつて競合紙北陸タイムスの新社屋完成記念紙面に名士たちが祝辞を寄稿したのに、ひとり「我がタイムス観」という文章を寄せたことがあった。冷光の死に直面して、江花は翌日の紙面に短い追悼記事を書いた以外に追悼スタイルの文章は書いていない。その代わりにルポを書いた。「喪に之く旅」「死に暗示有り」「之れ戦死也」「友人を葬る」「紅海を渡る」という標題の5編である。「オホ井ノブカツキウシス」の電報を受けてから、上京して葬