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マタニティマークを隠していた話。

どうも、佐藤古都です。
育児話ばかりが続いてしまって申し訳ない。


2016年、わたしは妊娠した

結婚したし、そのうち子どもも欲しいなとは思っていたけれど、ここでいう「そのうち」は「2,3か月のうち」とか「年内」とかいうことではまったくなく、もっとざっくりと漠然とした「そのうち」で、まかり間違っても「いま」ってことではなかった。

アラサーがいう、「わたしもそのうち結婚したいわ~(まだ遊びたいし仕事もしたいし彼氏もいないけど)」くらいのやつよ。

とりあえずすぐ上司には報告したけれど、初めての妊娠だったこともあって、8か月を無事に過ごせる気がまったくしなかった。安定期までは親にも友人にも伝えなかったので話相手も夫以外におらず、Twitterで愚痴を吐くこともできず、道端やホームで一人、ゲロを吐きつづけていた。

週末にTwitterを見ていて、その頃の気持ちを少し思い出した。

マタニティライフって、おなかさすりながら「早く会いたいな…♡」とか言って毛糸で靴下を編んだりするものだと思ってたんだけど、わたしはほんとずっと吐いて、打ち上げられたセイウチのようにひたすら横になってた。コンビニの袋をお守りがわりに通勤ラッシュをなんとかサバイブする毎日。こんな弱い人間のもとに生まれてくる子に申し訳なくて泣き、そんな自分がさらに情けなくて泣いた。

マタニティマークは、周囲に「席を譲ってくれ」という主張にとられないか怖くて、なかなかつけられなかった。(正確にいうと、何かあったときには妊婦だとわかってもらえるように、つけてはいたけど、かばんの内側に隠して見えないようにしていた)それもあって、おなかがでてくる妊娠後期まで、席を譲ってもらったことは一度もなかった。

「なんて冷たい社会なんだろう」
と思うことは簡単。

でもさ、マタニティマークをつけなくても、吐きそうなときは「すみません、気持ちが悪いので席を譲ってもらえませんか?」とお願いしていいんだよね。


マークをつけていないと助けられない社会

マタニティマーク以外にも、増えていますよね。ヘルプマークや子ども用車いすマーク。もちろんつけていたら配慮しやすいからお互いに便利だし、障がいのある方や子連れで余計なトラブルを避けたい気持ちも分かる。だからつけている人を非難したい気持ちはまったくありません。

でも。その先に、「マークがなかったら助けなくてもいい」という社会があるのは困ります。マークをつけていた方が捗る社会って…ちょっと寂しくないですか?

ヘルプマークをつけていなかったら譲らなくていいわけじゃないし、ベビーカーは邪魔だから必ず畳まないといけないって風潮にもNOと言いたいんですわたし。(自分で歩くこともできない乳児を抱っこしてベビーカー畳むとか不可能だし)

そのためには自分自身から、マークがなくても困ったときに助けを求められる人にならないといけないし、マークがなくても困ってそうな人には手を差し伸べられる人にならないといけない。

もし「その配慮はいらないです」と言われても、変に恥入ったり、ましてや八つ当たりすることなく「そうなんだ」と素直に思える人。

もしそこまで必要のない配慮をしてもらっても、「ありがとうございます」と親切の連鎖を繋げられる人。

もちろん、障がいのある方や子連れや妊婦さんだけに、こんな面倒なことを押し付けるつもりはありません。

まずは自分から。インクルーシブな社会を実現するためにできることはないか、考えたいんです。


どんな場所でも子どもがいることが当たり前になれば。

子どもが生まれるまで、わたしの趣味は「酒、煙草、男、音楽、映画、読書」でした。読書以外は、いまはどれも少しだけ我慢が必要です。煙草の煙もくもくの居酒屋には連れていけないし、大きな音楽がかかるDJイベントも、静かな演奏会や展示会や映画館も、子連れには厳しい。

でも行けるときには連れていきます。(最低限のTPOはありますが)お酒がはいる場も屋外や禁煙なら、託児がないイベントも、会社の会議にも連れて行っちゃいます。

子どもがいることが普通になれば、次の世代は「仕事も趣味も諦めなくてもいいんだな」って子どもを持つことにもっとポジティブになれるかもしれない。周りも子どもがいる環境に慣れれば、どういう配慮が必要なのか知ることで受け入れにもポジティブになれるかもしれない。

これは障がい者や他のマイノリティでも同じじゃないかなと思います。

知らないから助けられない。助けられることに慣れていないから外に出られない。どちらも情報や経験不足から起きていることです。

個人個人が冷たいわけじゃない。分からないから接触をお互いが避けた結果がこの「冷たい社会」なのではないかと。

だからわたしはまず子どもを連れて社会にでます。働きます。遊びます。助けを求めます。助けてもらいます。娘とポジティブに毎日を生きていきたいのです。情けなく泣いている場合じゃない。

そして、第二子がもし生まれるとしたら、マタニティマークを隠さずに堂々と電車に乗りたいと思います。

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