大事なのは、ただ学ぶのではなく、学びと実践を繰り返すこと(『論語』公冶長篇)
今回取り上げるのは『論語』公冶長篇からの言葉。
まだ学んだことを実行できていない間は、さらに新しい学びを聞くことを恐れた、という意味。
孔子の弟子である子路(しろ)についての言葉です。
つまり、学んだことは速やかに実行しなさい、ということですね。
子路は孔子の門下生の中でも特に優秀な10人のうちの一人に数えられます。
(=孔門十哲)
何に対してもまっすぐで、孔子に献身的に尽くした実直な人です。
弟子の中でも特に武勇に優れており、理論よりも実践を重んじました。
孔子から何かを学んだ際、子路ほど学びを実践に移そうと直向きに努力した人物は少なかったでしょう。
彼は、
学ぶ
実践する
体得する
次の学びを得る
というステップを大切にしていました。
尊敬する師匠からの教えを順番に身につけてから、次の教えを請おうとしていたのです。
子路は、学びの道は一足飛びには進展しない、ということをよく理解していました。
基礎がしっかりしているからこそ、応用が身に付きます。
子路は孔子に誠実に向き合っていたからこそ、孔子の教えをきちんと一つずつ吸収しようと懸命に努力していたのです。
そのため、自分がまだ実践できていない教えがあるうちに、孔子から新たな教訓を聞かされるのを恐れたのでしょう。
実直な子路であればこその悩みですね。
ちなみに、孔子も彼のそんな実直さを好ましく思っていました。
『論語』での孔子と子路のやりとりをみていると、孔子がいかに彼の人柄を愛していたかが伝わってきます。
子路のまっすぐさを心配して、孔子が優しくアドバイスしたり、
孔子に褒めてもらいたくて子路がアピールをして、かえって孔子に嗜められたり。
他にも色々あるのですが、どれも二人の良き師弟関係の様子が伺えます。
何だか羨ましいですね。
さて、今回の言葉から私が学んだことは以下の2点になります。
学んだことは早めに実践すること
一足飛びに学びを進めようとしないこと
何かを学ぶ瞬間というのは、日々何度も訪れます。
人から教わったり、ネットやTVで知ったり、本から学んだり。
その瞬間には「なるほどね〜」と満足すると思うのですが、それを実践するところまでできている人はどれほどいるでしょうか?
恥ずかしながら、私はあまりできていません……。
知識には座学で学べるものと、実践でのみ学ぶことができるものがあります。
知識と実践は車の両輪のようなもので、どちらかが欠けてもいけません。
荀子も、学びは実践してみて初めて完成するのだと言っています。
知識だけがあっても本番で役に立たなければ意味がありませんし、実践経験だけが豊富でも、知識がなければ応用したり効率化したりすることができません。
知識に実践が組み合わさることで、より体系立てた形で学びを体得することができます。
そのためには、何かを学んだらとりあえず実践してみることが大事です。
実践したときの感覚は知識だけでは分からない部分なので、その時に得た経験は確実に自分の糧になることでしょう。
この、学ぶ→実践する、という流れを素早く繰り返すことができれば、いつもの日常も豊かな学びの日々に変わっていくのだと思います。
ただし、学びを急ぎすぎてはいけません。
基礎ができていないのに、いきなり難しいことをしようとしてもうまくいかないからです。
孔子も、自分は身近で簡単なところから始めて上達したのだと言っています。
物事には順序というものがあります。
まずは身近で簡単なところから始めて、そこから一つずつ実践していきましょう。
学んだ通りにできなくても構いません。
そのときは、一つレベルを下げて学び直し、もう一度挑戦すれば良いだけです。
自分にとってやりやすいところから、学びと実践の道を歩み始めてみましょう。
まだ学んだことを実行できていない間は、さらに新しい学びを聞くことを恐れた、という言葉をご紹介しました。
現代は情報に溢れているので、学んだことをそのままにしておくと、あっという間に別の情報に上書きされてしまいます。
手に入れた知識を自分のものにするためにも、まずは早めの実践がおすすめです。
学びの道は実践するところまでいって初めて完成します。
学びと実践のサイクルを素早く回し、日々成長できるようになりたいですね。
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