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泣きながら食べたこと、ありますか?

辛くて辛くて何も手につかなくて、それでも毎日仕事には行かないといけないし、食べないとよけいに元気が出ないから、泣きながら食べたことがある。きっとすごくぶさいくな顔をしていたと思う。



大好きなくせに、ちょっとの拗れから恋人と別れてしまったことがある。ひとりでパニックになって、大泣きしながら家族のような元職場の先輩方に連絡した。号泣しながら合流し、落ち着くまでファミレスで付き合ってもらった。涙でドロドロの顔に、朝日が眩しかった。

しばらくは本当に辛くて辛くて泣いてばかりで、ご飯を食べる気にもならない。それでも、食べないと体力は落ちるし、体は何かを欲していた。特に仕事柄お昼休憩が取れないこともよくあったので、朝はせめてヨーグルトだけでもと流し込んだ。

ふたりで食べていた朝食(トーストとヨーグルトとコーヒー)を思い出しては虚ろな瞳で涙を流しながら、味もわからずとりあえずで流し込む。無理にでも食べているうちに、次第にバナナも追加したりと少しずつ回復していった。しばらくすると、またトーストも食べられるようになった。

あのとき、ヨーグルトだけでも食べておいて良かったなぁと思う。泣きながらでも、食べて良かった。おそらく、食べないまま過ごしていたらもっと病んでいったと思うから。

元気が出ないときに食べないでいると、頭はもっと働かなくなるし、身体も弱ってもっと心も弱っていく。食べるってだいじ。

泣きながらだって、味がわからなくなって、食べられるだけでもいいから少しは食べたほうがいいね。

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ヨーグルトのある食卓の企画をきっかけに、あの頃を思い出す。そんな事もあったよなぁと懐かしみながら、ふふふと笑って今日もヨーグルトを食べる。

あの頃はあんなに毎日号泣していたのに、今はもう笑えるくらいの思い出だ。

好きな人との別れがどんなに辛くたって、数年経てば過去のこと。今はもう、ひとりで食べる朝のヨーグルトも温かいブラックコーヒーも、いつもの朝のひと時でしかない。そこには悲しみも思い出もない。

そんなもんだよね。



サポートとても嬉しいです。凹んだ時や、人の幸せを素直に喜べない”ひねくれ期”に、心を丸くしてくれるようなものにあてさせていただきます。先日、ティラミスと珈琲を頂きました。なんだか少し、心が優しくなれた気がします。