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【GWにこそ小説を書きたい!】事前にプロットを練り上げて休暇中の創作に挑もう!!(2013年8月号特集)


プロットとは?

 プロットは、物語の構想、枠組みといった意味の言葉です。ストーリーと同義と言ってもいいですが、少し違います。
 ストーリーは「何が、どうして、どうなった」という大まかな筋で、話は時系列で書かれています。

 対してプロットは、全体の設計図に近いものです。ですので、現在の話を発端として、本編では過去に戻るといった話の運びも完成品と同じです。伏線をどこで張るかなども書かれていたりしますし、作品の狙いとかジャンル、枚数などについても明示されています。

 プロットは作品全体の地図のようなものです。書きなれない方は、作っておいたほうが間違いないでしょう。
 ただ、プロットはあくまでも構想ですから、当初の案にとらわれないようにします。書きながらどんどん変わっていっていいものだと思ってください。

プロットのつくり方

 プロットのありようは千差万別ですが、とりあえず一例として。まず、以下の要件について埋めます。作品の概要です。

  1. 枚数

  2. ジャンル、タッチ

  3. セールスポイント

  4. いつ、どこで、誰が

  5. 何を、なぜ

  6. 協力者と敵

  7. ストーリー

  8. タイトル

  9. 人称、視点

 枚数は、400字詰原稿用紙100枚とか500枚とかといったことですね。ジャンル、タッチは「不倫もので、シリアスだけど、どことなくコメディタッチ」といったこと。セールスポイントは、その作品の独自性、ウリです。
 「いつ、どこで、誰が」は、時間(時代)、場所、登場人物といった設定で、「何を」は人物の目的、「なぜ」は動機、協力者は主人公の目的達成をサポートする人、敵は阻害する人や障害です。

 ここまで考えたら、ストーリーを考えます。このストーリーは、出来事が起きた順番に時系列で書きます。400字程度の簡単なものでかまいません。
 このあと、詳しく煮詰めていきますが、この段階では「何を書くか」から「どう書くか」になってきます。

 たとえば、「この内容なら、人称は三人称、視点は主人公の一元視点で出来事を追ったほうがいい」とか、「今回は三人称では客観的すぎるので、一人称の告白体で」といったふうに。
 また、どんな導入部にし、結末はどうでとか、ある大きな事件であれば、そのどこを切り取るのか、どこを捨てるのか、どういう順番で書くか、その配分はどうするかも考えます。

やり直しになるパターン

 いいプロットでも、実際に書き出すと違うアイデアが沸いたりしてストーリーも違ってきますが(それでかまわないのですが)、一からやり直しという大きな変更にならないように、できるだけアイデアを煮詰めておきます。以下は、やり直しになるパターンです。

❶ 科学的、法的、常識的にありえない
❷ ストーリーが結末に向かわない
❸ 山がない、謎がない
❹ 枚数と扱う時間が合ってない
❺ 既存の作品と似ている

 ❶は、戦前が舞台なのに携帯電話があるとか、普通に考えておかしい設定です。細部ならまだいいですが、それが話の核になっていると取り返しがつきません。
 ❷は、主人公の目的は「世界チャンピオン」になることなのに、一向にその話が出てこないようなストーリーです。
 ❸は、主人公を悩ませる敵も障害もなく、先が気になる謎もなく、淡々と話が進む平板なストーリーです。
 ❹は、原稿用紙100枚で主人公の半生を描こうするようなパターン。これだと書くことが多すぎて、描写を入れている暇がなく、作品があらすじ化します。
 ❺は、剽窃とまでいかなくても、既存の作品や設定に似ているもの。つまり、オリジナリティーがないもの。これも一からやり直しになります。

 休暇に入り、いざ書き出したら、設定そのものが成り立たなかったというのでは、やり直しに時間をとられてしまいます。そうならないように、しっかりプロットを練っておきましょう。

長期休暇に小説を書きあげる方法を伝授!
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※本記事は「公募ガイド2013年8月号」の記事を再掲載したものです。