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ようこそ、妖崎あやかし法律事務所へ

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長編小説「ようこそ、妖崎あやかし法律事務所へ」の記事一覧です
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記事一覧

「ようこそ、妖崎あやかし法律事務所へ」最終話/第27話

エピローグ ようこそ  その日、略取誘拐罪および暴行罪の現行犯で逮捕された真垣陽一は後日…

倖月一嘉
10か月前
4

「ようこそ、妖崎あやかし法律事務所へ」第26話

 キラキラと、細雪のようにガラスが舞う。  頭上から降ってきたその一言と共に、優奈を拘束…

倖月一嘉
10か月前
3

「ようこそ、妖崎あやかし法律事務所へ」第25話

 優奈は息を切らして、倉庫内を彷徨っていた。  広い。相当に広い。多くの備品がそのまま放…

倖月一嘉
10か月前
4

「ようこそ、妖崎あやかし法律事務所へ」第24話

 薄暗い廃屋で、優奈は意識を取り戻した。  途端、鼻を突いた埃っぽい空気に眉を顰めつつ、…

倖月一嘉
10か月前
2

「ようこそ、妖崎あやかし法律事務所へ」第23話

 やかんを火にかけながら、流し台で急須を洗う。  燃える火の音と流れる水の音を聞きながら…

倖月一嘉
10か月前
2

「ようこそ、妖崎あやかし法律事務所へ」第22話

第四章 ヴァンパイア・ブラッド 「そっか、全部思い出したんだね……」  日も昇った、翌午…

倖月一嘉
10か月前
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「ようこそ、妖崎あやかし法律事務所へ」第21話

幕間三「お風呂、ありがとうございました」  深夜。借りた浴衣を着て居間に戻ってきた優奈に、新は「おー」と覇気のない返事をした。相変わらず縁側に横になったまま、動く気配がない。  髪から滴る水をタオルで吹きながら、優奈は尋ねる。 「お風呂、入らないんですか? お湯、冷めちゃますよ?」 「俺は後でシャワーでも浴びるからいい」 「折角お湯張ったんですから入ればいいのに。ゆっくりしますよ」  きょとんとする優奈に、新は「お前なぁ」と呆れた様子で呟く。ごろりと半身で振り返って、

「ようこそ、妖崎あやかし法律事務所へ」第20話

「落ち着いたか」  奇しくもあの日と全く同じ台詞に、優奈はこくんと頷いた。  あの日も―…

倖月一嘉
10か月前
2

「ようこそ、妖崎あやかし法律事務所へ」第19話

 ガタンゴトンと、電車が揺れる。  優奈の心臓は変わらず早鐘を打ち続け、全身からは冷や汗…

倖月一嘉
10か月前
5

「ようこそ、妖崎あやかし法律事務所へ」第18話

 真っ先に目に映ったのは、古ぼけた木目の天井だった。それから和風のペンダントシェード。部…

倖月一嘉
10か月前
2

「ようこそ、妖崎あやかし法律事務所へ」第17話

 野々宮の自宅は、優奈の自宅最寄り駅と同じ鉄道沿線にある。  といっても、事務所がある地…

倖月一嘉
10か月前
4

「ようこそ、妖崎あやかし法律事務所へ」第16話

 ガタンゴトンと、電車が揺れる。  既に陽は落ちて、外は闇に包まれている。電車の大きな窓…

倖月一嘉
10か月前
1

「ようこそ、妖崎あやかし法律事務所へ」第15話

第三章 吸血鬼の優しさ 『野々宮法律事務所は、四月末日をもって廃業いたしました』  ゴー…

倖月一嘉
10か月前
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「ようこそ、妖崎あやかし法律事務所へ」第14話

幕間二 「二次被害が出たって、本当か」  C県とI県の県境を流れる『時峰川』。その河川敷の現場に到着した帆理は、車を降りるや否や固い声で尋ねた。  夏至を過ぎたばかり、梅雨明け目前のこの時期、まだ空には薄明かりが残っている。河川敷の遊歩道では犬の散歩やウォーキングをしている人も多く、規制線の周りには、いくらかの人が野次馬と化していた。 「遺体の発見者は、夕方のランニングをしていた男性とのことです。通報は、遺体を発見してすぐに行ったと。しかし通報に気を取られている間に、『