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はかない響き

 枯葉の散る音が聞こえる。

 秋風が吹いたほんの一瞬、木漏れ日が目を刺し、思わず瞼を閉じた。その闇の中で、儚げな音は耳の奥をくすぐり、心を疼かせた。
 目を開ける。舞い散る落ち葉。弱々しいけれども硬質で透明な光。午後の公園。
「どうしたの?」
 彼女は言う。僕は答える。
「いや。ただ、木漏れ日が眩しくて」
「止まらなくてもいいじゃん」
「危ないでしょ、見えないまま進んだら」
「手、繋いでるでしょ。大丈夫だよ」
「そんな、子供や年寄りじゃないんだから」
「若者だって手を引いて欲しい時くらいあるでしょ」
 そう言って彼女は笑う。眩い笑顔に、僕も目を細めて笑う。視界が揺れる。そして。
 僕は我に帰り、一人呆然と立ち竦む。今ここには誰かがいたのではなかったか。
 秋の木漏れ日が僕の目を刺す。
 枯葉の散る音が聞こえる。

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