風を感じる青春スポーツ小説、おすすめ3選

爽快スポーツ小説

運動が得意な人も、苦手な人も、スポーツができる人も、できない人も、同じように「競技」を味わうことができるツール。それが「スポーツ小説」だと、こうさぎは思っています。

今回は、「風を感じる疾走感」をテーマに、おすすめの小説を3冊、ご紹介していきたいと思います、ぴょん!

*「風の向こうへ駆け抜けろ」

1冊目は、古内一絵さんの地方競馬を舞台にした青春スポーツ小説です。
平手友梨奈さん主演でドラマ化もされました。

主人公は、競馬の世界の中でも希少な、女性ジョッキーの瑞穂。
彼女が所属することになったのは、「藻屑の漂流先」と揶揄されている厩舎でした。ひと癖もふた癖もある調教師と、およそやる気の見えない先輩厩舎員たち、そして、レースにはとても出られそうにない馬たち。
しかし、ぼろぼろになった一頭の馬との出会いをきっかけに、厩舎の全員で力を合わせて、中央競馬の花形「桜花賞」を目指して駆け抜けていく物語です。

瑞穂がレースに出ている場面は、自分が本当に競走馬に乗っているかのような臨場感があります。そして、馬と人という種を越えた絆も見所です。女性ジョッキーへの偏見を乗り越え、馬に、競馬という競技に真摯に向き合う瑞穂の姿勢にも心を打たれました。

*「サクリファイス」シリーズ

2冊目は、以前も「こうさぎの読書日記」でご紹介した、近藤史恵さんの自転車ロードレースの小説です。

主人公は、陸上選手から自転車ロードレースの選手に転身した、誓(ちかう)です。
レースの緊張感、ライバルたちとの緊迫した駆け引き、そして、どうやっても自分の胸からかき消すことのできない事故の惨状、尊敬する人の死。

スポーツ小説としてはもちろんのこと、サスペンスとしても、ミステリーとしても楽しむことができる、1度で2度も3度も美味しい小説です。

1巻目の「サクリファイス」もおすすめですが、個人的には「サヴァイヴ」という続編の短編小説もおすすめです。選手の葛藤を、より深く、より克明に描き出しています。

*「風が強く吹いている」

最後は、三浦しをんさんの駅伝小説です。

今にも壊れそうな「竹青荘」に住む十人が、箱根駅伝を目指して共に1年間を駆け抜ける、感動の物語となっています。

見所なのは、主人公の走(かける)の成長と、竹青荘の住人たちをまとめる灰二の関係性です。
走は走ることがとにかく好きなうえ、天性の走りの才を持っています。
また、灰二は故障をきっかけに陸上から遠ざかっていましたが、誰よりも走ることに対して真摯で、チーム全員の面倒を見る懐の深さも持ち合わせています。
他にも、数々の個性的なメンバーが集い、それぞれが目指すもの、見たい景色に向かって駆け抜けていく様は、まさしく青々とした青春そのものです。

読んだら絶対に、次の箱根駅伝が楽しみになってしまう、瑞々しい1冊です。何度も映像化された作品ですので、ぜひご一読ください。


最後までお読みいただき、ありがとうございました! 
スポーツ小説の名作はまだまだたくさんありますので、他の作品もまたご紹介したいと思います、ぴょん!


(2022年1月29日にはてなブログで公開した記事を、一部加筆修正しました。)

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