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認可施設「公衆安全」に関して配慮いただきたい事項

認可施設で見落とされがちな事項として、「公衆安全」に関する事項があります。

ここで言う「公衆安全」とは、設備的には認可事業施設、認可施設に係わる設備(無償貸与されたものを含む)に係わるもので、事業者等の社会責任としての「不審者侵入対策、テロ対策、通学路対策等」を対象としています。

住民の立場から、法令、官庁基準、通達文書等を根拠とする「公衆安全」の考え方について以下に説明します。

・不審者侵入対策

開園直後の建築設備設置状況をご覧ください。

開園直後の設備状況
https://note.com/kousansha/n/n0710786f0ace

ただ組み立てただけです。この状態で開園式が行われています。開園式時点で関係者全員問題と思わないことが不思議です。

国交省「官庁施設の防犯に関する基準」が存在する関係で、認可施設についてもこの基準を適用すべきと考えます。特に夜間帯無人になる公共的施設の場合重要です。
当然のことですが、認可保育園の建築施設、建築設備、無償貸与される設備(バルクタンク等)について、本基準の適用徹底を、事業者、設置者に対し、住民説明段階で求めることになります。

以下「官庁施設の防犯に関する基準」の概要紹介。

国交省「官庁施設の防犯に関する基準」
https://www.mlit.go.jp/common/001335922.pdf

https://www.mlit.go.jp/common/001335922.pdf
官庁施設の防犯に関する基準

第 1 章 総則
1.1 目的
この基準は、「官庁施設の基本的性能基準」(平成18年3月31日国営整第156
号、国営設第162号)に定められる性能のうち、防犯に関する性能について、官庁
施設に求められる水準、これを確保するために必要な技術的事項等を定め、官庁施設
の防犯性能の向上を図り、官庁施設の利用者、執務者及び財産の安全を確保すること
を目的とする。

第 2 章 基本事項
(1)官庁施設の利用者、執務者及び財産に対する犯罪を防止できるものとする。
(2)官庁施設の立地条件、規模、開放性、運用の状況等に加え、官庁施設に求められ
る各性能の確保及び総合的な調和を考慮したものとする。
(3)地域における防犯環境の向上に貢献するものとする

3.2 技術的事項
3.2.1 防犯を考慮した施設整備
3.2.2 建築に関する事項
3.2.3 防犯設備に関する事項
3.2.4 施設の運用・管理に関する事項

・LPガス事業法の保安業務の義務

電気事業法、ガス事業法にも保安に関する条項が存在します。この場合の保安とは、一般論ですが、工場施設内に限定されるものではないと解釈します。

敷地内のバルクタンクについては、開園後1年間、所有者および賠償責任保険付保状況が不明のままでした。住民感情的に許されるものではありません。

保安規程と消防法の関係(LPガスの場合)
https://note.com/kousansha/n/n93aecce19cf9

LPガス事業法に関する問合せ結果
https://note.com/kousansha/n/n26b3f3c37210

バルクタンクの管理体制及び賠償保険等付保状況
https://note.com/kousansha/n/n40c515a3fd78


参考までに、当該保育園に近い場所にある、地銀敷地内バルクタンクには、バルクタンクフェンスが設置され、所有者名が表示となっています。

ある地銀駐車場に設置されたLPガスバルクタンク
https://note.com/kousansha/n/n36774870cf4c

保育園周辺の電柱については、以前の所有者がNTTでしたが、今は北電であるとわかる銘板が取り付けてあります。


民地内等に設置された送電線設備の場合、もれなく、電力会社の銘板が取り付けてあります。道路脇の消火栓についてもわかりやすい表示となっています。


・テロ対策
平成27年に経済産業省から通達文書が発出されています。「液化石油ガスに係る重要施設における自主警備体制として ① 施設内への不正侵入を防止するための監視装置等の設置及び施錠等の実施」の規定が存在します。打合せ時の対応経緯から、施工会社は、この通達文書を見落としていたことが判明しています。

液化石油ガスに係る重要施設におけるテロ対策の強化について
https://anshin.pref.tokushima.jp/docs/2015060800017/files/LP.pdf


・通学路対策
近隣にある小学校の場合、児童通学路を指定し、指定された経路で登下校することを保護者父兄との間で確認しております。保育園敷地南側の歩道は指定通学路となっています。この地区の児童の登校時間は午前8時前後ですので、この時間帯での燃料供給、重機による除雪作業は好ましくありません。


・児童父兄、保育士の車両通行経路

敷地北西に、交通事故多発する非常に危険な交差点があるため、その交差点を回避する目的で仲通り側に保育園父兄用駐車場を設置いただき、この危険な交差点をなるべく通過しない順路での配車をお願いしております。

危険な交差点傍の駐車場に駐車いただく場合、追突事故防止のため停車時にハザードランプ点灯をお願いしております。


・バルクタンク等燃料供給時間
平日の、児童通学後~午前中の時間でお願いしております。燃料供給会社運転手の方にも直接お話しし対応お願いしております。

・公衆災害
建設業法に「公衆災害」条項があります。

建設業法上の「公衆災害」について(官庁情報まとめ)
https://note.com/kousansha/n/n2f11d2efa7de


・既存不適格建築物
建築基準法に「既存不適格建築物」条項があります。第三者被害(通行人等への被害)を想定している点で公衆安全関係法令となります。

建築基準法「既存不適格建築物」について
https://note.com/kousansha/n/n089f1370273c


・製造物責任法
法解釈として第三者被害を想定しているため、公衆安全関係法令となります。

製造物責任法上の取扱い
https://note.com/kousansha/n/n34659a6815d0


・重機による除雪作業時間

午前5時から午後10時の間でお願いしております。市道除雪作業時間が慣例的に夜間帯(ランダム、受託者都合優先)となっている関係で、保育園敷地内除雪作業時間を深夜帯としないこと(住民安眠対策上の重要事項として取扱っていただくこと)をお願いしております。

公衆安全対策は、個別には法令上明確な規定がないものだらけです。だからと言って、施工会社がやりたいようにやっていいとは思えません。
今回建築設備を請け負った企業は、上記法令、基準等の多くを知らず、あるいはまったく理解せず受注したことが、打合せ経緯から判明しております。

冒頭画像は、開園式直後に撮影したものです。今回設置された建築施設(建築物、建築設備、付随する設備)について、保育園経営者、開園式参加者は、保育園事業に係わる「公衆安全」という概念をまったく知らないか、理解していないと思われます。
当地域は、閑静な住宅地ですので、今後は、自衛対策上、住民説明段階にて、「公衆安全」というテーマで、事業者だけでなく施工会社に対し、念入りにヒアリング等実施することを検討します。

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