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manabo×タルトタタン「教育格差とは?」

11月17日に、我々manaboインターンは、教育格差支援を目的とする学生団体「タルトタタン」さんと対話イベントを行いました!教育格差は実際にあるのか?あったらどうしていくのか?そんなお話をしてくださいました!

参加者紹介

【学生団体「タルトタタン」】
教育の地域格差解消を目指して活動する学生団体。
主に、大学受験の課題と将来選択の課題に焦点を当てて活動している。

・代表:かめちゃん
タルトタタンの創設・代表者。東京学芸大所属。
自身の壮絶な大学進学経験をきっかけに教育格差解消への熱い思いを抱く。

・ななみ
横浜国立大学所属。
アルバイトをして入試・進学資金集めをするなど経済的に不利な状況からの大学入試を経験。特に「機会格差」「文化資本」に対して強い関心を持つ。

・抹茶
東京学芸大所属。
代表かめちゃんに誘われて初めて教育格差の存在に気付いた。格差の外からの視点で議論を展開する。

【manabo】
現役の難関大生から個別指導が受けられるオンライン教育サービス。

・スガップ郎
manaboの音楽担当兼マーケター。
manabo、インターンらを引っ張る先導者。進学校出身で教育格差を身近に感じた経験なし。

・しょーたま
国立大学医学部所属。
PTとして長年活躍し、医学部での学びや自身の経験から鋭い見解を述べる。

・水鳥
筑波大学所属。
司会。時事ネタを絡めた意見で議論を進めていく。

・氷
東京大学所属。
教育格差に関する政策立案コンテストの参加経験あり。豊富な知識・経験からの議論を展開。

・おがわ
九州大学所属。
地方出身。実際に地方での受験を経験した立場から教育格差の実態を語る。

・さとう
慶應義塾大学所属。
地方出身。豊富な個別指導経験を持つ。幼少期から身近に環境格差を感じてきた。

対談①:自分の身の回りの格差

*タルトタタンの皆さんは(タ)として区別しています。

水鳥
こんばんは〜。本日はよろしくお願いします〜。

皆さん
よろしくお願いします。

水鳥
では、早速対談をはじめて行きましょう。まずは、「自分の身の回りの格差」についてお話ししていきましょう。私自身が気になったことなのですが、いわゆる「身の丈発言」が問題になったことがあるじゃないですか。身の丈発言問題について、タルトタタンさんはどう思いますか?

身の丈発言について
昨今、英語4技能を大学入試テストにて測る際に、英検などの外部テストを使おうという話があります。ただ、これって地方の人は試験場まで出て行く必要があるし、あまり裕福ではない家庭の場合頑張って試験料を用意したりしないといけないんです。そういった格差を問題視する意見が少し出てたんですよね。
そんな中、当時の文部科学大臣である萩生田光一氏が、「身の丈にあった受験をしてほしい」と発言しました。これに対して「格差容認ではないか」と批判が相次ぎ、謝罪会見が開かれる事態までに発展しちゃったんですよね。これが身の丈発言問題です。

かめちゃん(タ)
すごい問題発言だと感じています。と言うのも、身の丈発言によって、大臣自ら「環境によって人の可能性を狭めてしまっている」と言う事実を認めてしまっているんですよ。例えば、英検などでお金のある人ない人で機会格差が出てきます。その機会格差を、「身の丈」と言う言葉で片付けてしまってはダメですよね。

スガップ郎
なるほどなるほど。しょーたまさんは、どう思います?

しょーたま
そうですね、自分としては、身の丈発言は金銭面に対して注目されがちなんですけども、個人的には他の面でも問題と感じています。例えば、場所ですね。語学試験を受けるのに、場所によってすごく行きにくい、行きやすいのは格差だと感じています。他にも格差って色々あって、格差を見る視点の数だけありますよね。

スガップ郎
なるほどですね〜。ただ、今の時代、オンライン教育とかが充実されてきているじゃないですか。なんで格差が起きている地方はオンライン教育を利用しないでしょうか?

しょーたま
それは情報格差があるからですよね。

かめちゃん(タ)
例えば、Web検索するワードを知らないのって、すごい情報格差ですよね。都会の人たちは、駅でたくさんの受験広告とかで「受験の世界」っていうのを垣間見ることができますよね。一方で、地方の人って電車を日常的に使わない地域もあって、受験の世界を認知できないんですよ。

水鳥
なるほど、地方ではそういう面もあるのですね。地方といえば、おがわさん!地方ご出身でしたよね?ご自身の経験ではどうでした?

おがわ
確かに、かめちゃんさんのいう情報格差はありますね。地方には、他にも特徴的な格差があるんです。それは「コミュニティの格差」なんです。コミュニティってすごく重要だと感じていて、周りに高みを目指す人がいなければ、勉強する情報も入らないですし、勉強に対するモチベーションも低くなってしまうんですよね。Twitterとかやればコミュニティはすぐに見つかると言う意見もあると思うんですけど、地方の人はコミュニティを見つけようという発想自体がないんですよね。私も、そういったコミュニティには入れませんでした…。


情報格差で思い当たることが私にもあります。私の場合、大学に行くっていうのを意識したのは高校の環境に影響されたからなんです。その時は、大学ってどんなことをする場所なのか全く分からなくて、大学に行く意味を自分なりに考えたりしていました。高校では「大学に進学する」ということがどんなことなのか、実は結構分からないんですよね。

対談②:大学か就職か

水鳥
そうなんですね…。確かに、「大学に行く」とはどういうことなのか、具体的に何をするのかってあまり考えたことないですよね。
みなさん、大学に行く意味って考えた経験とかありましたか?

さとう
私のことではなく知人の話なんですが…。知人は高校卒業後、地方で準公務員として働いていたんです。その知人が突然大学に進学することを決意したんですよね。もしかしたら、「このままだと一生パートのまま」だと悟ったのかも知れません。実はこういう人って地方にはそれなりにいるんですよね。
個人的には、大学に行く理由を、大学に行く前に見つけるのってすごく難しいと思うんですよ。大学に行く理由を見出す時は人それぞれです。
ほとんどの大学生は、大学行く前に漠然と「なんとなくあれやりたいなぁ」と思っていて、大学に入ってから、もっと大きい可能性に出会う。その出会いも含めて大学に行く価値だと思います

ななみ(タ)
私の高校時代は、周囲がすごくエリートの子供ばっかりでお金もたくさんあって…。それに対して、私は経済的に不利な状況だったんです。なので、大学に行く意味が、自分の生活水準を上げるというところにありました。

水鳥
そうなんですね、多様な意味があるんですね。
逆に、意味が先行してしまって、選択肢が限られてしまう…という場面もあるんじゃないかなと思うのですが、タルトタタンさんはそういうご経験ありましたか?

抹茶(タ)
自分の高校は、大学進学が当たり前だったんですけど、逆に大学以外に行くと言う選択が許されない世界でした。自分の友人は専門学校志望だったのですが、専門学校は有り得ないとオープンキャンパスにすら行かせてもらえなかったことがありました…。こんな風に、生徒の選択肢が封じられてしまうのは良くないですよね…。

かめちゃん(タ)
そうなんですよね。だからこそ、我々の団体では、大学進学を前提とせず「大学受験の課題」と「将来選択の課題」の二つを解決したい課題としているんです。

おがわ
地方では、大学に進学する、という選択肢を持っていない人が多いんですよね。私も大学に行く行かないの前に、一旦選択肢を持って、しっかり考えて欲しいなと思います。

かめちゃん(タ)
私もそう思います。大学進学を諦めてしまって選択肢すら持たない人もいます。「大学進学するかどうか」を自分で考える機会がみんなにあって欲しいです。


「大学に行く/行かない」って平均賃金と関わり深いじゃないですか。そういう要因があると、「大学に行かない」と言う選択肢を選ぶのは難しいと思います…。

しょーたま
こういう時ってお金の話になりがちなんですが、お金の面があったとしても、大学進学の可否には影響しないと思うんですよね。

スガップ郎
たしかに、ベンチャー企業の社長さんは大学を出ていなかったりしますよね。大学の学びはネットでもどうにかなりますし。まさに高校を卒業した今、大学に行かねばならないのか、と言うのは疑問ですよねー。

対談③:我々にできることとは?

スガップ郎
では皆さん。お金があったとして、誰のどんな困りごとの解決を手助けしたいですか?

かめちゃん(タ)
まずは、その高校のレベルより上のランクの大学を受けたい人をサポートしたいと思っています。一方で、大学進学自体を視野に入れていない人たちに大学の魅力を伝えることもしたいと思っています。そういった学ぶこと自体に関する情報格差を無くしたいですね。

スガップ郎
では、ある子供が大学に行きたいと言ったとします。その子供が、周囲の人と意見が異なってしまう場合、子供と周囲の人との意識の間に隙間(ギャップ)があるじゃないですか。その隙間を、本人が埋めるべきなのか、団体が介入すべきなのかはどう考えます?

かめちゃん(タ)
私の経験から言えば、自分で説得するしかないですね。ただ、自分で説得するってすごく辛いんですよ。そんな時に、コミュニティとして仲間がいるとすごく心強いですよね。

スガップ郎
それなら、団体としてアプローチすべきなのは、親?

しょーたま
こういうことに対するアプローチって、状況に応じて分類するのが良いと思います。医学分野ではアプローチを三段階に分割する方法があって、例えば高血圧患者を減らすためのアプローチというのは…一次予防として、若者に対策を言い続けるんです。そうすると、将来ある程度の予防をすることができます。二次予防として、問題を抱え始めた本人に対して処方箋を出すことです。そして、三次予防は、問題が起きた後でその問題に対してアプローチします。
こんな風に、どんな問題に対しても段階的にアプローチを分類していかなければならないんですよね。
そして、二次・三次の対処は比較的楽で、患者が病院に相談に来てくれるんですよ。一方で、一次の患者は病院に来ないので、アプローチが難しいんですよね。
だから、アプローチを分類して、既に手助けが必要な人にアプローチするのか、問題を潜在的に抱えた人に対してアプローチするのか、どっちから手をつけるかを考えないといけないんですよね。

スガップ郎
では、高校生にとっての一次〜三次はどんな状況なのかを定義してみましょう。

水鳥
そうですね。こんな感じでしょうか?

一次:将来の大学進学を視野に入れているが、親などの障壁がありそうな人たち。
二次:大学進学を目標にしているが、なんらかの問題があり、解決の手立てが見つかっていない。
三次:大学進学をしたいが、問題に対して一人では解決できない。

スガップ郎
我々の場合、駿台のシステムとmanaboのインフラは提供されているんですよ。では、この一次〜三次のどこにアプローチできるんでしょうか?

しょーたま
まずmanaboは、出会えない人に対してアプローチができないので、一次に対しては難しいですよね。

かめちゃん(タ)
我々のグループでも、団体の活動として一次にアプローチするのは難しいと話していました。

さとう
そうでもないんじゃないでしょうか。例えば、定期テストで質問に来た生徒さんに対してアプローチするという手もあります。生徒さんの成績を上げて、親が生徒さんに期待を持ってくれれば、大学受験に関しても寛容になるんじゃないでしょうか。

しょーたま
我々が相手するのは、何万人というレベルなんです。その人たち全員を救うのは不可能です。アプローチできる人だけを救うのが現実的ではないでしょうか。

さとう
なるほど。では、PT(=manaboの講師)だけではできないのであれば、生徒さんにコミュニティで広げてもらって生徒さん同士で手助けしてもらう、というのはどうでしょう?例えば高校生ではクラスなどのコミュニティがありますし、その中で「ある影響」が広まっていくのは自然なことです。また高校生からその親に広まっていくこともあると思います。

水鳥
そうですね!manaboは親が近くで見てる分、二次的な効果にも期待できそうです!

まとめ

自分の身の回りの格差
身の回りの格差は、視点によって多様な格差があります。
ここで話し合われた格差は、金銭面であったり、場所であったり、情報であったり、コミュニティであったり…実は身の回りにはたくさんの格差が潜んでいるんです!

大学か就職か
大学に行く理由は、人それぞれです。
例えば、生活水準を上げたい人とか、自分の価値を上げたい人とか…理由がない人だってもちろんいます。一方で、大学ではなく就職を希望する人だっています。
だからこそ、大学に行くかどうかの選択肢が各々にあるべきなんですね!

我々にできること
我々manaboと駿台の基礎を利用してできることは、manaboに来てもらう人を全力で助けるってことなんです。そして、助けた人のコミュニティや親を通じて、もっと広い範囲の人たちに「我々の手助け」が広まってくれれば良いですよね!

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