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小説 秒速5センチメートル

桜の季節になると思い出す曲があります。

One more time, One more chance

「秒速5センチメートル」という新海誠監督映画のエンディングで
舞い散る桜の花びらの映像と共に流れていました。

秒速5センチメートルとは
桜の花びらが落ちる速度だそうです。

映画の中でそんな会話が出てきます。

ただ、これは物理的には正しくないようです。
流体力学で計算した人がいます。

こんな難しいことはわからなくても
1秒で5センチしか落ちないのなら、なかなか落ちてこないよね
って、思いますよね。

では、新海監督はなぜ、ちょっと調べればわかることを
わざわざタイトルにしたのでしょう。

世の中には正しいこと、存在すること、だけが
全てではないということでしょうか?
人が心で思うことに、正解など無いのでしょう。

映画館で観たときは
踏切で振り返った時に彼女の姿を見つけられなかった
主人公と共に、落胆しましたし、悲しかった。

でも、

その後公開された映画「君の名は」での
幸せなエンディングに、思わず涙が出そうでした。

深海誠監督映画で初めて観たのは「言の葉の庭」
仕事帰りに立ち寄ったレンタルショップで見つけて、美しい緑のジャケットに癒されました。

この時のエンディングテーマも、26年も前にヒットした大江千里のRainでした。
この歌を映画化した??と思うようにぴったりでした。

これをきっかけに、映画化された新海誠監督映画は全て観ました。

全てが、すれ違い、もう会えない、という
私にとっては残念なエンディングでした。

深海誠監督の映画を、「君の名は」が初めてという人が私の周りには多かったです。
なので、このハッピーエンドに、泣くほど感激する人も少なかったのでは
ないかと思います。

それまでの監督映画を観ていた私は、主人公が最後にちゃんと出会えたことに感動しました。

君の名は
を観てから、「秒速5センチメートル」の小説を読みました。
帯は君の名はのヒットに肖るような言葉が並んでいました。



映画では、説明されなかった二人の想いがよくわかりました。

会えなくても、相手が幸せでいる、そう感じられたら
前へ進める、そういうことのようです。

ふと池田綾子さんの空の欠片を思い出しました。
別々の道を歩んでも、いつか交わる日が来るかもしれない・・・・

それは、生きてさえいれば、なのですけど。
亡くなってしまった人とはもう会えません。

美しい装丁なので、春になると戸棚の中から本棚に戻します。


One more time, One more chance    は、
山﨑まさよし主演映画「月とキャベツ」の主題歌でした。
ネット上のレビューは良い評価がほとんどですが
主人公の女の子がダンス部でダンサーを目指している、という設定なのに
あまりにもダンスが下手で(手先や体幹の使い方など)
ダンス経験者としてはそこが気になりすぎて、ストーリー自体が嘘っぽく思えて
楽しめませんでした。

なので、深海誠監督の映画のエンディングで流れてきたときは
とても嬉しかったです。

映像の美しさやストーリーも素晴らしいですが
新海誠監督の音楽使いも素晴らしいと思います。

でも、やはり私は小説が好きです。



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