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丁寧に動く〜太極拳〜

長い長い太極拳の型を、何十年と毎日ケイゾクしていくなら、当然やってない人とは違う見解や身体性を得られることでしょう。


しかし今はみんな何故か気忙しい。いや、気の所為でなく、実際朝から晩まで仕事に忙殺されて、せっかく習った太極拳のお稽古もママならないという人も居られます。


私、そういう方には「単式操練」所謂「単操」稽古をお勧めしています。

これ、一日十五分でも、一種類を左右何遍でも繰り返して行く中で、虚実、タイミング、力学的に適切な姿勢、呼吸など、どんどん深めていけるナイスな練習法です。


●開太極(起勢)

●野馬分髪

●楼膝拗歩

●倒巻肱

●攬雀尾

●八方雲手

●提脚

●金鶏独立

●玉女穿梭

●打虎跨虎

●搬欄捶

●収太極(十字手)


私が上海の師父の下で太極拳や八卦掌の修業をしていたとき、本当に昔からの稽古法でしたので、太極拳に感してはたった五つの動作を、八卦に関しては「歩く前に立て」と言われて無極式という立ち方を延々と………ほぼ一年、毎日やらされました。


他の中国人の兄弟弟子や、短期で修業にくる外国人は、套路(型)や対打にドンドン進んでいく横で、長期逗留・内弟子候補の私だけが特別コース✨✨✨と、聞こえは良いですが、実際隔離なんじゃね?とか思えちゃう位の内容格差がありました………


もちろん中国に永住するわけではないので、逗留期間も半分を超えた辺りで、焦りが出てきました。

そりゃそうですね、朝から晩まで師父と一緒にいても、やることといえば先述の何動作かだけ………堪らず私は師父に訴えました。すると師父は神にボールペンで◯とその真ん中に点を描き「みんなにはこう教えている。◯からは真ん中の点がよく見える。」そして今度は◯の外から点に向かって直線を引き「お前はこっちだ。核心に向かってまっすぐに教えているのだから、それが見えなくても迷わないでやりなさい。」と諭してくれました。


以来私は套路(型)よりもむしろ一つひとつの動作と、その中に流れる意味や構造に注目して練習するようになりました。


今、私が果たして師父の言った通りの「核心」に触れられているのかは解りませんが、お忙しくされている方々は、稽古時間が取れないことに焦ってしまうのでなく、これを好機と捉えて、一つひとつの動作を繰り返し、そこから逆に全体を俯瞰できるくらい深められたら良いのではないかなと思います。

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