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夢を叶える覚悟―ラ・ラ・ランドを観て

わたしは、中学生くらいまで漫画家になりたかった。漫画の模写をしたり、少ないお小遣いでスクリーントーンを買ったり、頭の中は漫画家になることでいっぱい。このまま努力していけば、自分の漫画は雑誌に載り、アニメ化される。特に根拠はなかったがそう信じていた。

この夢が、現実にはならないのだと気づいたのは中学3年生のとき。高校受験が始まったのだ。わたしは、あっさりと絵の練習をやめて勉強を始める。「大した才能はないだろうから、勉強したほうが将来のためになるんだろうな」。そんな風に言い訳もしていたが、それ以上に自分は、漫画家になるという夢を追いかけるために、将来の安定を危機にさらす勇気がないことに気付いてしまった。

ラ・ラ・ランドの主人公、ミアは女優を目指していた。女優になるため、大学を辞め、カフェでアルバイトをしながらオーディションを受ける毎日。そんななか、自分の店を持ち大好きなジャズを演奏したいという夢を抱くセブと出会う。2人は恋に落ちて、互いの夢を応援し合うようになる。

夢を叶えようとするとき、必ずそれを妨げるものがある。それは、「猛反対する両親」かもしれないし、「自分は才能がない、と気づいてしまう恐怖」かもしれない。私にとっては「将来の安定を願う気持ち」だった。ミアとセブの場合は、2人の関係。このまま関係を続けていけば、夢への最短ルートを手にすることはできない。

ミアにとっても、セブにとっても、いちばんの願いは互いの夢が叶うことだ。妥協は一切許さない。2人がぶつかるのはいつも相手が夢を妥協しようとするとき。ミアは、自分が好きでもない曲を演奏しているのに「これでいい」と言い張るセブに怒り、セブは傷つくことを恐れて夢をあきらめようとするミアに怒鳴った。だからこそ、2人は関係を続けることよりも夢を叶えることを優先したのだ。

「まっすぐに夢だけを見ろ。夢を叶えることを妨げるものは、たとえ運命の人であっても捨てていけ。」

わたしは、ラ・ラ・ランドを夢を叶える人の強さを描いた作品なのだと受け取った。


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