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子ども同士の揉めごとに介入するときに大切にしたいこと

日々学校で過ごしていると様々なことが起きます。
学級によっては、ひっきりなしに子ども同士の揉めごとが起こってしまい、その対応に多くの時間を費やさなければならないこともあると思います。

「なんで、こんなに困ったことが起きるのだろう…」と疲弊することも多いのではないでしょうか。

そんな心持ちでいると、つい何か起きたときに強い言い方で叱責することから入ってしまい、あとから後悔するなんていうことも…。
子ども同士の揉め事の間に入るときには、いくつか心に持っておいた方がよいポイントがあると思っています。

どちらの立場にも寄り添うという姿勢

こんなこと当たり前だと思われるかもしれませんが、意外とできていないこともあるのではと思います。

例えば、くつを隠したであろう子に話を聞くときに、
「くつを隠したでしょう?みんなそう言っているよ。」
とストレートに問うてしまうと、その子は「先生は自分のことを疑っている」と思います。でも、こう聞いたらどうでしょう。

「何人かに事情を聞いてみたのだけれど、その中で〇〇さんの名前が上がってきていて…そんな風に思われてしまっているから、なんとかしたいと思っているんだけど、良かったら分かっていることを教えてくれる?困っていることがあったら言ってほしいな。」
受け取った子は、先生は自分のことを守ろうとしてくれていると感じてくれるのではないでしょうか。本当にくつを隠していたとしても、本当は隠してはいなかったとしても、その子の心に寄り添おうとしている大人の姿勢を伝えることが大切です。
もしかしたら、そうしてしまった背景を語ってくれるかもしれません。
何も語ってくれなくても、そのような寄り添う姿勢を見せ続けることで、少しでもその子にとってより良い方へと進んでいくかもしれません。

もちろん、被害を受けた子に対しては、丁寧に辛かった気持ちを傾聴していくことが大切なのは言うまでもありません。

揉め事の多くは、誤解やすれ違いから生まれると理解しておくこと

“子ども同士の揉め事の大半は、誤解やすれ違いから生まれる”

このことの心に留めておくだけで、児童指導に対する大人の心は、とても楽になると個人的には思っています。
つまり、お互いに傷つけるつもりは初めはなかったということです。
以前、道徳の授業で使用するように子どもたちにアンケートをとったことがありました。内容は、
①この1週間で、友達を傷つけるようなことを言ったり、してしまったりしたことはありますか。
②この1週間で、友達に傷つけられるようなことを言われたり、されたりしたことはありますか?

結果はもちろん、①よりも②にたくさんの「当てはまる」「まあまあ当てはまる」が集まりました。つまり、子どもたちは、自分が傷つけたという感覚よりも傷つけられたという感覚の方が強いということです。これは大人にも当てはまるのかもしれませんね。

そうすると、子ども同士の揉めごとも傷つけるつもりはなかったことから始まっているのかも知れないということになってきます。

揉め事の仲裁ですることの中心は、指導ではなく交通整理です。
何を話したのか、どうように答えたのか。
そのときにどんな気持ちだったのか。
それに気づいていたのか。
今、それを聞いてどう思うか。
自分にも、今思えば足りない気持ちはなかったか。

そうやって、熱くなってけんかをしてしまったときの気持ちを冷静にゆっくりと振り返っていきます。
反省は、あとから振り返るからこそできることです。
揉めている最中は、感情が昂っています。
「そのときは、そういう気持ちでいたんだよね。どう、気づいていた?」
「その気持ちには気づいていなかったんだね。今なら分かる?」
このような問い返しをしながら、お互いの気持ちのずれを修正していきます。

記録を取りながら対応すること

そのときに、どのようなことがあったのか、詳細にメモを取りながら事情を聞きます。勝手に取るのではなく、
「きちんと状況を理解したいからメモを取りながら聞かせてね。」
と子どもにも確認をします。
メモを取られる方は、当然プレッシャーを感じます。
ですので、時折、
「こういうことで合ってる?」とメモを見せて確認するのもよいと思います。
相手が、手元で何を書いているのが見えないと不安に思うこともありますよね…。

記録を取ることは、指導のログを残しておくことはもちろんですが、子どもの話の矛盾やずれを顕在化することにつながります。
これは、子どもを信じないという意味ではなく、子どもの話の曖昧さを理解するということです。子どもは知らず知らずのうちに自分の立場を守ろうとしてしまうことがあります。また、悪気なく、自分に都合の悪い事実を隠してしまったり忘れてしまったり、都合よく解釈してしまったりすることが起きてきます。
話を聞きながら、丁寧に話を整理することとで、
「さっきはこう言っていたけど、その話とは合わないよね?」
「本当はどうなっていたのか、もう一度考えてみようか。」
と、子どもと一緒に考えていくことが可能となります。

ときには、怒られるのが怖くて、子どもはあえて事実と異なることを話すことがあります。
そんなときに「なぜごまかすの!?」とこちらが怒るのでは意味がありません。
「事実を教えてくれないと解決に向かえないから正しいことを話してね。」
「相手の子と話すときに、事実と違っていると〇〇さんが困ってしまうよ…。」
と理由を伝えたあとに、
「はい、一旦時を戻そう!ここまで話したことは一旦先生忘れるね!」
と、お話をやり直していきましょう。
話を聞くのは、子どものことを怒るのが目的ではありません。

ほかにも気をつけるべきポイントは山ほどあると思いますが…今日はここまでにしたいと思います。
子どもの揉め事への対応に少しでも役に立ったら嬉しいです。



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