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【No.2】保護者の役割、サッカーコーチの務め

【No.1】ではサッカーコーチとはいかなる仕事かについて書かせていただきました。
私の思う理想のコーチは、子どものアイデアを引き出し、個性を活かしつつもチームプレーができる環境を作れる人だと思っています。
少しでも自分が理想に近づけるよう、現在も努力している次第です。

さて、今回は現役選手を引退して間もない私が思う、保護者に求めたいことについて書かせていただきます。

私は幼稚園からサッカーをはじめ、中学生では県大会優勝+関東大会出場、高校生では県大会ベスト8まで経験しています。そこから現役を退き、コーチとなった今、サッカー少年を抱える保護者の皆様にはこうあってほしいという思いがあります。選手たちと同様に自分の色——特徴を消す必要はありません。しかし、サッカー少年を育成するにあたって、大人のちょっとした行動が育成を阻害している可能性もあるのです。気づかないうちに子どもの考える力をなくしてしまっているかもしれません。

ということで、サッカー少年団・クラブチームに子どもを預けている親御さんたちがどのように子どもと接することでより成長を促せるか、そんな話をしていこうと思います。

真っ向から否定しない

否定

前回の記事でも述べましたが、サッカーはプレーの幅が広いです。
故に、選手たちのアイデアや独創性が試されます。

例えば、普通ならパスを選択した方が良かったシーンでシュートを打ってしまった選手がいたとします。

大方この場合、「なんでシュート打ったんだよ!パスしろ!」といいたくなりますが、そうしてしまうと子どもたちは自分がミスしたという罪悪感にとらわれ、チャレンジできない選手になってしまいます。

声掛けの正解としては「ナイスシュート!でもパスの選択肢もなかったかな?」です。

こうすることで、自分の判断は間違ってなかったんだという安心感を与えた上で、更に別の選択肢を提案することで子ども自身が「そっちの方が良かったかも」という“気づき”を得てくれます。それでも頑なに無理やりなシュートにこだわる場合は、なんでパスを選択しないのかを聞いてあげましょう

コーチとしてのコミュニケーションについての話になってしまいましたが、重要なのは「意見を聞いてあげること」です。

習い事などを無理やりやらせても大抵の場合上手くいきません。
子どもが心からやりたい!と声に出した習い事だからこそ努力するし、夢中になって取り組みます。

促す声掛け

では、子どもに何かをやらせたいときはどうすればいいのか。
正直なところ、子どもだって一人前に自分の意見を持っているので、簡単には動いてくれません。でも心を揺さぶることはできます

サッカーでありがちなのが子どもが自主練しないという相談です。

自主練するということは「もっと上手くなりたい」という強い気持ちがある証拠です。現代ではゲームなどの楽しい誘惑がたくさんあるなか、それでもサッカーの練習に時間を費やす選択ができることは並大抵のことではありません。

「自主練しないとやばいよ!」
と言っても、恐らく子どもは自主練しません。
何がやばいのかがわからないし、“~しないと”という表現はいわば罰ゲームのような強制力のあるフレーズです。

ではこう言ったらどうでしょうか。
「最近○○○君上手くなってるよね!家でも自主練してるらしいよ!」
こう言われると、友達が自主練しているから自分もやろうと自然に考えてくれるかもしれません。

ただ100%ではないです。
そもそもサッカーが好きじゃないと自主練するという発想に至りませんし、所属しているチームが競争できる環境であることも条件です。自分がスーパースターの状態だとどうしても慢心してしまい、サッカーと向き合う時間を取らなくなってしまいます。

何にしても、こっちからやらせるのではなく、子どもが自発的に取り組むように促す必要があります。自分から始めたことだったら子どもは夢中になって取り組むはずです。

何かを始める時の理由はなんて何でもいいです。
「もっと上手くなりたい」や「あいつに負けたくない」などの気持ちがあれば、それを我々大人がちょっと刺激してあげるだけでいいのです。
そうすれば自ら行動してくれることでしょう。

サッカーに集中できる環境づくり

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サッカーは楽しいものです。
ですが、同時に苦しいと感じることも多々あるでしょう。

1試合走り続けるのは大変ですし、それで負けたら悔しいですよね。
でも勝ったときの楽しさや嬉しさは何にも代えがたい感情の一つであることは間違いないです。

サッカーに集中できる環境作りとは、気持ちの面での環境作りです。
家にゴールを用意してください、サッカーができる庭を作ってくださいというわけではありません。

よくありがちなのは、試合前に「絶対点を取ってくるんだぞ!」と発破をかけるように声掛けすることです。これ自体は悪くありませんが、子どものメンタル面を考えると、過度なプレッシャーと捉えてしまう選手もいるかもしれません。これは個人的な意見ですが、親御さんが声掛けする場合、発破をかけるというよりは安心感を与えてあげた方がより良いプレーに繋がると思います。

実際問題、試合前に発破をかける程度ならさほど問題視しませんが、試合後に子どもを責めるようにダメ出ししてしまうのはよくありません。
自分のプレーを真っ向から否定されてしまっては、サッカーなんて何も楽しくないです。

前回の記事でサッカーに関しては我々指導者に任せてほしいと述べましたが、まさにこの部分がその一つです。

選手たちは試合前に何かしらの指示を与えられ、試合に臨みます。しかし、それができなかった場合、試合後にコーチから「こうした方が良かった」というダメ出しと同時にアドバイスを与えます。

選手に対するダメ出しはこの1回切りで十分です。
コーチから言われたことに加えて、自分の親からもダメ出しされては子どもは逃げ場を失ってしまいます。まずは褒めてあげましょう。どんなにプレーが悪くても1つくらいはよかったことがあるはずです。「~はよかったじゃん!次もがんばれ!」くらいで良いです。

先程も言ったように安心感を与えてあげてください。
我々コーチ陣も落ち込みすぎないようにフォローはしますが、まずは父・母からの声掛けで安心感を与えてあげてほしいです。

極論を言えば、サッカーに関しては口出ししてほしくないというのが私の意見です。

自分が小学生だった時、親からダメ出しを度々されてキレた経験があります。私のその時の心情としては「サッカー出来ないクセに、俺のプレーについて何がわかるんだよ」という気持ちでした。

サッカーは外から見てれば、簡単そうに見えます。
特にテレビ中継で上からの映像を見れば、すごく簡単に見えます。
が、実際にピッチに立ってみると一気に見えなくなります。サッカーが簡単に見えるのは、外からであれば周囲の状況がはっきりと見えるからです。

つまり、今サッカーをやっていない自分の親が、難しいことをいとも簡単にできるかのように要求してくることは、子どもにとって重荷でしかありません。

まずは認めてあげる。
これに限ります。

まとめ

極論ですが、私が保護者に求めたいのは「暖かく見守ってあげてください」です。

なにか口出ししたくなる気持ちはわかります。
しかし、自分がアドバイスと思って言ったことでも、サッカーに関していえばそれはアドバイスではないのかもしれません。

サッカーにおいて子どもがコーチの話を聞いてくれるのは、サッカーの手本を示す存在だからです。同様に私生活などで子どもが親の言うことを聞いてくれるのは、親が手本を示す存在だからです。

どうしてもサッカーについて自分の思うようにプレーしてほしいと願うのであれば、アドバイスし続ければいいと思います。
ただ、コーチと親の間に教えていることの乖離があると、子どもは混乱してしまいます。どっちの意見を信じればいいのか、わからなくなってしまうからです。

サッカーはチームスポーツです。
攻撃にも守備に一定の決まりごとがあります。私たちコーチはその決まり事を守ってくれれば、好きなようにプレーしていいよというスタンスです。決まり事――つまり戦術はチームによって変わってきます。

この戦術に対するイメージが違ってくると当然、試合に出場することはできません。コーチと親の意見が一致していればいいです。というよりコーチのサッカーに対する考え方を理解しているのであればOKです。しかし、ここが少しでも食い違っていると、選手たちはスタンドプレーはできても、チームにとっての良いプレーはできません。結果として迷走してしまい、最悪の場合はスタメン落ちとなってしまうケースが大半です。

指導者のスタイルが自分に合わないと思ったら移籍するのが得策だと思います。自分の理想に合ったチームに移籍して、そこで子どもにサッカーをやらせる。

ただ、それが子どもにとっていい影響となるかはわかりませんが、何にしてもやらせている時点で上手くいかないと思います。

最後に

・子どもの意見を聞いてあげる(認めてあげる)
・自分(保護者)の意見を押し付けない

この2点は意識してほしいです。
というよりこのポイントが自然と抑えられている方の選手(子ども)は大抵順調に成長していきます。

子ども相手でも「相手の気持ちになって考える」が大事ってことですね!!

ここまで読んでくださりありがとうございした。
読んでいて反論したい気持ちになった方もいるでしょう。
ただ、これは私が現役選手としての小学生時代からの経験、そしてコーチとしての経験を踏まえた結論です。

皆様の参考になれば幸いですm(__)m

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