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FUJIFILM GFX100 UIが実現する壱憶画素の世界

富士フイルムのカメライベント「FUJIKINA 2019」に行ってきました。

カメラのレンタルサービスやカメラマンのスタジオ撮影を見学できたりと、体験型のイベントで楽しそうだったので参加を決めていましたが、直前に「壱億画素」のラージフォーマットカメラGFX100が発表され実機で撮影できるサプライズまでついてきました。(つまり製品発表イベントだった訳です)

開場前に撮影用のスモークが火災センサーに反応してしまうハプニング。入場が遅れてしまったことを説明しに写真家のポールさんが登場し手にはGFX100が握られ入場待ちの人に手渡してくれる場面も

カメラのレンタルサービスでX-T3を借りて、月島界隈や東京湾を撮影してきましたが、そちらのレポートは別の記事でおこなうとして、まずはGFX100の撮影体験とUIについてレポートしておきます。

タッチ&トライでのファーストインプレッション

レンズ次第ではやはり重いカメラになってしまいますが、GFXが得意とする風景やポートレート用のしっかりとしたレンズとの組み合わせはではバランスもよくトータルで十分に実用的だと感じました。

先日の10連休に、同じく縦グリップ一体型のOlympus OM-D E-M1Xを使っていましたので大きさに対して免疫ができてしまったのかもしれませんが、それよりも操作系がゆったりとして窮屈さが無く、十字キーも排除していてとにかくスッキリした印象的でした。

ラージフォーマットは、大きなボケを作ることもできますが、一方で折角の壱憶画素を活かすために、画面全体の情報量を多めにした方が迫力が出せそうです。展示されていた写真も、ボケの大きさを主張したような作品は無かったと思います。ISO感度のノイズ感も穏やかですので、F4クラスのレンズでも驚くほど柔軟に撮影することができそうです。

撮影体験とは別に、トークショーなどで画素数以外の話を聞いて私が考えたことについて書いておきます。もちろんデジカメUIについてです。

GFX100のUIを一言で表すと「UIに機能との整合性があり、それを具現化している」というこになります。またそれがデジカメとしての進化において普遍的に重要なことに対する答えになっていると感じました。

複数のモードを瞬時に切り替えられる天面マルチファンクションモニター

デジカメは撮像素子がデジタルなだけでなく、多くの部分が電動/電子制御となり、また動画と静止画、さまざまな画作りモードが実現できるようになっています。それらの可能性を最大限に活用するためには、撮影現場で瞬時に切り替えながら撮影できるUIが必要です。

今回GFX100では、左肩に動画と静止画の切り替えダイヤルが付き、それぞれで全く独立した設定を記憶できるようになっています。

つまり、静止画ではACROSを使い、動画に切り替えたらETERNAになっているという風に使えるだけでなく、シャッター速や絞り値、ISO感度もそれぞれに記憶しておくことができます。

これを実現しているのが、物理的なダイヤルを廃止して右肩に搭載されたマルチファンクションモニターによるGUI表示です。物理的なポジションを持たないため、モードに対して瞬時にすべての設定を切り替えることができるという訳です。

同様のコンセプトで作られているのはEOS-1Dやハッセルブラッドなどですが、GFX100が凄いのは、これまでXシリーズで守ってきた「電源OFFでも撮影設定状態が分かる」という価値を、電源をOFFにしても表示が消えないようにすることで実現していることです。

これまでカメラの凄み(壱億画素)を表現する場合には、プロダクトデザインによって物理的なダイヤルやレバーを沢山つけるという文法が採用されることが多かったのですが、今回その役割をマルチファンクションモニターのGUIデザインに持たせたことに大きな流れの変化を感じます。

もしかしたらようやくデジカメ世代のメンバーが、富士フイルムの方向性を決定できる重要なポジションに付き始めたのかもしれません。

ダイヤル表示モードは数値の切り替え時に気持ちよく回転アニメーションします。スッキリしているだけではない魂の入ったGUIになっています。

全面位相差のための背面マルチファンクションモニター

マルチファンクションモニターは天面と背面にそれぞれあり、撮影に関する情報を常に意識して撮影することができます。

このUIは新しい撮像素子のために採用されているという点が重要です。

今回採用された撮像素子は、サイズが大きくて画素数が多いだけでなく、全面に位相差検出用の素子が埋め込まれています。

本当に画面のどの部分であっても、迷うことなくスッとフォーカスを合わせることができました。この新しい体験をUIとして形に表したのが背面マルチファンクションモニターという訳です。

背面モニターを見ながら撮影するときに邪魔な撮影情報を無くすことができ、画面の隅々まで使い切ることができるようになっているのです。

GFX100の本質は「機能とUIの完全融合」

天面と背面に配置された2つのマルチファンクションモニターを考えただけでも、富士フイルムのUIコンセプトに破綻が無いことが分かります。

新しい機能や性能をカタログの言葉で説明するのではなく、撮影の中で体験できるものとしてUIに落とし込み、それが作品として表れてくるのを待つということ以外に、この価格(百万円超)のカメラを売る方法な無いという信念があるのかもしれません。

UI(今回は特にGUI)が、機能の設定のためだけのものではなく、商品性をアピールする存在になったことに素直に拍手を送りたいと思います。(そして超絶、嫉妬しています。私もこのプロジェクトに参加したかった。)

とは言っても、

細かい利用シナリオに対してはいろいろと要望もありますが、それはユーザーがカスタムして使う領域です。今回のタッチ&トライの中では確認できませんでしたが、カスタム機能に不足があれば今後のファームアップなどでいくらでも対応可能ですので、マルチファンクションモニターのGUIも含めてしっかりと進化させていってくれると、デジタル技術のもう一つの側面である可変性を活かしていくことになると思います。(利用シナリオ百個出すから誰か貸してくれないかな)

やっぱり壱億画素は凄かった

帰宅してからPCに画像を取り込み、EXIF情報と合わせて確認してみましたがいろいろと驚きました。

タイトル画像の顔の部分を切り出したのがこちらの画像になります。この部分だけでも凄い情報量を感じることができます。普通に作品として通用しますよね。

例えばこの写真であれば、目の部分を拡大すれば、まつ毛の一本一本まで解像していることを示すことができるのですが、そのような見せ方はこのカメラの説明として相応しくありません。
顔全体の立体感や肌の質感、ハイライト部のエッジのトーンの豊かさなどに凄みが出るというのが壱憶画素の本質だからです。

全体をみれば各部分に圧倒的な情報量があるため、非常に高い存在感・臨場感を感じることができます。服の繊維の質感の違いをしっかりと感じることができます。(noteに貼った画像はトリミングのときのキャプチャです)

壱憶画素を実現するためには、レンズの解像能力、壱憶のデータを扱う信号処理と画像処理、しっかりとした手振れ補正とAF性能、またそれらを支えるボディ構造と電源管理がなければ、ここまで「キリッ」としてトーンが「豊か」な画像にはなりませんので、システムとして総合力が非常に高いということになります。

撮影しているときは全くストレス無く撮れてしまうため壱憶画素であることを全く感じませんが、それを実感するのはPC画面で見たときです。

ちなみに、カメラ内でピントを確認するためにGFX100では、再生拡大に24倍というモードを新たに追加したということでした。

会場にも大きなプリントパネルが飾られていましたがどれも迫力がありました。ただ個人的には自分が撮影した画像を大きなパネルにする機会はなさそうなので、4Kモニタ辺りで満足を実感できる新しい画像鑑賞のUIについても、デザイナーとしてこのカメラをきっかけに考えていかないといけないと思いました。

ACROSでISO感度12800で撮影した画像(もちろんnoteに貼るためリサイズしてます) 粒状感がしっかり乗っていますが密度が高いので印象は滑らかです。

以上FUJIKINA 2019からのレポートでした。

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