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ミラーレスの魅力は、ソフトウェアの魅力

「デジタルカメラグランプリ」でLUMIX G9Proが金賞を受賞しました。(パチパチパチ)
技術賞にも「人体認識のAF」が選ばれるなど、時代に合ったタイムリーな開発も評価されており嬉しいです。

私もこのGWにG9Proで写真を沢山撮っていました。
被写体は、鳥、虫、花が多く、風が強い日もありましたが上手くカメラが合わせこんでくれて、手ブレとピンボケが以前のカメラよりも少なくなっていると思います。

木の実をクチバシで潰してジュースが飛び散った瞬間を捉えました。こういう写真が撮れると楽しいですよね



本気で使えば、不満も出てくる ~ここがヘンだよ、Lumix G9Pro~

基本的に褒めてばかりのLUMIX G9Proですが、不思議に思う仕様やUIも沢山あります。
この声がパナの中の人に届くよう願いを込めて、デジカメUIアーキテクトとして「ユーザーズボイス」を書きます。

以下の途中の内容は、G9Proユーザー以外の方がみてもあまり面白くありませんので予めご了承ください。(最後の文だけみてください)



①斜めに進めない/途中で方向を変えられないジョイスティック

これに関してはCP+で説明員が「レスポンスを良くするために斜め入力は見送った」といっていました。
ジョイスティックの状態認識に2つのスイッチの検出をおこなうとタイムラグが出るということだと思いますが、ゲーム機などで昔からある技術なので再検討をして欲しいと思います。

さらに使い勝手を悪くしているのが、途中で動作方向を変えられないことです。ジョイスティックの問題の本質はこちらにあると思っています。

ジョイスティックは、中心を通過する十字の軌跡だけでなく、時計の12時から3時、3時から6時という風に、円周の軌跡でも移動できます。
上下左右方向しかカーソルが移動できなくても、「左に行ってから上に行く」という風に「連続して」動ければ問題は少なくなるのですが、

G9Proでは一旦センターに戻らないと他の方向に進めないため、ユーザーが円周軌跡で操作しても操作を受け付けず、
さらに悪いことに円周操作をしている限り最初に動いた方向に動き続ける(センターに戻さないと止まらない)ため、上に押しているのにどんどん左に行くという動きになってしまいます。






②EXテレコン/デジタルズームの倍率変更が画素数変更

電気的にズーム操作するコンパクトデジカメでは、デジタルズームをONにするとズームレバーで連続的に操作できます。
それに対して、レンズでメカ的にズーム操作する一眼では、デジタルズームはレンズのズームとは独立して操作します。

操作ステップは複数あります。
まず撮影メニューから「EXテレコン」「デジタルズーム」を設定します。
最初につまずくのはこの2つの設定の理解です。

「デジタルズーム」はズームレンズのように多段階に可変しそうな名前ですが、実際は2xと4xを切り替えて使用するテレコン的な動作です。

一方の「EXテレコン」には、ZOOMモードとTELE CONV.モードがあります。
テレコンとは何か?ズームとは?の哲学のような状態です。

さらに不思議な操作が必要なのが、倍率を切り替える操作です。私も相当悩みました。

デジタルズームとEXテレコンのTELE CONV.モードでは、記録画素数をL、M、Sに切り替えることで倍率が切り替わります。
そのため、実際の撮影現場で使う場合には、カスタム設定でFnボタン設定から「記録画素数」を割り当てておく必要があるのです。
ユーザーは倍率を変えたいのですから、倍率を変えるUIを提供し、それに伴い記録画素数が変化することを伝えても良かったのではないかと思いました。

EXテレコンのZOOMモードでは、もう少し複雑で、事前に画質設定をM、Sに設定した上に、カスタム設定のFnボタン設定で「ズーム操作」を割り当てておかなければ操作できません。(メニューの並びもEXテレコンとは離れていて見つけにくい)

これでようやくZOOMモードを利用できるようになりますが、ズーム操作には、Fnボタンを押した後で、十字キーで倍率を変えることになります。
せっかくズーム操作モードに入るのにも関わらず、3つもダイヤルが付いていながらどのダイヤルも使えませんでした。




③動画ボタンがカスタムできない

G9Proはこれだけ柔軟にカスタマイズできるUIを提供していながら、押しやすい位置にある「動画ボタン」に好きな機能を割り当てられないのです。(OFFにするメニューはある)

静止画に特化した機種であるG9Proであっても、動画ボタンは他の機能のために使ってほしくないといPanasonicの意思なのでしょうか。




④AELボタンのカスタムが、Fnボタンカスタムに入っていない

「AF/AEロック切換」という設定で動作のカスタムをおこないますが、操作の設定ではなく、フォーカス機能の設定に分類されています。

フォーカス関連に使われることが多いジョイスティックの設定が、操作の設定に含まれていて、Fnとして利用することもできることと比較すると、少し不思議な感じがします。
この辺りのこだわりは、他社カメラの影響もあるのか今度調べてみます。


ここまでが前振りです。G9Proにも見直すところが一杯あるということで、ご理解いただけましたでしょうか。



今年は面白い年

ミラーレス一眼が、一眼レフのサブカメラや入門機的な位置づけで登場してから10年が経ちます。

パナソニック、ソニー、富士フイルム、オリンパスがフラッグシップをミラーレスで展開してきました。

プロの現場でも、ミラーレスが相当入り込んでいると聞きます。

ミラーレスの魅力は、メカ的な性能ではなく、さまざまなソフトウェアにあり、ファームウェアのバージョンアップで生まれ変わることもユーザーを引き付けた一つです。

カメラビジネスでは、ユーザーの声を聴く力と、それをUX/UIデザインとして構成する力、そして最後は、ソフトウェアを作り込む力が必要です。

今年の後半に向けて、既に出揃ったハードウェアに更なる魅力をつくれるように各社のUXデザイン力とソフト開発力が試されています
(パナソニックさん、頑張ってください。期待しています)

そして、このソフトウェア競争の意識が、やがてハード中心だったカメラの世界を変えていき、最終的にはユーザー中心のサービスへと広がっていくことになります



そして未来へ

ソフトが変わることで、それが刺激となって新しい使い方や楽しみ方が広がっていきます。
ところが、ソフトウェアを毎月出すことや、古いカメラに対しておこなうことは非常に難しいことです。

そこで登場するのが「コンテンツ」です。コンテンツが新しい刺激となって楽しみが増えるのであれば、短期間に、多様性のあるものを提供できます。

またコンテンツであればメーカーだけでなく、ユーザー自身が作り出すことができます。
そのこと自体がひとつの楽しみになっていきます。
これがスマートフォトコミュニティ社会の姿です。

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