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静止画と動画のあいだ いま連写がおもしろい

カメラがデジタルになって大きく変わったこととして「大量の撮影ができる」というのがあり、このことが撮影意識を大きく変えてきたことは何度か記事に書いてきました。

今回は、特に「連写による大量撮影」について考えていきます。

大量撮影には、目にしたものを何でも撮れる「お気軽性」や何度も試行錯誤できる「やり直し性」があり、ライフログ的な撮影から、作品作り的な撮影までフィルム時代よりもやりやすくなりました。

さらにデジタル化によって大量撮影を実現する「連写スピード」が飛躍的に上がりました。特にミラー動作、シャッター幕動作といったメカニカルな動作を無くした「電子シャッター」では、秒240コマなどということも可能になっています。これはフィルム時代には無かった体験です。

連写の役割

気軽に撮影できるようになった「連写」を使うメリットには次のようなものがあります。

決定的瞬間/ベストショット
何と言っても連写の使われ方として一般的なのは、動きの中で決定的瞬間を撮影することでしょう。例えばスポーツ撮影で、表情、姿勢、他の選手や道具との関係など様々な要素が同時に満たされるベストな瞬間を撮影するのは容易ではありませんが、連写を使えばその確率は格段に上がります。

ブレ防止
私は花や昆虫などもよく撮影するのですが、その場合でも連写は欠かせません。

現在のデジカメには強力な手振れ補正機能が搭載されていますが、被写体ブレを含めると完ぺきとは言えません。
そこで連写を使います。まずレリーズボタンを押したときに発生するカメラのブレの影響が無い状態を作れます。さらに花などが風の影響によって動く場合、周期の折り返し地点で移動速度がゼロになるポイントを得ることができます。

動きを写す

最近私が面白いと思っているのが「連再生」です。つまりスライドショーや連続コマ送りということなのですが、連写した画像を連再生すると「動き」を見ることができます。

フィルム時代にもパラパラ漫画の要領で同じような体験をすることはできましたが、デジタルであれば再生環境でそのまま楽しむことができます。

まさに「静止画と動画のあいだ」といった楽しみ方です。

全てのショットを連写で撮影して、帰宅してからスライドショーで見ると、ショートムービーを連続再生しているように感じます。それがとても楽しいのです。

思い出は連写で

これまで連写モードなんか使ったことが無いという人も、デジカメの「連写/ドライブモード」を操作して、いろいろなシーンを撮影してみてください。

公園で遊ぶ子供、パーティー(結婚式、飲み会)など、丸一日を連写で撮って、みんなでスライドショーを見れば、きっと新しい発見と体験ができると思いますよ。

尚、連写モードによっては、画質(画素数)設定が勝手に変更される場合もありますので、取説で確認するなり、画面内の画質設定のアイコンをもう一度確認するなりして注意してください。

連写のUIを考える

ここからは、少し専門的に連写のUIについて書いていきます。興味がある人は読んでください。

連写撮影UI
ドライブモードにある連写をONにすれば、連写撮影できるというUIはフィルム時代から各社統一されていて良いのですが、問題は連写とセルフタイマーが排他的にドライブモードとしてまとめられていることです。

カメラの歴史的には理解できるのですが、セルフタイマーという面白い瞬間を連写で撮れないなんて勿体ないと思います。無駄に撮影しても何の問題も無いデジタルカメラで連写+セルフタイマーを禁止する理由はありません。

連写速度と画素数の関係は強く、高速な連写では画素数が小さくなることがあります。この制約が画素数設定を先に行ってから連写を選ぶのか、連写を選ぶと画素数設定が自動的に変更されるのかで、ユーザーに難しさを感じさせています。

また、連写速度とフォーカスモードでも組み合わせが分かりにくく、コンティニアスAF(C-AF)でフォーカス追従できる連写速度と出来ない速度があるのですが、どちらのモードを先に設定するのかが分かりにくくなっています。

さらに、連写速度と連続撮影枚数から、連続撮影時間が決まるのですが、この情報を提示できているカメラUIは無いと思います。連写で1秒撮れるのか、0.5秒しか撮れないのかによって、連写速度を選べるようにならないと運動会などで使いにくいものになります。

このように制限関係にあるものを上手く設定できるようにしたり、告知を上手にやってあげることが連写UIのポイントです。これからカメラUIをデザインする人は参考にしてみてください。

他にも、レックビュー(撮影後に自動で再生される画像)が、高速GIFアニメ風になっていると「ゲット感」がより感じられやすくなるのではないでしょうか。

連写再生UI
連写モードが嫌われる理由として、画像を再生するときに同じシーンが連続してしまい、見たいシーンが探しにくいというのがあります。

連写タグはしっかりと付けられていますので、グループ化と代表コマ表示を再生モードに取り入れるだけで使い勝手が大きく向上します。

パナソニックの4K6Kフォトでは、代表コマがサムネール表示され、上キーでグループ内表示という作法ができており、これを連写にも割り当てるだけで実現することができます。

桜が散る様子も静止画では良く見えませんが、動きがあることで小さな変化が認識しやすくなります。

インターバル撮影も連写の一つと考えることができます。
写真は今年の1月31日にあった月食の様子です。月の軌跡が予想と違っていて思ったように撮れませんでしたが、何時間も寒空の中撮影した良い思い出です。

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