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UXデザイナーが考える、運動会のカメラ選び、設定、撮り方。

会社の帰り道に、近所の小学校で運動会の準備をしているのが見えました。さあいよいよカメラにとって晴れ舞台となる動会シーズンの始まりです。

ちょうど朝から知り合いに「運動会に適したカメラを紹介して」と聞かれたりもしたので、色々考えたことをまとめてみます。

ジャーニーマップの順番そってに、まずはカメラの準備から始めましょう。

案外難しいカメラの「クラス」

運動会は大袈裟に言えば、オリンピックと同じ「スポーツ撮影」です。そのためカメラに対する要求は高いものになります。

だからと言って運動会は子供たちの学校行事ですので、それなりの「ノリ」というのがあります。あまり本格的なカメラだと浮いてしまう可能性があります。

逆に、スマホや小さなコンパクトカメラでは、撮りたい写真が撮れないということになってしまいますので、おのずと「運動会カメラ」というものが決まってきます。

最強ブランドの「EOS Kiss」
入門機の雰囲気で、連写性能やAF性能がそこそこ高く、まさに運動会にぴったしです。ママさんの人気が高いのもうなづけます。

そのKissが今年「ミラーレス」になりました。CP+などで動く被写体を連写で撮ってみましたが、サクサクと気持ちよく撮れました。

以前はスポーツ撮影といえば一眼レフでしたが、ミラーレスも技術が進化しファインダーのディレイ(遅れ)やフォーカス性能でも運動会レベルでは十分になってきているので安心して選ぶことができると思います。

キヤノンのEOS Kiss M今年の運動会は、このカメラを見る機会が多いのではないかと思います。



カメラ/レンズ選びのヒント

では、さっそく運動会でカメラに求められる機能について見て行きましょう。

<フォーカススピード>
位相差AFが昔からAFスピードの面で有利とされてきました。最近ではミラーレスでも像面位相差という技術でこれを搭載してきています。

他社では上位機種にしか搭載されてこなかった像面位相差をEOS Kiss Mで採用することで、従来の一眼レフと同じスピードを実現しています。

また、これまでスピードでは不利とされてきたコントラストAFでも、パナソニックの空間認識AFでは、位相差AFと同等の性能をだせるようになってきています。

パナソニックの空間認識技術ではレンズを駆動する前に空間把握をおこない直線的にフォーカスを合わせることでスピードアップをおこなっている

位相差(像面位相差)でも空間認識のどちらでも良いと思いますが、単純なコントラストAFの機種は、運動会目的では避けた方がよいかもしれません。

<人物認識>
運動会で撮影するものはあくまでも人物ですので、人物をカメラに認識させてその中から自分の子供を選択するようにすれば、ユーザーがフォーカスに関してすることは終わりです。後はフレーミングを維持しながら最高の瞬間にシャッターを切れば撮影できる機種を選びましょう。

一部のメーカーでは、単なる人物認識ではなく、個人認識ができるものがあります。事前にカメラに顔を学習しておけば、優先的にピントを合わせてくれます。
この機能は、自分の子供がどこにいるか分からなくなった時でもとても役に立ちます。(みんな同じ格好をしているので、本当に自分の子供がどこにいるのか分からなくなります)

Lumix GX8の個人認識技術。撮影時のAFだけでなく、自動でタグ付けされカテゴリー分類で特定人物だけを再生することができる。



<手振れ補正>
運動会では、校庭全体を使い観客は周辺から撮影するしかありませんので、自分の子供を大きく写そうとすれば望遠レンズを使うことになります。

昼間の明るい時間におこなわれるとはいえ、三脚などが禁止されている場合もあり、望遠レンズでは手振れが心配になります。そのため手振れ補正の能力が高い機種を選んでおく方が安心です。

ただしISO感度を高くすることでも解決できますので、それほど性能差を気にする必要はありません。


<連写性能>

連写性能が高いほど、短時間に多くの写真を撮れますが、後でそれを見たり、選んだりする作業性のことも考えて決めると良いと思います。

ただAF追従連写枚数は、AFスピードの指標にもなりますので、性能の高いものにしておくと余裕をもって撮影することができます。

連写ではないのですが、思い出として動画も撮っておきたい場合には、4K動画が撮れる機種で、静止画切出しができるものを選んでおくと、無駄な連写写真が残らず、動画+最高の瞬間の静止画が残せるのでお勧めです。

EOS Kiss Mは4K動画撮影と、カメラ内での切出し機能を搭載している。



レンズは高倍率で、35mm換算で300mmくらいは欲しい

一つの種目の中で複数のフレーミングで撮影しようと思うと、レンズ交換をしている時間はありませんので、広角から望遠まで撮影できる10倍程度の高倍率ズームを選択することになります。

そのようなレンズはF値が暗いものが多いですが、最近のカメラはISO感度でシャッタースピードが上げられますし、そもそも運動会ではある程度全体の様子も写っていた方が思い出写真として良いですので問題ありません。

オリンパスの M.ZUIKO DIGITAL ED 14-150mm F4.0-5.6 II
これ一本で運動会の全てのシーンを撮影できる。防塵防滴なため砂ぼこりの中でも安心して撮影できる。


種目別/状況別撮影のヒント

運動会には大きく分けて競争系種目と演技系種目があります。
写真撮影で定番なのは、我が子が主役になる徒競走で、かっこよく撮ってあげたいと思うのが親心です。
組体操やダンスでは、事前に子供のポジションを聞いておけば、それほど難しくはありません。

<競争種目>
徒競走、騎馬戦など、常に移動していて自分の子供がどこに行くか分からない上に周りの子供たちが近くにいるため、フレーミングとフォーカスが非常に難しくなります。

撮影するタイミングは、①スタート前と直後、高学年であれば、②カーブで体を倒しているところ、そして③ゴール前の必死な姿です。

①と③は、動画か連写でとってあると、一連の動きが分かって、後で見るときに盛り上がります。スローモーションで見れれば、表情も分かり最高ですので、カメラの連写時間めいいっぱいを撮り切りましょう。

②では、静止画をメインにして、最高のカットを目指しましょう。カメラポジションから刻々と身体の角度が変わってきますので、あまり一か所で連写し過ぎずに、何度かに分けて、色々な角度の写真を撮っておけばその中から最高の一枚を選ぶことができます。

<演技種目>
組体操やダンスのようなものは、ある程度動きが予測できますので、しっかりと自分の子供にSAFでピントを合わせて静止画を撮影したり、動画で音楽と一緒に撮影したりします。

全体と子供のアップの両方を撮影したいので、高倍率ズームのレンズが威力を発揮します。

演技種目では、演技進行に合わせた撮影ポジションが重要になりますので、フットワーク軽く動けるようにしておきましょう。

運動会前の準備

種目の特徴を理解しただけでは、本番で上手く撮ることはできません。子供たちも毎日練習で頑張っていますので、親も頑張って撮影の練習をしてみましょう。

またカメラの使い方に慣れておくだけでなく、カメラの設定をカスタマイズして、複数の撮影方法を瞬時に切り替えられるようにしておくことも重要です。

<競争種目用カスタム>
フォーカスエリアを中くらいにして、CAFモードにしておきます。
また連写モードはあまり早すぎるものを選ばず、長い時間連写しつづけられるものを選びます。


<演技種目用カスタム>

フォーカスエリアを小さくして、SAFモードにしておきます。
基本的には「決めポーズ」を撮りますので、連写にする必要はありません。


<カスタムの呼出方法もカスタマイズ>

上記2つの状態を設定し、「ユーザーカスタム登録」をおこないます。
呼出方法はカメラによって違いますが、可能ならばこの2つのモードをダイヤルやレバーで切り替えられるようにしておくと便利です。

さあいよいよ前日です

・バッテリーの充電(予備のバッテリーも忘れずに)
・メモリーカードは今入っている画像をPCにコピーしてフォーマット
・カメラの設定を確認して、電源を入れたら直ぐに撮れる状態にしておく

運動会当日は

場所取りがある学校は頑張って早起きするしかありませんが、ちゃんとした望遠レンズの付いた一眼カメラを持っていくのであれば、コースの近くで座って撮るよりも、歩き回って色々なアングルから撮影した方が良い写真が撮れますので、余裕をもって出掛けても大丈夫です。

・プログラムを確認し、現在の種目の何番目後に撮影本番がくるのかを知っておく
・隙間時間も子供たちの応援席までいって写真を撮りましょう
・練習できそうな種目があれば、他の子供で練習させてもらう(できれば知っている子供が良い)
・電池残量はときどき確認し、1日通して撮影できるように配分を考える(最近はメモリーが足りなくなることは少なくなり、電池はAF機能や連写機能が上がった分早く無くなります)

とにかく一番大事なことは、運動会のイベントを把握しておくことです。
最初の1枚目に運動会のしおりを撮影しておくと、カメラを構えたまま確認することもできて便利です。

運動会が終わったら

思った以上に大量の撮影をしていると思いますので、まずはその画像の整理をおこないます。

・写真の保存を兼ねて、家族で鑑賞会をおこなう (スライドショーで連写写真を見るととても盛り上がります)
・気に入った写真をセレクトする
・何枚かはスマホに転送する
・友達が写った写真は、プレゼントできるように分けておく




それでは、運動会カメラマンのみなさん 頑張ってください!


記事内の製品画像/説明画像は各社のホームページから引用しました。
画像にリンクが貼ってあります。

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