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深夜書店、って題名、そんな小説作を残したい

 深夜書店、って題名、そんな小説作を残したい

 郵便局の帰り、行くまでに通った河に泳いでた黒い鳥の姿を探した。
 たしか、ここいらの河とは反対の場所で急ピッチで工事されている新規営業開店準備の店舗のあたりだった。
 お世辞にも綺麗ではない河で泳ぐ黒い鳥・・・。
 スマホで写してSNSに投稿する?、。LINEで誰かに送る?
 目についた景色、心の揺らぎ、はどうしようか?。
 
 郵便局へは通帳の記帳欄が少なくなったので、新しい通帳に切り替えに行ってた。
 古い通帳は年号が替わる前からのもの、実に8~9年ぶりのものだ。通帳の印鑑も紛失していたので、新たに印鑑を登録しての新しい通帳に切り替えとなった。それには運転免許証提示の必要性があった。ゴールド免許証ではあるのだけれど・・・。とある場所で免許更新したものなのは、一目瞭然だ。裏面に現住所が印字されてあった。とある場所から戻って免許センターで作成してもらった。
 「紛失したと言って再交付が一番手っ取り早いのかも・・・」なんて言ってくれてた者の顔が想い浮かんだりもした。どうせ来年はまた免許更新だ。けれど免許証の写真は、髪型といい、目つき?といい、とある場所そのものの出来映えであるのが、ある意味は笑えた。
 郵便局の職員は大して不審な目をむけてくることはなかったけれど、女性職員さんにとってこのおっさんは、どのように映ったのだろうかなんてこと脳裡をよぎらせての帰り道だ。

 郵便局の帰り、行くまでに通った河に泳いでた黒い鳥の姿を探した。
 スマホで写してSNSに投稿する?、。LINEで誰かに送る?
 
 そのときブレーキ音とともに後方で自転車の止まる音がした。女子高生が河とは反対の場所で急ピッチで工事されている新規営業開店準備の店舗へむけてスマホを向けていた。
 ここいらの住民、特に若者世代にしては近場に便利なコンビニができるのは写真に撮るほど嬉しいことなのか?それとも、スマホで写してSNSに投稿する?、。LINEで誰かに送る?
 今の時代風潮なのか?おっさんにはわからない・・・。

 河に泳いでた黒い鳥へとスマホむけていた、おっさんの至近距離で店舗へむけてスマホを向けている女子高生とのコラボレーションこそを誰かが写してほしいくらいだった。
 
 なんにしても、道路端で河へスマホを向けて何かを写しているおっさんの姿が、不審に映らないことの反映だ。とある場所から戻ってきた、おっさんにはそれがある意味嬉しくもあった。
 おっさんの罪は他人に話せないような、罪では決してなかったとの自負にもなった。まったく不振がられないことの証として自分の更生心にも自信がついた。
 なにせ、とある場所には、とある場所なだけに罪には、魂として許されざる者も多く在った場所だった。
 無垢な魂を傷つけ痛めつけた輩へと、だからといって許されざる行為を行える場所でもなかったわけだったけど、。
 
 おっさんの罪はこの社会の法律によって裁かれた。
 確かにおっさんはこの世の正義に背をむけることもした。
 それは「約束したことは絶対に守り、成そうとしたことは絶対にやり遂げ、命を懸けても誰かの窮地を救いたい、千里の果てにいても信義をまもる」といった感じの侠の精神をつらぬいたからだ。「遊侠の徒」とは不条理な法にはなじまぬ無位無官の者たちが自衛のために結束したのが始まりだといわれていたものだ。その存在を人々は高く評価し、体制側は秩序乱す者たちと見た。
 おっさんの罪はこの社会の法律によって裁かれた。
 
 遊侠は器量を鼻にかけたり、恩を着せることを恥とした。
 普段は腰も低く清廉な生活を送るものであるべきやった。

 そうや、清廉な生活を送るもんや、そうあるべきやってん。

 なんやいきなし訛ってる。おっさんは苦笑する。不審者に映らないこと心掛けてスマホのカメラアプリを起動させて、お世辞にも綺麗ではない河へと向ける。
 至近距離で店舗へむけてスマホを向けていた女子高生は、いい写真を撮ってか再び悠々と自転車で走り去っていった。心の美しい娘さんとの一瞬のコラボに、なんか嬉しかったおっさんの話し。

 郵便局の帰り、行くまでに通った河に泳いでた黒い鳥の姿を探した。
 たしか、ここいらの河とは反対の場所で急ピッチで工事されている新規営業開店準備の店舗のあたりだった。
 お世辞にも綺麗ではない河で泳ぐ黒い鳥・・・。
 スマホで写してSNSに投稿する?、。LINEで誰かに送る?
 目についた景色、心の揺らぎ、はどうしようか?。
 
 深夜書店、って題名、そんな小説作を残したい。

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