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失敗を防ぐために重要な「心理的安全性」

個人的には読書はSFやミステリーが大好きなのですが、ことビジネスになるともっと現実的な「失敗学」に類するものを多く読みます。タイトル画像は私の本棚の一部を抜き出したもの。改めて見てみると名著ばかりながらちょっと疲れるラインナップです。。。

昔から「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし」と言いますよね。成功の秘訣を謳ったビジネス本は星の数ほどあるけれど、なかには再現性の低い個人エッセイ的なものも散見される。確かに不思議の勝ちはあります。
一方で、失敗学はある程度データや歴史的事実に基づいて検証できることも多いので重宝します。これはどう考えてもダメだろ、って心の中で呟きながら読んじゃいます。不思議の負けはないってことです。

まあただ、色々読んでみて思うんです。
なぜ取り返しがつかないほど大きな失敗が起きたり、その失地が正されないまま放置されたりするのか?
実は根本的な理由にそんなに多くのバリエーションはない気がしています。
古今東西だいたいこんなところでしょうか。

・上の意向には逆らえない(トップダウン的失敗)
・個別最適の暴走、ガバナンス欠如(ボトムアップ的失敗)
・上から下まで誰にも当事者意識がない(消極的責任回避)
・責任を負わされないように全力で立ち回りたい(積極的責任回避)

とまあ、基本的には意思決定の仕組みに起因するのではないかと思います。
既存ビジネスとのカニバリであるとか、破壊的イノベーションの到来といった内的外的要素があったとして、それらにどう対峙するかという意味では結局、人の話なんですよね。
薄々みんな気づいているヤバい事態について、どう対策をとるかという健全な会話がなされない時に大きな失敗が起こるわけです。
かつてNOKIAのCEOが言ったとされる“we didn’t do anything wrong, but somehow, we lost”(我々は何も間違ったことはしていないが、何故か負けた)とかは有名ですよね。

ここで思い出したいのが「心理的安全性」です。
2012年のGoogleのプロジェクト以降で一部バズワード化してしまって、勘違いされているケースもあるので解釈をおさらいしておきます。

心理的安全性に関する勘違いで多いのが、心理的安全性の高いチームを「仲良しチーム」「ぬるいチーム」と捉えているケースです。
心理的安全性が高いとは、意見を率直に言い合えるということです。例えばミスや失敗の報告、誰かの意見に対する反論など、普通ならなかなか言い出せないようなことを安心して話せる状態こそ、心理的安全性の高い状態と言えます。

実は相当厳しい「心理的安全性」。多くの人がその意味を勘違いしている!

例えば、イマイチなアイデアを上司が提案したとしたら、「いや、それはイマイチですよ」と部下が当たり前のように指摘できる。わたしが心理的安全性を訳すとしたら、おそらく「残酷なまでに正直なさま」であると表現するでしょう。

良い会社=居心地の良さなのか?

これが正しくできているということはそれだけで組織運用レベルが非常に高いということだと思うんです。
実際、残酷な事実を隠さずテーブルに載せることで当然傷つく人も出てくるでしょうし、時には能力的な問題から配置転換や降格といった対処が必要とされるケースもあるでしょう。メンタルケアとセットでなければ語れません。
また、正しければ何を言ってもいいということではないはず。人と事象を切り離して会話できるトレーニングを組織的に積んでいなければ、無限正論ハラスメント地獄になりそうです。

ここまでまとめます。
・事象と対策について健全な会話ができない組織において大きな失敗が起きやすい。
・健全な会話をするためには心理的安全性が不可欠であるが、メンタルケアとセットで運用する必要がある


ちなみに弊社では管理職向けの360度評価を毎年やっています。
とにかく皆さん、本音で書いてほしいなということを常々伝えているので割と率直な意見が聞けます ※定量・定性評価共に匿名処理されています

「平田さん、それイマイチっす」ときちんと指摘していただける職場づくり、引き続き頑張ります。言われすぎてもよくないのですけど。


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