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アンガーマネジメントと多段思考のススメ

「丸くなったね」と言われることがあります。
見た目ではなく性格の話で。
同じくらいの頻度で「相変わらず攻めてるね」と言われることもあるので、人の印象なんてそれぞれだとは思いますが。

内面はこれっぽっちも変わってないつもりであっても、まあ言われてみれば、外面は年相応に落ち着いた態度が取れるようになった気もします。
ただこれ、ある意味トレーニングの成果ってこともありますね。後天的なものです。
今日はそこら辺の話をしましょう。

アンガーマネジメントの必要性

まずそもそもですが、一次的に「怒らない」のはとても難しいです。
反射的に怒りの感情が湧き上がることは誰にも避けられません。
だから二次的にアンガーマネジメント/コントロールの技法を活用することで、怒りに対して適切な対処ができる状態を目指すのです。

怒髪天を衝くようなこともあるでしょう。
でも一旦深呼吸。

例えば人の言葉に怒りを感じた時。
対峙している相手は「なぜ」そんなことを言ってくるのかと、少し深掘りして考えてみる癖をつけましょう。単純に前提条件の行き違いがあるかもしれません。
まず「これ怒る必要ある?」と一旦客観視する。
さらに「怒って何か事態が前に進む?」とまで考えられたらベスト。

ほとんどの状況において、反射的に怒った態度を見せても何もいいことないんですよね。貴重な「激おこ表明」カードは必要かつ有効な時に出す、それまでは大事に取っておくのが吉です。傍から見て「どっちもどっち」的な泥試合に巻き込まれないようにしたいところです。

※どれだけ気をつけていても難しい、一段目で思ったことが口に出てしまう、という方もいらっしゃると思います。そういった方は一人で判断せず、自らの特性の診断や改善について専門家にご相談することをおすすめします。

怒りに多段思考で立ち向かう

「多段思考」というワードを聞いたことがあるでしょうか。
よくある説明では「常にもう一段先を考える力」だそうです。
裏の裏の裏の裏・・・まで読み解き続けるスキル。
実はこの多段思考、アンガーマネジメントに非常に活用しやすいのです。

ここでも対人のシーンで考えてみましょう。
交渉がうまくいかない。どうしてもわかってもらえない。怒りを感じる。
その課題解決を多段思考で紐解くとどうなるか。
ざっと3段階くらいまで考えられるはずです。

自分はこう思う

一段目です。
私は儲かりたい。買ってください。価格交渉なんてとんでもない!
要するに自分都合です。
意見があるのは何も考えてないよりはマシですが、「それってあなたの感想ですよね?」の域を出ません。

相手はこう言ってきている

二段目です。
そうは言われましても予算がありません。もう少し安くなりませんか?と。
交渉相手都合の視点が入ってきます。頑張って擦り合わせましょう。
最終的には需給の価格曲線における均衡価格付近で交渉成立するはずです。

相手にこう言わせている人はこう考えている

三段目です。なぜ予算がないのか。高いと思うのか。
最近のお客様はこういう商品を求めています。競合ではこんな機能がウケています。同価格レンジでは太刀打ちできません、とか。
新任の事業責任者が収益重視の方針なんです。そのためにこの商品の原価率をこのように見直したいんです、とか。

マーケティングにおいてはB2B2C(自分のクライアントは、さらにそのお客様に何を訴求するのか)という観点であり、社内組織においては上司の上司の発想に着目する(自分の上司は、さらにその上司からどのように評価されるのか)ということです。
真因、Root Causeに迫るためには取り巻く環境を理解しなければいけない。
旧来より、「ビジネスマンとして大成したかったら2つ上の視点で考えよう!」と言われてきたのもよくわかります。

ここまで考えられれば、もう直接対峙している相手にだけ怒りを感じてもしょうがないことがほとんどだとわかるはずです。ビジネスモデル、スタッフ教育コスト、マーケット環境、政治、その他様々な要因が目の前の対応につながっている。

ツラいことに、深く考えれば考えるほど「あ、私がコスパの悪いお客さんだからまともな営業リソース費やしていただけないんだな」みたいなことまで気づいちゃったりします。怒っても滑稽なだけなんですよ。小口は小口なりに扱われている可能性がある。
そうなると対処としては、「ちゃんと対応してください!」って言い続けることではないわけですね。執拗なクレームで余計に厄介客扱いされる結果に繋がりかねません。
まともなお客様として扱ってもらうために取引額を増やすとか、長期契約を結ぶとか、Win-Winにつながる打ち手を考える。それが無理なら潔く取引を見直すということです。

ほら、ここまで考えれば怒りも少しは静まりませんか?
もしくは、短期的・反射的な怒りが、長期的・戦略的なリベンジプランに置き換わりませんか? 笑

まとめと余談

ということでまとめます。

  • 誰でも怒るよ。でもトレーニングで(ある程度)抑えられるよ。

  • アンガーマネジメント大切だよ。多段思考が効くよ。

  • 相手にそう言わせているのは何か、を考えるといいよ。


怒りを感じて深呼吸する時に思い出すといいエピソードを一つ参考まで。
「どんなに良い人間でも、きちんとがんばっていれば、誰かの物語では悪役になる」、私の好きな言葉です。

対立する、嫌われる、孤立する、誰だって避けたいことですが、ゼロになることはありません。真面目にやればやるほどね。
ただ、それぞれが「誰かの物語」に多段思考で想いを馳せながら仕事をすれば、無駄な衝突が少しでも減らせるのではないかと思います。
本当の課題や悪に立ち向かうために、みんなで仲良くしましょうや。


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