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田んぼの真ん中にあるパン屋さんのパンが宇宙へ行った

久しぶりに実家に帰ったら面白い話を聞けました。

那須塩原にあるパン屋

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那須塩原の田んぼにあるがゆえになかなかパンが売れません。パン自体はもともとそれほど日持ちするものでもないので、できるだけ賞味期限が長いパンを作ろうと奮闘します。

しかし、なかなかパン作りの工程で賞味期限を伸ばすことができず苦戦します。

そこである日パンの賞味期限が長くできない悩みを相談していたところ、ある人が「そんなの簡単だよ」と言ってくる人がいました。それは缶詰工場の社長でした。

パンを缶詰に入れることで、賞味期限を3年という通常のパンでは考えられないくらい劇的に伸ばすことができるようになりました。

町のパン屋の限界を超える

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しかし、今度はパンを缶詰に入れることで原価が上がってしまい単価が高くなってしまいました。これでは誰も買ってくれません。

そこである日パンがなかなか売れないと悩みを相談したところ、「それ買うよ」と言ってくる人がいました。それは防災用品の調達などに関わっている人でした。結果的に東京都の防災用品としての大量発注を受けることができました。

しかし大量の発注がきたものの、パンを作っているのは町パン屋さんです。大量にパンを作ることはできず、パンを焼くための設備があと5台ほどあれば納期に間に合いそうですが、そんな土地もなくまたまた頭を抱えてしまいます。

そこである日、パンを大量に作るための場所がないと悩みを相談したところ、「空いてる場所ならあるよ」と言ってくる人がいました。それは沖縄にビルを持っている不動産屋の人でした。

散々悩んだ挙げ句、沖縄に工場を持つことを決断し、幸い人もすぐに雇うことができて無事大量発注の納期に間に合います。

3年後にお願いします

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今度は次の発注を受けることができませんでした。なぜなら賞味期限の長い缶詰パンは台風や地震などの大規模災害が起きないとなかなか消費されません。しかし、すでに沖縄の工場はすでに稼働していて、人も雇ってしまいました。

どうしようかと悩んでいたところに、沖縄の米軍基地の人たちに食べてもらったところ、めちゃくちゃウケました。アメリカ人が大好きな味だったようです。

これは美味しい!ということでアメリカインド太平洋軍からの発注がくることになりました。

そして宇宙へ

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アメリカインド太平洋軍はアメリカ海兵隊であるため、陸海空の3戦力を持っています。空軍の人の目に止まり(口に入り?)、これは美味しい!ということでNASAに持ち込まれることになります。

当時缶詰のパンというといわゆる乾パンで、パサパサしていて美味しいとはなかなかいいがたいものしかありませんでした。しかし、この缶詰パンは不思議なことにしっとりふわふわでとても美味しく食べることができます。

最初はNASAの回答自体は前向きに検討するというレベルでしたが、当時ディスカバリー若田光一さんにも試食をしてもらっていて、継続的に試食に協力していただいていたようです。

その後もNASAのいくつもの厳しい品質基準を乗り越えて、ついに2009年3月16日午前8時43分(米国東部時間午後7時43分)、スペースシャトル「ディスカバリー」がケネディー宇宙センターから打ち上げられるとともにパンも宇宙へ打ち上げられました

株式会社パン・アキモトはパンの缶詰を販売している

これは実在している株式会社パン・アキモトのお話です。

自分もこの缶詰パンのビターキャラメルを食べたことがありますが、ほんとに乾パンと全く違って、イメージ的にはデニッシュに近く、しっとりふわふわでとても美味しかったです。

ディスカバリーに打ち上げられたときの記事も見つけました。

今はベトナムにも会社を立ててベトナムからの労働者を雇い、パン作りと日本語、経営を学んでもらってベトナムの方にもお店を出店などもしているそうです。

また、備蓄品が2年過ぎたら自ら買い取って国内外へ無償で提供するという救缶鳥プロジェクトというものを立ち上げています。

田んぼの真ん中から世界へ貢献する

パン作りの領域で頑張り続けているだけでは、決してこうはなってなかったと思います。人に出会い、その縁を活用することの大切さを実感しました。

人と人を繋ぐこと、点と点が結ばれることの先に、こういった素晴らしい発展や貢献が生まれてくるという、とても良いケースだと思います。

また、この話を聞いて株式会社パン・アキモトのことをちょっと調べてみましたが、食品ロスへの取り組みであったり社会貢献、世界貢献につながる活動をしていたりと、パン一つから様々な活躍をされているのを知り、とても興味が湧きました。

ぜひいずれ現地には訪れてみたいところです。

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