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隙間風を辿る

ヒュー、ヒュー
入ってくる隙間風。
寒い冬は大変だけど、
私はこの冷たい風がお気に入りだ。

くんくん、くん
なんか香ってきた。
どこからだろう。

そう思い、隙間風の入口を探して
辿ってみる。

てくてく、てく

ここからなのかな。

少しだけ覗いてみようか。
「お邪魔します。」
静かに心の中でそう言う。


辿った先には、
四角い収納ボックス1箱くらいの
小人たちの住処。

小さい足で、
小さい手で、
小さい体で、
美味しそうなスープを作っていた。
木の実とハーブの香りがする
温かいスープ。


「お邪魔しました。」
心の中でこう言って、
そうっと来た道を戻る。

ひっそりと、
幸せそうに暮らしていた小人たち。
葉っぱの間から見えたのは、
偽りの無い笑顔だった。

壊れて欲しくないなぁ.......
そうだね、自分だけの秘密にしておこう。
小人たちにとってあの場所は、
大切な大切な宝物だから。



今日も隙間風が吹いている。
今度はどこへ連れて行ってくれますか?

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